千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2010年02月

厳選された洋酒も魅力!飯田橋の隠れビアバー「BITTER」 (10/2/23)

神楽坂は、隠れ家が密集して出来上がっているような街だ。面白い店が多いことで知られる本多横丁にも、隠れ家が多い。その1つに、ちょっとユニークなビアバーがある。

場所は、飯田橋駅から早稲田通りを上り、中華「五十番」を右折して、本多横丁を約150mほど歩いた右側2階。と言っても、これだけでは見つからないこと必至だ。なんせ、目印は階段の下に吊り下げられたランプだけ。蕎麦屋「まろうど」の向かいなので、注意して赤いランプを見つけてほしい。

階段の上に2軒の店があるが、横丁に面している「BITTER」がそれだ。写真にある木製の扉のみで、中はうかがえない。フリーの客は来るなと言わんばかりの店構えだ。

中に入ると、まず正面に三角形の中型テーブルがある。一応、椅子が4脚並べられているが、立ち飲みなら6~8人で使えるだろう。右側には、奥に向かって8席のカウンター。オリジナルのスツールは、背もたれ付きで座りやすい。
入口横のドラフト・サーバーの前にも、立ち飲みで2人くらいは大丈夫。窓はほとんど塞がれているが、左側の窓際にも立ち飲み用の小さなテーブル(2人用)が2卓置かれている。

カウンターもテーブルも組板で造られており、壁にはコースターなどの小物があちこちに置かれている。鉄のフードで覆われた照明も程良い暗さで、バーボンがおいしいショットバーといった雰囲気だ。(実際、バーボンもある。)
しかし、棚にはずらりと様々なブランドのビアグラスが並べられている。

どちらかと言えば男っぽい造りのこの店を、姉妹2人で切り盛りしているところに意表を突かれる。
店主の西條真弓さんは、大学時代にベルギービールに魅せられ、名店「ブラッセルズ」へ入った。厨房を経験後、23歳の若さで神楽坂店の店長に抜擢。10年に及ぶ修行の後、満を持して妹の照子さんと「BITTER」を開店したのが、2006年8月10日だ。

ドリンクメニューの表面はすべてベルギービール。裏面はドイツ、アイルランド、日本のビールになっており、全部でビールは65種類。すべてに味わいの傾向を表すシールが貼られていて、分かりやすい。ほかに、週替わりの生ビールも3種類ほどある。
価格は1杯800円~2,600円までと幅広いが、多くは1,000~1,300円だ。
日本のビールは、舞浜イクスピアリの地ビール「ハーヴェストムーン」3タイプのみ(各1,000円)!

ほかに、20種ほどのウィスキーや、カルバドス、ジン、ラムなどもあるのだが、いずれも目を見張るボトルが混じっていたりして、なかなか侮れない。(イチローズモルトや、モカンボ・アートエディション20年、レジェンド・オブ・キューバン・ラム、…なぜか泡盛の「カリー春雨」なども並んでいた。)
値段を確認してみたところ、これらは1杯700円~1,600円のようだ。

一応ワインも何本か置いてあるが、ハーフボトルで5,000円前後。かなり高品質な銘柄だったので、質を考えれば相当お得だが、もっぱら常連用ということだった。日本酒はさすがに置いていない。

料理は20種類少々だが、ビールに合いそうなものが色々と揃っている。500~800円くらいが中心なので、ビールより安め。ホームページに掲載されている定番メニュー以外に、こちらも日替わりがある。

3人以上で使えるテーブルが1つしかないこともあって、客は基本的に1~2人。おまけに、この立地だから常連の比率はかなり高い。予約もほとんどできない。それらを差し引いても、厳選された美味しい洋酒と、ジーンズのように馴染める隠れ家の味は捨てがたい。
おいしいビールが飲みたい夜、間違いなく行きたくなる1軒。

→ビアバーBITTER
http://www.beerbar-bitter.com/

銘酒居酒屋も顔負け!西日暮里「稲毛屋」 (10/2/16)

蕎麦屋で日本酒というのは、よくあるパターンだが、銘酒を揃えた鰻屋というのは、ちょっと珍しい。西日暮里と千駄木の間にある「稲毛屋」は、老舗の鰻屋にもかかわらず、銘酒が格安で飲める居酒屋として人気になっている。

場所は、西日暮里駅の改札を出て、道灌山通りを左(千駄木方面)へ350mほど直進し、「道灌山下」交差点に突き当ったら、不忍通りを右に進んで30mほどの右手にある。
千駄木駅からだと、2番出口を出て不忍通りを駒込方面へ450mほど直進した右側だ。どちらの駅からも、徒歩7分程度の距離にある。

創業は昭和2年。無類の酒好きとして知られた落語の名人、古今亭志ん生がご贔屓の店だったことでも知られている。今の店主で三代目だそうだ。
店の1階は、カウンター4席にテーブルが6卓くらい、2階はフローリングの座敷になっている。照明は明る過ぎず、居酒屋としても十分成り立つ造りだ。

日本酒は、純米と純米吟醸ばかり40種類ほどある。お燗以外は、黒塗りの升に入れられたグラスに、少し溢れさせて注がれる。量は120mlくらいだと思うが、価格ともかく安い
純米吟醸酒の黒龍、貴、萩錦、白露垂珠…、純米酒の田酒、天青、飛露喜、八海山、雨後の月、志太泉、宝剣、奈良萬、龍力、初孫、辨天娘…といった銘柄が、すべて480円なのだ。臨時入荷雪鶴、長陽福娘、あぶくま…なども、すべて純米吟醸で480円だった。

而今陸奥八仙は一押しの銘柄らしく、それぞれ数種類の中から日替わりで入り、これも480円から。

中には550円の銘柄もあるが、悦凱陣の純米と、松の寿、正雪、緑の英君の純米吟醸くらいだ。
更にすごいのは「日替わり地酒」で、なんと1杯250円(ただし、これはグラスから溢れさせない)。先週は豊香渡舟だった。

お燗用のお酒は、小650円、大1,300円になる。こちらも竹鶴、鷹勇、澤姫、きもとのどぶ…など、錚々たる面々。「お試し燗酒」なら小450円、大900円と、こちらも格安品が用意されている。

チェイサーは「やわらぎ水」として250円かかるが、酒蔵(先週は「貴」)の仕込み水を500mlは入りそうなピッチャーにたっぷり注いでくれるので文句はない。確認したわけではないが、お通しは無料らしい。

おまけに、日本酒以外にも見逃せない酒が揃っている。焼酎は、佐藤の黒、魔王、伊佐美…などが600円、百年の孤独でも700円。(ボトルも7種類あり)
ウィスキーでは、なんとイチローズ・モルトのカードシリーズ(エイト・オブ・ハーツと、テン・オブ・クラブス)が置いてあった。こんな鰻屋は、おそらく全国でもここだけだろう。しかもグラス千円という安さだが、さすがにこれは常連限定という話だ。

肝心の鰻はと言うと、鰻の大きさこそ少々物足りないが、ノーマル、和風、関西風と3種類の鰻丼(1,500円)がある。ノーマルは蒸して焼いたもの、和風は蒸した鰻にアサツキと海苔を載せたもの、関西風は蒸さずに焼いたものだ。人気のメニューは、ひつまぶし(2,500円)。酒の肴としては、にこごり(500円)やミニ白焼き(850円)が手頃だ。

鰻の産地は日によって変わるため、壁に貼り出されている。鰻は20時頃になると品切れになってくるので、食べたければ早めに注文するか、予約しておいた方がいい。種類は限られるが焼鳥など軽い酒の肴もあり、ホームページでも参照できる。

店では定期的に日本酒の会を開催しているが、これも相当な人気。ホームページに掲載されている分はすべて満員御礼になっている。(個人的には、これから募集が始まる6月7日の「而今の会」に目をつけている。)

もはや鰻と酒のどちらが主役か分からないほどの店だが、惜しむらくは閉店が21時頃と早いことだ。
いや、呑み始めると止まらない飲兵衛にとっては、むしろこれくらいで締めてもらった方が有り難いか?

→稲毛屋
http://www006.upp.so-net.ne.jp/inageya/

銀座「めざマル酒」に行ってみた。 (10/2/10)

1月22日(金)に、フジテレビの「めざましテレビ」がプロデュースする日本全国約2万点の物産を集めた物産館「銀座めざマルシェ」が銀座にオープンした。フロア面積はさほど広くないが、地下1階~地上13階までのビル1棟まるごとだ。
その11階に「めざマル酒」というフロアがあり、日本酒・焼酎を中心にした全国のお酒500~600種類がそろっているということで、昨日ちょっと覗いて来た。

場所は外堀通り沿い、ソニービルの3軒隣だ。1階ウィンドウには、10万個のラインストーンで飾られた3メートルの「デコめざましくん」があるので、それが目印になる。地下には生鮮品売場があり、12・13階にはレストランやカフェも併設されている。

3~10階が全国各地の物産フロアで、北海道・東北が3階、北陸・甲信越が4階、関東・静岡が5階、関西・東海が6階、中国・四国が7階、沖縄・九州が10階といった構成。各フロアの入口に、番組キャスターの等身大パネルが置かれているのが少々邪魔くさい

11階の「めざマル酒」フロアに入ると、まず酒蔵をイメージした立ち飲みコーナーがある。壁面にずらりと酒瓶が並べてあり、中央に四角いカウンター。並べてあるお酒はほとんどこのカウンターで試飲でき、価格は1合500円くらいから1,200円超まで色々だ。「利き酒セット」だと好きな3種を選択でき、(ただし除外品あり)お猪口サイズのグラス3杯で525円とお得だ。
室温での陳列が少々気になったが、口を開けたものは向かいの冷蔵庫で保管されるようだ。半分以上のお酒は、その場で購入できる。

銘柄は、出羽桜、裏・雅山流「香華」、墨廼江、黒龍「いっちょらい」、酔鯨「鯨海酔侯」、大七、明鏡止水、達磨正宗、天寶一、上善如水、舞姫、北雪、七田…等々、バラエティに富んでおり、高くても1升3千円くらいまでの価格で、本醸造から大吟醸まで購入できる。
つまみは焼鳥を中心にした鶏料理が20~30種類くらい。

立ち飲みコーナーの奥には居酒屋スペースがあり、そこではカウンターか大テーブルに座って飲食できる。窓からは銀座の夜景が眺められて、雰囲気は悪くない。出勤前の銀座のお姉さんらしいお客さんもいた。(同伴で焼鳥か…?)

物産館らしく、日本各地40種程の地鶏が用意され、地鶏トリわさ(840円)、地鶏チキンカツ(945円)、丹波黒鶏タタキサラダ(1,260円)、地鶏焼き鳥5本セット(1,575円)、地鶏3種焼きネギ間(1,575円)…などが楽しめる。鶏好きにはいいかもしれないが、自分のような魚好きにはツライ。鶏以外の料理がほとんどないのは残念だ。

ランチタイムには、地鶏3種が入った「昼定食」(いずれも味噌汁・おしんこ・煮物・サラダ付きで1,575円)をやっている。メニューは焼き鳥丼セット、親子丼セット、タレ唐丼セットの3種類。こちらは近くのOLなどに人気のようだ。

おそらく女性誌などで紹介されたのだろう、お客に女性が目立つ。手頃なデートスポットとしてもらしく、週末は入場制限になるのも無理はない。
じっくり落ち着いて飲む場所ではないが、ちょっと1杯ひっかけるには良さそうだ。壁を埋める一升瓶を眺めているだけで、飲兵衛には居心地がいい。
11階の営業時間は、10時~22時まで。

→銀座めざマルシェ
http://www.fujitv.co.jp/gotofujitv/mezamarche/

どっぷりハマる和の楽園!市ヶ谷「あて」 (10/2/4)

最近、古い民家を改装して店をオープンするというケースによく遭遇する。日頃、ハイテク機器ばかり使っている反動か、『3丁目の夕陽』などの懐古趣味に癒しを感じるためか…?

市ヶ谷の「あて」も、昭和34年築の小さな一軒家を改装した居酒屋だ。路地裏の目立たない立地も、このたたずまいによく似合っている。
場所は、JR市ヶ谷駅の改札を出て、靖国通りを「三菱東京UFJ銀行」側に渡り、靖国神社方面へ200mほど歩いて「大島眼科」の手前を右折する。右側3軒目にある「加藤歯科医院」の角を右に入ると、左側の2軒目だ。地下鉄「市ヶ谷」駅からだと、都営新宿線のA3出口を上れば、「大島眼科」横に出る。

見た目はただの民家なので、行灯が出ていなければ、ここが居酒屋だとはちょっと気付かない。久々に訪れた田舎の家といった雰囲気。
引き戸(もちろん手動)を開けたら、まず三和土(たたき)で靴を脱ぐ。靴は脱ぎっぱなしでOK。すぐ右手に2階への階段があり、左手にトイレがある。
1階は板の間で、右側に6席の掘りごたつ式カウンター、左側に2人用の小さな座卓が2卓あり、定員は合わせて10人だ。2階の座敷には4人用の座卓が4卓あり、詰めれば20人くらいまで入れる。

開店は2008年6月。店舗に改造する際、内装は全面的に変えたそうだが、まったく分からないほど見事に馴染んでいる。ホームページに店内の写真も掲載されているが、簾に額入り障子、行灯、茶釜…と和風情緒あふれるインテリアだ。BGMもない。

カウンター内では、店長の小林充人さんと男性スタッフの2人が料理を担当し、女性スタッフが1人で1階~2階のお運びを担当している。狭い店とは言え、混んで来るとこの人数では手が回らない。料理に時間が掛かってしまうこともあるので、余裕を見て注文した方がいい。混むのが分かっているような日には、スタッフをもう1人増やすそうだ。

カウンターの右端には燗銅壺(かんどうこ)が置かれており、徳利8本まで1度に燗付けできる。お酒は、冷やでも燗でも、徳利と蛇の目猪口で提供される。
日本酒は23種類ほどだが、そのラインナップはお見事。高くても正一合950円までという価格帯を考えれば、これだけバランスが取れた上質のラインナップには、そうそうお目にかかれない。(ただし、価格は全て外税)

銘柄はすべて純米以上で、高津川(700円)、緑川(750円)、天遊淋(750円)、睡龍「涼」(750円)、菊姫・山廃(750円)、白岳仙・純米吟醸(750円)、酔右衛門・山田錦(900円)、乾坤一・特別純米(800円)、伯楽星・特別純米(800円)、飛露喜・特別純米(850円)、松の寿(750円)、蓬莱・美山錦(800円)、神亀(950円)、木戸泉・山廃(800円)、醴泉・山田錦(900円)、醸し人九平次・純吟山田錦(950円)、長珍(850円)、喜久醉・特別純米(850円)、竹鶴「秘傅」(800円)、三芳菊・無濾過生(800円)、山形正宗・純米吟醸雄町(950円)、石鎚・純米吟醸(900円)、諏訪泉「満点星」純米吟醸(950円)。

味の好みは別にして、美味しいことは保証付きのセレクションだ。ほかに、メニューにないものが入荷していることもある。(昨日は、冷蔵庫の中に「而今・おりがらみ」を見つけた!
金魚という酒があるが、これはたまに下町などで見かける、大葉と唐辛子を入れた酎ハイのこと。「和風」つながりでメニューに加わったのだろう。

料理は煮物(煮付、煮込、甘露煮、田舎煮)が看板で、価格は450~750円くらいが中心。一番安い「塩にぎり・佃煮付き」が250円、一番高い「牛バルサミコ煮」が950円だ。冬メニューの「あん胆」は今ひとつだったが、お造りは美味しかった。
お通しが寿司1貫と佃煮(350円)というのも独特。締めは「銀しゃりとたまご」(350円)が名物だ。ここは東京軍鶏の玉子を使っていて、このシンプルな食べ方がおすすめなのだ。

和風好きで、特に燗酒が好きなら、この店は天国。ここで飲み始めたら、切り良く引き上げる勇気はなかなか出ないだろう。自分も、ついつい長居してしまった…。
ちなみに、2階からスタッフを呼ぶ時には、手を叩いて合図する。こんなところも、あくまで和風なところが心憎い。

→あて ~煮込 肴~
http://yumemania.jp/ate.php

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