千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2010年10月

安くて豊富なメニュー、鉄道博物館近くの居酒屋「食いしんぼう」 (10/10/29)

“鉄ちゃん”ブームで脚光を浴びている、さいたまの「鉄道博物館」。そこから歩いて10分程の裏通りに、最近オープンした居酒屋がある。人通りが少ない路地で、これまで2軒の飲食店が撤退を余儀なくされた場所だ。「食いしんぼう」というその店は、豊富なメニューと割安な価格で勝負に出た。

場所は、埼玉新都市交通(ニューシャトル)鉄道博物館駅から線路沿いに北上し、大成町4丁目で線路の向こう側へ続く地下道を通る。(そのまま直進すると旧中山道の「保健センター入口」交差点に出る。)地下道を出た最初の信号(レストラン「レ・スリジェ」の角)で左折すると、60mほど先の左側に店がある。

は一見、和食店のような入口。元は寿司屋だった店舗なので、その名残りだろう。すっかりリニューアルされて、中もキレイになっている。
引戸を開けて入ると、右側に8席のカウンター、左側に4人テーブルが2卓。突き当たりから奥は意外とゆったりした座敷になっていて、6つほど座卓が置いてある。20人前後の宴会なら、充分な広さだ。ご夫婦2人だけで営む店としては、むしろ広すぎると思えるほど。

料理は、よくある居酒屋メニューを一通り押さえている。串カツ(350円)、子持ちシシャモ(400円)、もつ煮込み(450円)、麻婆豆腐(500円)、ツナサラダ(550円)、マグロ山かけ(600円)、ホタテバター(750円)、チーズたっぷりピザ(800円)…等々。400円前後のメニューが豊富にあって、安く上げたい人には心強い。刺身類などの日替わりメニューは、店のホワイトボードに書き出される

ちょっと珍しいメニューもいくつかある。ハタハタ(400円)、どじょう唐揚(350円)、穴子の柳川(600円)、カエルの唐揚げ…といった料理だ。カエルの唐揚げは、脚の部分が2ピースほど出て来るのだが、鶏をもうちょっと淡白にしたような味。

日本酒は30種類あり、座敷の手前にある冷蔵庫に入れられている。量は2合が基本で、二合徳利とグラスで出される。(1合で注文することもできる。)銘柄はメジャーどころが中心だが、2合と考えると価格はかなり安く、都心なら1合の価格で通りそうなものすらある。以下はすべて2合の価格。

一ノ蔵・無鑑査本醸造辛口(700円)、真澄・本醸造特選(700円)、男山・生もと純米(800円)、喜久泉「吟冠」吟醸造(800円)、浦霞・本仕込本醸造(800円)、菊姫・菊(800円)、食いしんぼう・吟醸生(850円)、南部美人・特別純米酒(900円)、初孫・いなほ純米吟醸(900円)、浦霞・辛口純米(900円)、大七・生もと純米(900円)、〆張鶴・本醸造(900円)、越乃景虎・龍(900円)、極上吉ノ川・純米吟醸(900円)、白瀧「上善如水」純米吟醸(900円)、出羽桜・吟醸酒「桜花」(1,000円)、飛露喜・特別純米生詰(1,000円)、八海山・本醸造(1,000円)、雪中梅・本醸造(1,000円)、神亀・辛口純米(1,000円)、黒牛・純米酒(1,000円)、越乃寒梅・本醸造(1,100円)、天狗舞・山廃仕込純米(1,100円)、獺祭・純米大吟醸(1,100円)、南部美人・純米吟醸山田錦〈心白ラベル〉(1,200円)、鏡山・純米吟醸(1,200円)、八海山・純米吟醸(1,400円)、久保田・千寿(1,400円)、田酒・特別純米酒(1,500円)、久保田・万寿(3,200円)。

焼酎も芋、麦、米と、色々揃っているようで、グラス400円、ボトル2,000~2,500円がほとんど。(プレミアム焼酎は別
生ビール(500円)はスーパードライだが、瓶はスーパードライ、一番搾り、黒ラベル(以上各500円)、エビス黒ビール(450円)と各社揃っている。ノンアルコールビール(アサヒポイントゼロ)や、ホッピー(白・黒)もあって、個人店としてはかなり充実した品揃えと言えるだろう。

実際、この立地にしては客の入りも悪くなかったが、果たして2人でこれだけの豊富なメニューを回し切れるのか、逆に心配になった。30種類の日本酒をコンスタントに捌くのはかなり大変なはずだ。おそらく2合がベースというのは、早く空けるための方策ということなのだろう。
個人的には半分くらいに絞った方がいい気もするが…今のところは豊富なメニューを遠慮なく楽しませていただくことにしよう!

→Yahoo!ぐるめ/食いしんぼう
http://restaurant.gourmet.yahoo.co.jp/0007848688/


日本最高峰のカクテル!銀座「TENDER」 (10/10/21)

銀座はBARの聖地だが、そこで筆頭に挙げられるBARと言えば、「テンダー」だろう。
オーナー・バーテンダーの上田和男さんは、日本を代表するバーテンダー。ハード・シェイクと呼ばれる独特のシェイキングを編みだしたことから、「ミスター・ハードシェイク」の異名を持つ。

1966年、東京會舘に入社して技術を磨き、1974年に日本最高峰のフレンチ「ロオジエ」に移って店長兼チーフバーテンダーに就任。数々のカクテルコンクールで目覚ましい成績を残し、世界大会にも2度出場。1997年に「TENDER」をオープンした。カクテルのレシピやテクニックを解説した著書も多い。

店は、銀座のソニープラザから外堀通りを新橋方面に150mほど歩いた左側、能楽堂ビルの7階にある。エレベーターを上がると、左手にシンプルな木の扉と「TENDER」の表示が見える。初めて扉を開ける時には、誰もが緊張するに違いない。

扉を開くと、すぐ内側に控えたスタッフに出迎えられ、席に誘導される。右側が奥行きのあるカウンターで、11席。カウンター内には上田さんを含め3人のバーテンが立つ。左側は、4~6人用のソファ席が3卓ほどある。
バーとしては明るめの照明で、内装も高級感はあるが「重厚」というより「上質」といったイメージだ。ホテルのバーのように、シンプルで清潔感にあふれている。

メニューも、ベースのお酒ごとにカクテルが3~4種類ずつ並べられているシンプルなもの。これは、お客が選びやすいように作られたもので、もちろん実際には数百種類のカクテルに対応する。価格は、大体1杯1,600円前後が中心。チャージも1人1,600円と強気の設定だ。

「ハードシェイク」とは、手首のスナップを大きく利かせ、派手な音を立ててシェイクする方法。普通はカクテルが水っぽくなるのを嫌い、なるべく氷にダメージを与えないようにシェイクするのがバーテンの腕になる。ところが、それとはまったく逆の発想で、わざと細かい氷の粒を作り、それをカクテルの表面に浮かべることでマイルドな味に仕上げるのだ。その味わいの柔らかさ、美味しさには驚かされる。まさに、TENDER(優しい)。

この店で最も多く注文されるのは、おそらくギムレットだろう。ゴードンのジンをベースに、カクテルグラスの中央にアイスキューブを1個浮かべる東京會舘スタイルで仕上げられる。優しい口当たりに、ちょうど良い冷え具合、甘すぎず辛すぎない絶妙のバランス。少なくとも作りたての味は非の打ち所がない。

マティーニは、ビフィータのジンに、ノイリーのベルモット。グラスには小さめのピメント入りオリーブが入れられるが、別に大きめのオリーブも1個小皿に添えられる。
この店ではメジャーカップを使わないが、ジンとベルモットの割合は48ml対12mlと決められている。ドライ志向の昨今では珍しいほどベルモットが多いが、これが美味しいマティーニの比率だという主張と自信が伺える。

スタンダードはもちろんだが、数々のカクテル・コンペティションで賞に輝いたオリジナル・カクテルもメニューに並んでいる。キングスバレイ(1,700円)、シティコーラル(1,600円)、春暁(1,600円)、花椿(1,900円)…等々、こちらも人気が高い。

おつまみは、サラミ ペッパー風味(1,200円)、野菜スティック(1,200円)、チョコレート&レーズン(1,000円)、チーズ各種(1,400円)、ポテトフライ(1,200円)、牛タンの塩漬け(1,600円)、ピッツァ(1,600円)、エスカルゴ ブルゴーニュ風(2,200円)、サンドイッチ(1,600円)、サラダ(1,200円)…等、軽いものが10品強ある。

非常に上質なバーであることは疑う余地がないが、カウンターには緊張感が漂っていて、最初はあまりくつろげないかもしれない。客層も、功成り名を遂げた風の紳士や、銀座のお姉さんがちらほら。若いバーテンが話しかけてくれたりするので、お酒が進むにつれて次第に馴染んでくるはずだ。
酒場は道場、という言葉を思い出させてくれるような、大人のための本格BARだ。

目立たない路地裏の店だが侮れない!神田小川町「さらさら」 (10/10/7)

少し前にご紹介した、御茶ノ水の「地酒や 鷹ばん」から目と鼻の先に、もう1軒「さらさら」という地酒のおいしい居酒屋がある。地酒の品揃えでは「鷹ばん」の方が上だが、こちらは夫婦で営む小さな居酒屋なので、また違った雰囲気でゆっくり楽しめる店になっている。

場所は、御茶ノ水駅の聖橋口を出て、目の前にある「新お茶の水ビルディング」の右側の小道を300mほど下って「キッチンジロー」の角を右折し、「健康プラザ・パル」の角を左折すると、右手の新聞屋さんの地下にある。
明大通りからだと、日大法科大学院の角を入って2つめの角を右折だ。

階段を降りて店に入ると、すぐ左手に小さなカウンターがあるが、客席としては使われていない模様だ。中の厨房では、ご主人が調理にあたっている。右側にすぐ日本酒の冷蔵庫があり、その奥のフロアに6人卓と2人卓が3卓ずつある。フロアでは、もっぱら奥様がサービスにあたる。

内装はごく普通の洋風居酒屋といった感じだが、正面の壁には半紙に筆書きされた地酒の銘柄と価格が20枚以上も貼り出されていて、どの席からでも目に入る。「サワー類はありません」といった貼り紙は、銘酒居酒屋としての矜持を感じさせる。

日本酒はグラスで出され、標準グラスは約170mlと1合にやや欠けるが、価格は580円~895円とお手頃。少なめを望むなら、中グラス(約130ml)で注文することも可能だ。
定番の銘柄は、十四代・本丸(735円)、醸し人九平次(840円)、〆張鶴・純(895円)と、人気・実力とも申し分のない有名銘柄を揃えている。

ほかに、日替わり銘柄が15種類ほどある。訪れた日は、ゆきの美人・純米吟醸(735円)、飛露喜(750円)、田酒、磯自慢、米鶴・かっぱ、開運、陸奥八仙・中汲み特別純米おりがらみ(780円)、翠露・純米吟醸袋しずく(840円)…等があり、こちらも不足のない品揃えだ。

一部のやや高価なお酒は中グラスが基本となり、早瀬浦・純米浦底(700円)、東一・山田錦純米吟醸(735円)、十四代・中取り純米(840円)あたりがそれに当たる。いずれにせよ、高くてもグラス800円台までの価格で、これだけの銘酒がいただけるのは嬉しい

肴はひと通りの居酒屋料理が、ほとんど420円~600円という価格。高いものでも、鮪づけ(600円)、鯨のたれ(800円)、馬刺(945円)程度だ。お酒を楽しむのにふさわしい肴が各種取り揃えてあって、日常遣いの居酒屋として気楽に飲める。定期的に利き酒会も催しているので、興味のある人は予定を聞いてみるといい。

メインの通りから少し入った、人通りの少ない場所にあるため、小規模な割にはさほど混んでいない。日本酒好きな人を連れて行けば、「こんな所にこんな店が」と、驚かれるに違いない。

→Livedoorグルメ/さらさら
http://gourmet.livedoor.com/restaurant/7494/

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