千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2010年05月

汐留では珍しい、干物と地酒の店「越後屋 甚内」 (10/5/31)

「越後屋」と言っても、昔の三越のことではなく、新橋界隈では干物ランチで人気の高い、レトロ調の居酒屋のチェーンだ。

1号店は2005年、新橋の西口商店街にオープンした「炭火焼干物食堂・越後屋」。その店先には、炭火焼の煙がもうもうと立ちこめ、かなり通行人の目を引いた。
干物の意外な美味しさと手頃な価格が受け、たちまち近界隈の人気店となり、2007年5月には浜松町に「越後屋 権兵衛」を、2008年5月には東銀座に「越後屋 八十吉」を、同年8月には四谷に「越後屋 五郎兵衛」を、更に新橋の内幸町寄りに「越後屋 玄白」を…と、次々に姉妹店をオープン。その最新の店が、汐留で2009年6月29日に開店した「越後屋 甚内」だ。

場所は、新橋駅の汐留口を出て200mほど直進した突き当たりにある、カレッタ汐留の地下2階。
店は、ちょっと懐かしさを感じるような和風で、照明は落ち着く程度に抑えられている。厨房部分が家屋、客席フロアがを模した、独特の内装だ。厨房には屋根が縁取られ、窓から焼き場が覗ける。店の周囲は垣根が囲み、BGMは田植え唄のような民謡と、虫の音という凝りようだ。

フロアには、4人テーブルが10卓に、2人テーブルが8卓ほどある。店舗面積は約40坪。
さすがにビルの地下街なので、本店のような煙はまったくない

午前11時~午後11時まで通しで営業しており、昼間のランチはやはり人気がある。入口で注文と会計を済ませ、伝票代わりに番号が振られた将棋の駒を渡されるという、越後屋共通の方式だ。あじの開き定食(680円)やシマホッケ定食(880円)、のどぐろの開き定食(1,800円)といった魚の干物が中心だが、美味しくて種類も豊富なのがポイントだろう。どれも外はパリっと、内側はジューシーに焼きあがっていて、干物の美味しさを感じさせてくれる。

種類は少ないが、鶏や豚もある。鶏肉は鳥取の「大山鶏」、豚肉は岩手の「岩中豚」といういずれもブランド肉を使用。「岩中豚」は岩手中央畜産のSPF豚(特定の病原菌の汚染がない豚)で、栄養価が高い上、柔らかくてとても美味しい。肩ロース肉定食では厚さ1cm程のステーキ状で出て来て、韓国の焼肉屋よろしくハサミで切りながら食べる。

夜は、魚や野菜、肉の炭火焼や一品料理など、約80種類の料理と美味しい地酒が売り物。日本酒は半合程度のグラス売りだが、一律500円という明朗会計だ。お通し代は250円。

「越後屋」各店は、スタイルこそ共通しているものの、品揃えが店によって多少異なっている。店名がそれぞれ違うのも、そんな個性を表現しているのだろう。この「甚内」では、店長の好みで「鶴齢」が常時5種類ほど揃えてある。(純米吟醸・五百万石、特別純米・越淡麗、特別純米・山田錦、特別純米・美山錦、純米・山田錦)
「越淡麗」という米は聞き慣れないと思うが、新潟県で大吟醸酒用の酒米として2004年に開発された品種だ。五百万石を父に、山田錦を母に持つというサラブレットだけあって、とても美味しい。自分はこの5種類の中で最も美味しく感じた。

ほかには、陸奥八仙黄金澤・山廃純米、阿櫻・原酒生詰め・全量亀の尾、獺祭・純米大吟醸48しぼりたて生、七田・純米大吟醸無濾過生、仙禽・純米吟醸中取り無濾過原酒・ひとごこち、羽根屋・特別純米、富久長・特別純米・八反草、来福・純米吟醸袋絞り生原酒・愛山、小左衛門・純米吟醸・瑞浪米(=瑞浪産の山田錦)、月の井・無濾過生原酒・五百万石60%、初緑・特別純米無濾過生原酒、開運・無濾過純米生、奥播磨・純米、浪の音・純米…などがある。かなり通好みのラインナップと言えそうだ。

毎月第4火曜日には、「日本酒ナイト(3,000円)」「鶴齢ナイト(2,000円)」といったイベントも開催している。これは対象となる数種類のお酒が時間無制限で飲み放題になるというもの。4杯(2合弱)~6杯(3合弱)でモトが取れる計算だから、飲兵衛にはたまらない企画かも!

→カレッタ汐留/炭火焼干物食堂 越後屋甚内
http://www.caretta.jp/shop/shops/b2f-jin-nai.html

アットホームな荒木町の日本酒BAR「オール・ザット・ジャズ」 (05/5/27)

新宿・荒木町というと馴染みのない人も多いだろうが、昔から通好みの店が多いことで知られている。狭くて入り組んだ路地が特徴的で、大正から昭和中期にかけて花街として栄えた「車力門通り」や「杉大門通り」を中心に、今も個性的な店がいくつも点在する。
そんな街のニューフェイスが、車力門通りにある日本酒BAR「オール・ザット・ジャズ」だ。

場所は、四谷3丁目駅を4番出口から出て、新宿通りを四谷方面へ向かい、みずほ銀行・四谷支店の角を入って道なりに進む。外苑東通りに抜ける少し手前の左側にある、氷屋「門松氷室」の2階だ。

開店は2010年2月。店名は、あれもこれもという意味のスラングだそうだが、店舗は名前に似合わぬ和風居酒屋だ。入口の暖簾には、右隅に小さく店名が染め抜かれていて、独特の味がある。

店内は明るく、小じんまりとしている。入って左側にカギ型のカウンターがあり、そこに6席、右側には2~4人用のテーブルが3卓ほどある。カウンターの中には、家庭用の冷蔵庫があったりして、まるでどこかのお宅にお邪魔したかのようだ。

カウンターの中でもっぱら調理を担当している生方義浩さんは、常に浴衣風の和服にたすき掛けといういでたち。ほどよく恰幅がいいため、なかなか似合っている。「気は優しくて力持ち」といった印象で、篠沢秀夫教授の息子と言われた信じてしまいそうな容貌だ。(知らない…?
フロアと調理場を行き来する奥様は普通の服装。時間によっては、もう1人女性スタッフが加わるらしい。

メニューの裏表には、60種類ほどの日本酒が書かれているが、その全てが常時あるわけではない。在庫のあるものは丸いシールで示されていて、自分が訪ねた日は27種類ほどが在庫だった。
生方さんは「きき酒師」資格を持ち、全国の蔵元を訪ねて厳選した品々を直送してもらっている。価格は120mlで380~780円。

銘柄は、初雪盃・本醸造(480円)、分福・純米(480円)、宮の舞・純米吟醸(480円)、而今・特別純米(580円)、森の翠・大吟醸(これのみ60ml・680円)、…など、レアな銘柄が多い。

刺身などの板前料理はないが、定番の酒の肴は280~580円と安い。干しほたるいか(280円)、ポテトサラダ(380円)、じんだご醤油干し(380円)、イルカのタレ(480円)、ねこまんま(日替わり・380~480円)、釜揚げしらす丼(480円)、ハムステーキ(580円)…など、日本酒とよく合う珍味や干物を揃えている。たまに高価な魚が入荷することもあるようだ。

アットホームで価格も安いため、晩酌代わりに気軽に寄れるのが嬉しい。近くには「占いBAR」や「坊主バー(本物のお坊さんがシェーカーを振っている)」といったユニークな店も多く、店で尋ねれば親切に教えてくれる。
面倒見のいい地元密着系で、近くなら通いたくなる雰囲気を持つ。この界隈に魅力的な店がまた1つ加わった。

→オール・ザット・ジャズ
http://allthatjazz00.web.fc2.com

渋谷のはずれの隠れ家ダイニング「楽家」 (10/5/12)

渋谷は若者の街だけに、大人がゆっくり飲めるような居酒屋はあまり多くない。だが、街はずれまで足を伸ばすと、そんな大人向けの店もちらほらあって、けっこう魅力的なのだ。
これまでもそんな店をいくつか紹介したが、今回も神泉にある大人の隠れ家楽家(がくや)」をご紹介しよう。

場所は、京王井の頭線・神泉駅の踏切を渋谷側へ渡り、階段を上がったすぐ左側。渋谷駅からだと、道玄坂交番を右斜めに入って八百屋を右折、小料理屋「さくら」の手前を左に入ると右側3軒目だ。
渋谷駅から歩いて8分程度だが、入り組んだ路地裏なので、店を探し当てるのは困難。おまけに、入口は路地から引っ込んだ奥にある。

店は京都の町屋をイメージした造りの3階建てで、避暑地のロッジを思わせるような内装はちょっとモダン。照明も、ほど良い暗さで落ち着ける。

入ってすぐの1階は、カウンターバー。上階のメニューには載っていない、豊富なドリンクが頼める。午後8~10時はノーチャージでドリンク500円均一というのも見逃せない。このフロアだけは、朝5時まで営業している。
中央部が吹き抜けになっている2階は、8人までと15人までの個室も備えたテーブル席で、席数は全部で45席。ここがメインのフロアになっている。
3階は、2~10人という少人数で利用できる貸切個室フロア。暖炉にソファにカウンターというプライベート風の造りで、料金も2時間飲み放題付きで1人5,500円~と手頃。カウンターの飲み物を自分たちで好きなだけ飲むというセルフサービス形式になるが、それがまた友人宅でのパーティっぽくて面白い。

この手のお店にしては、お酒の品揃えが割と充実しているのも魅力だ。
日本酒は、菊水・純米吟醸(945円)、獺祭(998円)、醸し人九平次(998円)、〆張鶴・純(1,050円)、一刀両断・大吟醸(1,260円)、熱燗用の菊姫・加陽菊酒(1,418円)、賀茂金秀(945円)の7種類がある。

焼酎は、芋・麦・黒糖・栗・紫蘇・人参と30種類以上(578~945円)、梅酒は12種類(578~735円)、サワー類や、泡盛はすべて630円。
普通の居酒屋に比べるとやや高めの価格設定だが、大人がくつろげるこの空間を考えれば、決して高くない

料理もここは定評がある。売りは、おでんと鶏刺と馬刺だ。
おでんは、189円~315円で、玉子、こんにゃく、ちくわ、姫がんも、ねぎまぐろ天、厚揚げ、いわしつみれ、大根、魚のすじ、海老しぐれ、ねぎ串…といった、ちょっと面白いラインナップ。
鶏刺は、群馬産の榛名鶏が中心で、ささみ、胸肉、腿肉、砂肝、ハツ、レバーなどがある(609~682円)。ほかに、とり皮ぽん酢(525円)から焼鳥丼(840円)まで、鶏料理が15種類。
熊本から直送の馬刺は、霜降り、赤身、たてがみの盛り合わせ(2人前/1,890円)になる。これまで馬刺は苦手だったという人でも、この店では美味しく食べられたという声もある。

ここには東急本店側からも来られる。東急文化村前の信号から、渋谷シティホテルとシブヤクロスロードビルの間のを入って、コンビニ2軒の間を左に入り、250mほど歩いた小料理屋「さくら」の角を右に入ればいい。こちらのルートだとラブホテル街を抜けるので、ちょっと刺激的かも

→楽家
http://gaku-ya.net/

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