千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2010年03月

埼玉の地酒 (10/3/29)

生まれたのは皇居のお堀端だったが、生後10ヶ月からずっと現在のさいたま市内に住んでいる
埼玉の県南部は、東京のベッドタウンとして定着していることもあり、昔から「埼玉都民」などと呼ばれていた。埼玉県の昼間人口は、夜間人口の87.8%と、全国最低だそうだ。100万人もの県民が都内に通勤・通学している状況では、地元・埼玉への愛着が薄くなっても仕方がない。自分自身、これだけ住んでいながら、正直あまり愛着を持っているとは言えないだろう。

それでも、埼玉の地酒の知名度の低さは、やはり残念に思う。
埼玉県の清酒生産量は、灘で有名な兵庫、伏見をかかえる京都、全国一の蔵数を誇る新潟、米どころ秋田…といった銘醸地を向こうにまわして、全国7位なのだ。消費量でも、東京、大阪、神奈川、愛知、新潟に次ぐ全国6位と、堂々たる地酒大国と言える。(順にはいずれも08年度)
昨年度1~9月のデータでは、全国の清酒出荷量が-4.4%と減少を続ける中、埼玉は+2.2%と、全国トップの伸び率を記録している。

江戸後期から明治にかけては「東灘(あずまなだ)」と呼ばれるほど酒造りが盛んで、明治30年代には350も酒蔵があったという埼玉。現在は県内に35蔵なので、100年余りで9割が消えたことになる。
それでも、全国的に見れば中程度の蔵数だ。いずれの酒蔵も自前の井戸を持ち、荒川や利根川の豊かな伏流水を仕込み水に使っている。

環境省が2008年に選定した「平成の名水百選」では、埼玉県から4箇所が選ばれた。これは、新潟や長野などと並ぶ最多認定数になる。昔から、寄居や秩父あたりは水が美味しいことで知られていた。
「全国新酒鑑評会」でも埼玉の地酒の評価は高く、08年度は出品12点のうち8点が金賞を受賞した。受賞率66.7%は、全国平均26.6%を大きく上回っている。

それでも認知度が低いのは、強力なアピール・ポイントや、有名ブランドが不足しているためだろう。
埼玉の地酒銘柄と言えば、蓮田の「神亀」が唯一最強の存在になっている。1987年、全国に先駆けて全量純米酒造りを実現した蔵として知られ、「酒なら神亀!」と心酔する熱烈なファンが大勢いる。(神田「新八」店主の佐久間達也さん、『闘う純米酒~神亀ひこ孫物語』の著者・上野敏彦さん、フリーライターの藤田千恵子さん…等々)地方の酒蔵から神亀酒造へ修行に来る後継者も多いらしい。
個人的には、昔の飲兵衛志向というイメージで、今ひとつ好みではないのだが…。

最近注目されているのは、羽生の南陽醸造だ。約140年続く酒蔵だが、7年前に脱サラして蔵を継いだ3人が素人同然から精進を重ね、現在は新酒鑑評会でトップクラスの評価を得るまでになった。
彼らが醸す「花陽浴(はなあび)」は、手頃な価格とその美味しさとで、急速にその名を上げている。こちらは自分も好きな銘柄の一つだ。

埼玉の酒を一層レベルアップするため、埼玉県酒造組合は「彩の国酒造り学校」を2005年5月に開校した。県内の若手酒造技術者を集めて、醸造技術に関する講義や実技指導などを2年間かけて行い、技術向上を図ろうという研修会だ。第1期生は2級酒造技能士試験に全員合格するという見事な成果を出し、現在は第2期生が研修中だそうだ。

地酒に関するイベントも定期的に開催されている。
来週4月8日(木)には、さいたまスーパーアリーナで「関東信越きき酒会」が開催。今年で6回目を迎える春恒例の大イベントで、昨年は茨城、栃木、群馬、埼玉、新潟、長野の6県から219蔵が1,051銘柄の酒を出品した。
入場無料ということもあって、県内の飲兵衛も多数集結するはず。自分も、仕事さえなければ馳せ参じるところなんだが…。

一方、県内の若手蔵元や醸造技術者など25名で構成する埼玉県吟友会は、「埼玉の地酒を楽しむ会」を主催する。浦和パルコの和創だいにんぐ「やおまん」で4月24日(土)に開かれるが、こちらは残念ながら既に満席だそうだ。
「やおまん」はスタッフにきき酒師もいて、埼玉県35蔵の地酒をほぼ全て常備しているという、地元志向の居酒屋だ。

こうした活動が徐々に実を結べば、埼玉の地酒が見直される日も近いに違いない。
考えてみれば、ウィスキー界の新星「イチローズ・モルト」も、醸造所は秩父だ。やっぱり埼玉には、意外に美味い酒がある。
あとは、この「意外に」という言葉が、いつか消えてくれることを期待したい!

→埼玉県酒造組合
http://www1.ocn.ne.jp/~saisake/

若者向けの脱力系居酒屋、大宮「居酒屋いくなら俺んち来い」 (10/3/25)

卒業・入学シーズンになると、居酒屋もコンパだの歓迎会だので騒がしくなる。若者の飲み会というのは、「安かろう・悪かろう」というイメージだが、それも一つの経験かもしれない。

今回は、そんな若者向けの格安居酒屋を紹介しよう。朝まで呑んで騒いで、2千円であげたいという若者にお勧めする店だ。(平日3時、休日前は5時まで営業。)明らかに大人には向かない店なので、あしからず。

店名を聞いた人は少なくないと思うが、店は「居酒屋いくなら俺んち来い」の大宮店。…実は、所沢、町田、高田馬場にもあるチェーン居酒屋だが、名前からして学生ノリがひしひしと伝わって来る。

場所は、大宮駅東口の南銀座通りにあるアイスビル4階。個性的な呑み屋が上から下まで入っていることで知られるアイスビルだが、その最上階に当たる。

店名の通り、店と言うより「男友達の家」をイメージしているらしく、店内には映画のポスター、古いレコード、数々のフィギュアなどが飾られている。
壁の液晶テレビからはライブのビデオ映像が流れ、その音量は通常考えられないボリューム。もっとも、客の騒ぐ声も相当なものなので、この程度の音量でないと聞えないだろうが。

入口の右側に小さなカウンターがあり、壁沿い三方は小上がりや座敷がぐるりと囲んでいる。店内は意外と広いようで、全63席とのことだ。
店のスタッフも若いし、お客も若者が多い。20代前半が中心という感じだが、安さに引かれてやってくる年配の客も少数ながらいるようだ。

店のスタッフも、接客が特にいい加減というわけではないのだが、良い意味でも悪い意味でも緊張感が全くない。自分も楽しみながら仕事をしているという感じ。タトゥもピアスもしてないスタッフの方が珍しいくらいだ。

この店のとりえは、ともかく安さ。なんせ、おつまみは10円からある。焼き鳥各種63円~84円。おでんも63円~。
それでまずい酒しかないかと言えば、さにあらず。18種類ある日本酒(550~700円)の中には、ちゃんと純米・純米吟醸酒も揃っているのだ。

銘柄は、純米吟醸が酔鯨、石鎚。大吟醸が今錦(以上700円)。
吟醸がばくれん(650円)、出羽桜・桜花吟醸(700円)。特別純米が田酒(700円)、純米がモヒカン娘(550円)、大治郎(650円)、山廃が群馬泉(550円)、本醸造が磯自慢(550円)、〆張鶴(650円)、八海山(700円)、越乃景虎(650円)、ほか久保田の千寿(700円)・百寿(650円)、栄の井(550円)、武勇(550円)、あたごの松(550円)と、なかなかの品揃え。上手に選べば、それなりに旨い酒を飲める。

日本酒は、グラスどころか升からも溢れそうなほどたっぷり注いでくれる。当然、1合をはるかに超えているので、かなりお得だ。
焼酎は47種、泡盛6種、梅酒11種もあり、値段はすべて450円。ビール294円。
お通しは410円だが、この安さは若者にはありがたいだろう。

万人受けとはほど遠い店だが、この友達ノリを楽しめるなら、1回試してみるのも悪くない。(店内は相当うるさいけどね。)
下手な格安居酒屋でまずい日本酒を覚えるくらいなら、この店で美味しい日本酒デビューを飾った方が、いい春になると思うぞ!

→居酒屋いくなら俺んち来い
http://five-group.co.jp/izakoi3.html

根津の小さな酒亭「呼友」 (10/3/17)

広くはないが、きれいな店で、美味しいお酒と美味しい料理が揃っている。だが、紹介するかどうか、かなり迷った。この店も、意外にお客との相性があるように感じたからだ。

店は、ご夫婦で切り盛りしている根津の小さな酒亭「呼友」だ。開店は1998年だが、2009年4月16日にリニューアルして、和風モダンのきれいな店舗になった。
場所は、地下鉄千代田線・根津駅の1番出口を出て、不忍通りを千駄木方面に歩き、根津小学校前の信号を右折して、路地を約80mほど入った右手

裏通りなので目立たないが、格子の外装は和風らしくてなかなか美しい。入口には小さなお品書きが立てられている。
店に入ると、右側が5席のカウンター、その奥に2人用テーブルが2卓、突き当たりの小上がりに掘りごたつ式のテーブル(4~8人くらい)がある。
白い壁と、落ち着いた焦茶の板材で構成された内装は清潔そうだ。カウンターも、上に酒瓶や皿が並べてあるが、向かいの戸棚はすべて扉が付いていて、すっきりと整頓されている

日本酒は、蕎麦猪口に1合を注いで持ってきてくれる。お燗の場合は、徳利とぐい呑みだ。
銘柄は、「冷や」と「お燗」とに分かれて書かれているが、頼めばどれでもお燗に付けてもらえる。冷や用として、宝剣・純米(650円)、真稜・純米(650円)、開運・純米(700円)、東一・純米(700円)、播州一献・山廃純米(650円)、ばくでん・吟醸亀の尾(700円)、田酒・特別純米(750円)、鳳凰美田・純米吟醸(750円)、白岳仙・純米吟醸(750円)、あずまみね・純米吟醸(750円)、美和桜・純米吟醸(850円)、八海山・本醸造(900円)。
お燗向用として、宝剣(650円)、開運(650円)、立山(650円)、天青(650円)、上喜元(850円)、義侠(850円)がある。
ビールはヱビスとキリン・プレミアム無濾過の瓶のみで、生ビールはない。

ちょっと気になるのは、八海山・本醸造の値段だ。このお酒は、本来ならこの店で一番安い部類に入るはず。それが逆に高いということは、酒問屋でプレミアムでも付けられているのだろうか。確かに人気の高い銘柄だが、このラインナップに無理して加えるほどではないと思う。特にこだわりがないなら、これ以外の銘柄をおすすめしたい。
なお、店名にある「呼友」は見当たらなかった。「呼友」は、「久保田」で知られる朝日酒造の純米大吟醸酒と同じ名前。店名を見て期待する飲兵衛は多いと思うが、これは少々肩すかしだ。(隠してあったりして…?)

料理は魚と野菜が主体で、 お刺身・炭火焼・煮物・天ぷら…など、関西風の上品な味付け。特に、出汁の美味しさはかなり評判がいい。日本酒同様、料理も750円前後が中心。
おつけ物(500円)、釜上げしらす鬼おろし(600円)、秋刀魚梅煮(750円)、もずく雑炊(750円)、かに梅しそ焼き飯(950円)…など。千円を超えるものは炭火焼きの穴子(1,000円)、太刀魚(1,000円)、たら白子(1,200円)と、お刺身盛り合わせ(1,600円)の4品くらいだった。

料理の種類は多くないが、内容を考えるとコスト・パフォーマンスはいい。1皿の量も、1人では多すぎるくらい。難を言えば、料理がどれも上品なので、ガツンと肉が食べたい!…といった用途には向かないだろう。
逆に、品のいい肴を適度につまみながら、旨いお酒を楽しみたいという向きには、穴場の店になる。

店内は静かで、全席禁煙。 ご夫婦とも真面目そうなタイプで、初めてだと愛想がないようにも見える。特にご主人は料理に専念していることもあって、あちらから話しかけて来ることはまずない。(もちろん、話しかければちゃんと応じてもらえる。)若くて穏やかそうなご主人だが、下町育ちの割には、お喋りが苦手なのかもしれない。

そんな環境のため、にぎやかに飲むのではなく、どちらかと言うと静かに料理と酒を楽しむといった雰囲気が漂っている。これを窮屈に感じる人には、この店はおすすめできない。

下記のホームページに料理やお酒のお品書きがあるが、いずれも値段はない。季節によって変動するということなのかもしれないが、これはちょっと残念。決して高くないのだから、値段を書いた方が訪れやすくなると思う。

→根津 呼友
http://www.nedukoyu.gotohp.jp/

すごい割引サービス!護国寺「銀の海」 (10/3/10)

ここも、好き嫌いが分かれそうな居酒屋ではある。美味しい地酒と美味しい魚を安く食べたいという人にはおすすめだが、お店の雰囲気やサービスを重視する人には、正直ちょっとお勧めしづらい

場所は、地下鉄有楽町線「護国寺」駅の上。4番出口から出て、音羽通りを講談社方面へ向かうと、「護国寺南」交差点角の地下にある。駅から近いのは嬉しいところだ。

地下に降りると2つの店が並んでいるが、奥にある「銀の海」がその店。ウィンドウに魚網が吊るされ、入る前から漁師っぽいムードだ。
ドアを開けると、右側にテーブルが2卓、奥の壁際に5卓ある。壁際のテーブル間は簾で仕切られている。その手前のフロア中央部に小上がりがあり、そこにもテーブル席と同じくらいの席があるようだ。

この店は、もともと伊豆下田の釣り舟「靖丸」が都内で直営していた4店の1つなのだが、本業の釣り舟は最近廃業したらしい。姉妹店は、四谷、池袋、本郷三丁目にある。
店は大衆的な和風居酒屋らしい内装で、壁にはメニューの短冊やら伊豆のポスターやらが貼られている。音楽は古いポップスで、店長も見るからに漁師っぽい雰囲気。

売りはもちろん、お刺身だ。単品の多くは660円で、キンメダイ、メジマグロ、イサキ、カンパチ、サワラ、ホウボウ、赤貝、クラゲがすべてこの価格だ。アジ、カツオ、スズキは630円で、サザエのみ720円。
これらの刺身は、いずれも毎週土・日と祝日には半額になるので、近所の住人はそれを狙って訪れるらしい。

盛り合わせは半額の対象外のようだが、それでもかなりお得な価格設定になっている。「おまかせ」なので種類は指定できないが、3品(930円)から7品(2,020円)まである。にぎり寿司も同様で、5貫・870円、8貫・1,090円だ。

他の肴は450円~930円という価格で、700円前後が多い。メニュー例はホームページに掲載されている。豆腐の味噌漬けを上品にしたような「ゆず味噌豆腐」(510円)や、有明海の珍味と言われている貝「海茸」(590円)…など、定番の刺身以外にも結構面白いものがある。全体的に海の幸中心のメニュー構成ではあるが、味も決して悪くない。

地酒は、定番7種類、日替わり6種類という構成で、1合または2合で注文する。酒器はよくある徳利(吹雪)とグラスなので、あまり風情はない。1合徳利は、厳密には1合弱の量だと思う。
定番は、信濃鶴・純米(580円)、往駒(いこま)・純米(600円)、車坂・吟醸(600円)、鳳凰美田・吟醸(600円)、松の寿・純米(660円)、悪(わる)の代官・特別本醸造(700円)、獺祭の純米吟醸50(800円)。たまに十四代(本丸で1,000円)が入ることもあるらしい。
種類は多くないが、このラインナップはなかなかの目利きだ。定番の地酒は、毎週月曜に限りすべて半額になるので、飲兵衛としてはこっちを狙いたい。

メニューにある「おまかせ利き酒セット」は、よその店なら3種セットが普通だが、ここは5種で1,500円。
驚きだったのは、「三増酒 390円」というメニューがあったこと。三増酒というのは、日本酒にたっぷり醸造アルコールを加え、薄まった味を糖類などで調節して、元の3倍くらいまで増やした酒という意味。要するに最低クラスの安酒を指す用語だが、それを堂々と表記しているのは初めて見た。一方で美味しい地酒を揃えてわけだから、これは一種の皮肉なのかもしれない。

日替わりの隠し酒は、 安手のミニポケットアルバム(!)を流用したメニューが別に用意されている。こちらは無濾過の生酒や古酒など、定番よりグレードの高い地酒ばかりだ。先週あったのは、白隠正宗・純米(850円)、亀齢・純米(850円)、花泉 口万(ろまん)・純米(900円)、龍勢・純米(900円)、黒牛・純米(900円)、秀鳳・特別純米(900円)。日替わりの地酒は、半額サービスの対象外になっている。

店に足を運んでみようかと思うなら、店のホームページは必見だ。驚きのサービスクーポンが掲載されている。1つは、6名以上で4000円~のコース料理を予約すると、6割引き(1,600円~)になるもの。もう1つは、祝日とその前日を除く月~木曜日に2人以上で利用すると、全商品が半額になるものだ。(ただし1人最低額3,500円)
思わず「おいおい!」と突っ込みたくなるようなサービスぶりで、これを使わないのはもったいない。

この店で唯一高いのは、お通し。ひとつかみの枝豆で600円はないだろう。まあ、半額で飲み食いさせてもらったら、文句は言えないけど。
なお、姉妹店でも似たようなサービスを実施しているので、そちらもチェックしたい。

→銀の海
http://ginnoumi.seesaa.net/

酒も魚も、コストパフォーマンス高!十条「ほり」 (10/3/5)

家族経営の小さな居酒屋というと、当たりさわりのない店が多い。だが、家族経営だからこそ、高いコスト・パフォーマンスを発揮できることもある。十条のちょっと外れにある居酒屋「ほり」は、そんな嬉しい居酒屋のひとつだ。

場所は、JR十条駅の北口広場から左へ抜け、いちょう通りを右折して環七方面へ300mほど歩いた左側。セブンイレブン上十条店の次の角にある。
店は普通の大衆居酒屋といった趣だが、入口の左側には銘酒の空瓶が、右側には主な銘柄が書かれた黒板があるので、地酒好きならきっと足を止めるに違いない。

引戸を開けて店に入ると、中もごく普通の和風居酒屋。すぐ右手に6席ほどのカウンターがある。左手から右奥にかけては全てカギ型の小上がりになっていて、そこに座卓が4~5卓ある。
壁にはメニューの短冊がぎっしり。奥の壁はほとんどが酒の銘柄だ。

ご主人の小田信夫さんと、息子さんの一志さんがカウンター内で調理にあたり、おかみさんがサービスを担当している。カウンターの上には、きき酒師の資格証も。好きな銘柄や、味の好みを言えば、合いそうなものを見つくろってくれる。

日本酒は、小ぶりの半合升に入ったグラスに注がれ、量は約140ml。1合以上の注文だと、徳利になる。
銘柄は、田酒、酉与右衛門、阿櫻、雪の芽舎、一白水成、十四代、砂潟、伯楽星、飛露喜、〆張鶴、村祐、富美川、佐久の花、丹澤山、勝駒、白岳仙、梵、早瀬浦、醸し人九平次、義侠、房島屋、醴泉、黒牛、三重錦、酒屋 八兵衛、而今、王禄、本州一、雨後の月、東洋美人、東一…といった珠玉のラインナップ。臨時入荷品の逸品もいくつかあるようだ。
価格はグラスで500~800円くらい。十四代の純米吟醸「龍の落とし子」でも900円と、良心的だ。

焼酎もかなりの品ぞろえで、佐藤(黒・白・麦)、伊佐美、月の中、萬膳、宝山 芋麹全量、金の露、川越、喜六、中々、山ねこ、晴耕雨読黒麹、不二才、釈云麦、黒さつま、壱乃醸 朝日…等があった。こちらもプレミアム価格が上乗せされている気配はなく、高いものでも600円ほど。
梅酒(480~550円)も、小鹿、越乃景虎、南部美人、赤短の梅酒、鶴梅完熟、あらごし梅酒、雑賀、黒牛の8種類がある。

料理は、メニューに書かれた定番料理と、ホワイトボードに書かれた生鮮素材中心の日替わりとがある。
定番料理は、冷やしトマト(380円)、皮つきポテトフライ(380円)、アボガド刺(480円)、納豆オムレツ(480円)、揚げだし豆腐(480円)、、肉とうふ(500円)、鮭たま丼(500円)、お茶漬け(580円)、鴨もも肉唐揚げ(600円)、おむすび(1個・180円)…など。

先週の日替わりメニューには、国産鶏肝串焼(2本・380円)、やわらか豆腐ステーキ黒酢あんソース(500円)、北海道産生かすべ煮(500円)、青森産ほたてのグラタン(650円)、自家製鴨ももつくね焼(680円)、塩ラーメン(680円)、海老チャーハン(750円)、舌平目のムニエル(700円)、沖めばる煮付け(880円)…など、20種類ほどが書かれていた。

ちょっと気取った居酒屋なら、干物で1,500円はするノドグロが、ここは刺身で800円。これだけ美味しいお酒と魚を手頃な価格で出してくれるのは、とても嬉しい!

これまで、雑誌やTV局から何回も紹介したいという話があったそうだが、一切拒否しているそうだ。一時的に大繁盛しても、さばききれずに常連さんに迷惑をかけてしまうという配慮らしい。おかげで、ほっとできるような落ち着いた店になっている。家庭的な雰囲気のためか、意外に女性客も多い。

ネット上で検索してもほとんどヒットしないため、実はここでの紹介も躊躇した。このブログの場合、幸か不幸か読者が多くないので、迷惑はかけずに済むだろう。行ってみたいという人は、ここに書いた情報を頼りに訪ねてみて!

→小料理 ほり  39070781
 営業時間:午後5時~午前1時 定休日:日曜・祭日

世界最強のウィスキー「GEORGE T. STAGG」 (10/3/2)

日本酒業界も低迷しているが、ウィスキー業界もかなり厳しい状況が続いている。最近は強いお酒が敬遠される傾向にあるから、度数の高いウィスキーは分が悪い
それが昨年度、前年対比10.6%もの販売増に転じたのは、某メーカーの「ハイボール販促キャンペーン」のたまものだろう。ほとんど死語と化していた「ハイボール」を復活させるとは、けっこう思いきったキャンペーンだ。

だが、ハードなお酒の愛好者も、少ないながら間違いなくいる。最近、イチローズ・モルトを見かける機会が増えてきたのも、潜在需要があるからこそだろう。(イチローズ・モルトは、度数の強い原酒が多い。)
ハードな酒が嫌いじゃないという人に、おすすめのバーボンがある。それが、「ジョージ T スタッグ」だ。

製造は、ケンタッキー州のバッファロー・トレース蒸溜所。1999年6月までは「エンシェント・エイジ蒸溜所」という名前だったと言えば、ご存じの方も大いはずだ。
同蒸溜所の創業は1869年だが、酒造り自体は小規模ながら18世紀末から始めており、実質は220年近い歴史がある。樽熟成には、優に百年を超えるレンガ倉庫も、いまだ現役で使われているという。

アメリカの禁酒法時代でも、薬用として製造を認可されていた数少ない蒸溜所のひとつであり、近年ではイギリスの「ウイスキー・マガジン」誌から「2005年No.1蒸留所」に選ばれている。
昔から「エンシェント・エイジ」や「ブラントン」で評価が高く、自分も20代の頃によく飲んだ。
ここから2002年度以来、ほぼ年1回のペースで限定発売されるプレミアム・バーボンが「ジョージ T スタッグ」だ。

同社の無数にあるバーボン熟成樽の中から、木目の詰んだフレンチ・オーク樽で15年ほど寝かされた、その年最高の1樽が選ばれる。それを、カスク・ストレングス&ノンチルフィルター(濾過も加水もしない原酒)でボトリング。従って、度数はその年により異なるが、ここ5年ほどは70度を超えるものばかりで、2007年物などは72.4度という強烈な度数になっている。

だが、アルコール度数のみならず、その旨さもまた強烈だ。重厚感のある濃厚な味わいで、ほのかな渋みと甘みが心地よい。これまで自分が飲んだバーボンはいいとこ60~70種程度だと思うが、少なくともその中ではベストの味と感じた。ちなみに、飲んだのは2006年物だ。
ただ、なんせウィスキーとして世界最高の度数なだけに、飲みすぎにはくれぐれも気を付けてほしい。(実は自分も、これを飲んで旨さに感激した後の記憶が飛んでいる…。

年にわずか300~400本という超限定品のため、本国アメリカでもなかなかお目にかかれない。日本の価格でボトル2万円前後が相場だが、年度によっていはその倍近い値段が付けられていることもある。
ショット・バーでの価格は、シングル2,000~2,500円といったところ。確かに高価だが、もし見つけたら1回飲んでみる価値はある。参考までに、各年度の度数を挙げておこう。

・2002年/68.8度
・2003年/71.35度
・2004年/65.9度
・2005年/ロットA=65.45度、ロットB=65.9度、秋物=70.6度
・2006年/70.3度
・2007年/72.4度
・2008年/70.9度
・2009年/70.7度

2009年度はまだ発売されたばかりだ。
なお、同蒸溜所の看板商品は、蒸留所と同じ名前のバーボン「バッファロー・トレース」で、こちらも人気が高い。そのほか、「ロックヒル・ファーム」「ハンコックス・リザーブ」「イーグルレア」、ライ・ウィスキーの「サゼラック ライ」や「トーマスHハンディー」、ウォッカの「レイン」…なども作っている。

→バッファロー・トレース蒸溜所(英語)
http://www.buffalotrace.com/


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