千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2009年10月

和酒が300種近く揃った居酒屋、上野「飴家」 (09/10/30)

飴家は、前回の「れんこん」の姉妹店として、2002年5月26日にオープンした。看板には「和牛料理専門店」と書かれているが、和牛料理以外でも充分に楽しめる。自分などは、むしろ和酒BARとして楽しみたい店だ。

店名は、当然「アメヤ横丁」から取ったのだろう。終戦直後のヤミ市として誕生したこの界隈の青空市場が、昭和22年秋頃から「アメヤ横丁」と呼ばれるようになった。上野発の列車を待つ人々に飴を売り始めた店が大当たりし、たちまち300軒近い飴屋が軒を連ねたのが由来らしい。この地で古くから飲食店を営んでいた、店の出自を象徴するネーミングだ。

店は、前回紹介した「れんこん」の2軒左隣。こちらは地下にあり、和風ながら「れんこん」とは違ってダイニングバー風のインテリアになっている。BGMのジャズも、こちらの方が馴染んでいる感じ。
入口に「携帯つながります」と書いてある通り、地下でも携帯電話がつながる点はありがたい。

階段を降りて店に入ると、フロア手前から奥に向かって4人用テーブルが4卓並び、その右側に8~10席ほどのカウンターがある。奥の壁際にもテーブルが4卓、ほかに個室もあるらしく、全部で53席というキャパだ。フロアスタッフには、男性3人と若い女性2人がいた。

テーブルの間は簾で仕切れるようになっており、和風テイストではあるのだが、カウンターはBARっぽい。ただし、向かいの棚のほとんどを占めるのは、200種類近い焼酎の瓶だ。焼酎好きは、ラベルでオーダーするという楽しみ方もありそう。(1杯480円~)

焼酎には、3日以上前から割ってある「前割り」も5種類ほど用意してあり、(芋=八幡、麦=藤の露、米=観無量、泡盛=春雨ゴールド、他)それぞれ各地の酒器で提供してくれると言うから、出身者ならずとも嬉しいサービスだ。

日本酒は35種類ほど。八海山、黒龍、磯自慢、飛露喜、田酒、くどき上手、醸し人九平次、獺祭、村祐、初亀、正雪、天狗舞、南、墨廼江、東洋美人、出羽桜、麓井、根知男山、鳳凰美田、貴、南部美人、明鏡止水、相模灘、神亀・ひこ孫、刈穂、瀧自慢、三千盛、庭のうぐいす、不動…といった銘柄が並ぶ。価格は半合(90ml)ですべて400円の均一価格。値段を気にしなくていい分、素直に飲みたい銘柄を選べる。

梅酒も15種(480円均一)、国産ワインも6種(小布施ワイナリー、勝沼醸造、登美の丘)あり、和酒へのこだわりはかなりのものだ。

店主は、きき酒師、焼酎アドバイザー、泡盛マイスターといった資格を持っているらしく、時にはスタッフと共に地方の蔵を見学に行ったりもしている。それだけに、お酒のセレクトは信頼できる。(ただし、通常カウンターの中に店主はいない。)

料理は、和牛お造り3点盛り(1,680円)、みすじ溶岩焼き(1,480円)、コラーゲン入り塩もつ鍋(1,200円)、和牛レバー刺(880円)、和牛の塩ユッケ(780円)、和牛肉じゃが(780円)、和牛100%メンチカツ(2個680円)…と和牛料理各種を取り揃えているが、それ以外の料理も豊富。

はまちのお造りレモンジュレ添え(780円)、かりかりごぼうとレタスのサラダ(680円)、伴介ホッケ焼き(680円)、スパイシー手羽揚げ(560円)…等々。「れんこん」との共通メニューもいくつかある。

なお2009年9月11日、3店目として麻布十番に「炉端・一炉一会」もオープンしたそうだ。

→ぐるなび:和牛料理&和酒300種 飴家
http://r.gnavi.co.jp/g760600/

バラエティー豊かな料理とおいしいお酒、上野「れんこん」 (09/10/28)

特定の食材をテーマにした店は、たまにある。魚介類なら、まぐろ、いわし、いか、貝、キャビア…など、野菜類なら、ネギ、大根、かぼちゃ、にんにく、キノコ、ごま…など、専門店も多様化している。
やはり応用のきく食材が多いが、上野にあるれんこんというのは、ちょっと珍しい

場所は、上野駅の広小路口から、アメ横センタービルの右側の上中(うえちゅん)に入り、最初の角を右折した右側3軒目。

間口は狭いものの、店は3階まである。1階はテーブル席とカウンター6席、2階はテーブル席と堀ごたつ席、3階は55名まで収容可能のお座敷になっている。
入口は格子戸が二重になっており、それぞれ左右異なる側が閉め切りだ。内装は田舎家風で、柱などに岩手南部から運んだ150年前の古材が使われているそうだ。トイレの入口は、にじり口を連想させるほど低くなっている。

開業は1998年。以前から飲食店を営んでいた一家が店を新しく構えるに当たり、上野の不忍池を一面埋め尽くす蓮にちなんで蓮根料理の店を思い立ったらしい。現在、常時10種以上の蓮根料理が用意されており、予約すれば「蓮根尽くしコース」(4,200円)も食べられる。

それ以外の料理も、刺身、揚げ物、蒸し物、サラダ、握り寿司、スッポン料理、果てはミーゴレン(インドネシア風やきそば)まで、意外なほど多彩なラインナップだ。

日本酒は蕎麦猪口で出され、量は1合弱くらいだろうか。普通酒の吉乃川(2合740円)から、純米大吟醸酒の獺祭(1,150円)まで14種類。銘柄はすべてホームページに掲載されているが、吉乃川以外はすべて特定名称酒が揃えられている。このほか、日によって更においしい「隠し酒」が飲めることもあるらしい(値段は要確認)。

焼酎も35種類(グラス480円~)あるが、珍しいのはれんこん焼酎荷葉(かよう)のしずく。この店以外では、なかなか飲めない代物だろう。
生ビールは、サントリー「プレミアムモルツ」(530円)、瓶ビールはキリン「ラガー」(500円)。

料理は、まずは名物・れんこん料理を1つは食べておきたい。定番の「辛子れんこん」(480円)もいいかもしれないが、一番人気は「れんこんのはさみ揚げ」(530円)だ。
れんこん以外では、名物じゃんぼしゅうまい(530円)、変わり肉じゃが(530円)、海老のふわふわ揚げ真丈(680円、すっぽん鍋(3,150円/1人前)…など。

創作料理の中には突っ込みを入れたくなるものもあるが(「フォアグラぽん酢」とか)、ほとんどの料理はなかなかイケる。「れんこん」料理という珍しさもあってか、メディアで取り上げられることも少なくない。

お酒は、2軒隣で和牛&和酒の店を営む女将の息子さんのチョイスだそうだ。きき酒師や焼酎アドバイザーの資格を持っているそうで、「れんこん」とは趣の異なるそちらの店も、また魅力ある店となっている。
というわけで、次回は引き続き姉妹店の「飴家」をご紹介したい。(※店の回し者ではありません!)

→れんこん・飴家
http://www.kei-planning.com/

地酒も充実してきた、新橋「魚金・ゆりかもめ店」 (09/10/26)

新橋で、おそらく知らぬ者はいない居酒屋チェーン「魚金」。安くて旨い魚が食べられるということで、連日どの店舗も満員だ。
ただ、自分としては、正直あまり好みではなかった。魚が安いことは安いが、旨さの点では納得できていないし、日本酒のラインナップが龍神酒造の「尾瀬の雪どけ」中心なのも、今ひとつ面白味に欠けている。

そんなわけで、滅多に足を運ばなかった「魚金」チェーンだが、職場に向かう途中の汐留側にある「魚金・ゆりかもめ店」が、ちょっと好みの風情だったので寄ってみた。「魚金」としては小さいところがいい。
場所は、新橋駅の銀座口を出て、駅前広場に沿って進んだ「新橋駅前ビル1号館」の脇にある。

「魚金」の本店ができたのは1995年。元々、池袋や上野で飲食店を営んでいた父親を手伝っていた金原社長が、独立して新橋駅烏森口に開店したのが最初だ。今では浜松町や五反田にも広がり、系列店は14店舗になっている。
ゆりかもめ店のオープンは、2007年7月20日だ。

店は、1階が立ち飲み、2階がテーブル席になっている。入ると、奥に向かってカウンターが延びていて、10人くらいは入れる。入ってすぐの部分には狭いテーブルがあるが、2階への階段の入口にもなっているため、ちょっと落ち着かなさそう。

「魚金」は、店によってメニューが微妙に違う。日本酒なら「尾瀬の雪どけ」があるのは全店共通だが、それ以外は店長の裁量によるのか、けっこうまちまちなのだ。
ここ「ゆりかもめ店」の店長は、「まっちゃん」こと松山晃士さん。ほかに4人の男女スタッフがいる。
日本酒にはかなり力を入れており、旨い日本酒ばかりが、ほぼ毎日入荷するという。1合と5勺(0.5合)の2サイズを選べるのもうれしい。

自分が行った日のラインナップは、宝剣(1合700円・5勺380円)、刈穂(730円・390円)、緑川(730円・390円)、豊賀(730円・390円)、白岳泉(760円・410円)、七田(760円・410円)、鶴齢(790円・420円)、 酔鯨(800円・430円)、獺祭(800円・430円)、綿屋(850円・450円)、初緑(850円・450円)、 龍力(940円・500円)、悦凱陣(940円・500円)…など。立ち飲みとしては安く感じないが、お酒のレベルを考えれば高くはない。特に、2階で座って飲めるならお得だろう。

焼酎も色々あって、大体500円~600円。例外は、佐藤・麦(650円)、佐藤・黒麹(700円)、百年の孤独(750円)、魔王(900円)くらい。

刺身類については、有名なので今更ご紹介するまでもないだろうが、旬の魚が380円程から食べられる。
ユニークなのが、刺身の2点盛(580円)、3点盛(1,190円)、6点盛(1,680円)。2点盛は好きな組み合わせが選べ、3点盛はなぜか6種類盛られており、6点盛はこれまた12種類も盛られている。この倍盛りの心意気が受けてか、グループの客ならほとんどが注文するという人気メニューだ。

ほかにも酒肴が豊富に揃っており、どれもが安い価格で提供される。あたりめ醤油漬け、ホタルイカ一夜干し、厚焼き玉子、さつま揚げ…などが380円。クリームチーズの味噌漬け、肉じゃがのガーリック炒め、牛すじ煮込み、ハマグリの酒蒸し…などが480円。 築地の国産牛もつ煮込み、天然ホタテステーキ、ゴーヤと豚肉の味噌炒めなどが580円。
手頃な価格で、豊富な魚と日本酒がいただけるところが、定着した人気の秘密だろう。
予約は午後6時までの来店が必要になるから、ほとんど先着順になる。

余談だが、「魚金」チェーンを営む(株)金原商会の金原伸吉(きんばら・のぶきち)社長は、3人兄弟の長男。次男は池袋の「酒菜家」、新橋の「野崎酒店」などを経営する(有)ノヴェロフーズサービスの金原伸行社長、三男は池袋などで「てしごとや」チェーンを営む(株)てしごとやの金原伸好社長という、いずれも日本酒に力を入れた居酒屋を展開する業界の名物三兄弟だ。

→新橋立ち呑み魚金ブログ
http://yaplog.jp/katayan1978/

東大宮に新オープンしたモダン居酒屋、「旬の蔵」 (09/10/14)

地元である東大宮駅の目の前に新しい居酒屋がオープンしていながら、不覚にもひと月もの間、気付かなかった。長年「YAMAHA音楽教室」があった場所だったため、まさか居酒屋になっているとは思ってもみなかったのだ。(今でも2階以上は教室らしい。)遅ればせながら、訪れてみた。

店は、東大宮駅の西口駅前広場から、駅前通りに沿った右側2軒目。駅からせいぜい1分という場所にある「旬の蔵」だ。開店したのは、2009年8月30日。

一見ダイニングバーにも見えるモダン和風のインテリアは、女性に受けそう。入口を入ると、まず窓側にテーブル3卓ほどの区切られたスペースがあり、その奥は左側がカウンター、右側が同じくテーブルのフロア、更に一番奥が個室風の掘りごたつ席になっている。席数は全部で60席あるそうだ。

日本酒は17種類あり、セレクトがなかなかいい。メニューにはすべて0.5合の価格で書かれているが、もちろん1合でも注文でき、その場合はほぼ倍額となる。
銘柄の例を0.5合の価格で挙げると、久保田・千寿(390円)、久保田・紅寿(490円)、裏・雅山流・香華(330円)、鳳凰美田・純米(330円 )、雁木・無濾過純米(340円 )、緑川・純米(340円)、東洋美人・特別純米(340円)、八海山・吟醸(490円)、十四代・本丸(450円)…などだ。

「ぐるなび」のホームページには、1合の価格で全銘柄が掲載されている。
余談だが、店のメニューには「裏・雅山流」を「我山流」と記載する誤りがあった。(誤字はまだしも、「裏」のありなしは価格も違うので、間違えないでほしい…!

焼酎も、泡盛を含めて23種類ほどがあり、伊佐美(680円)、魔王(880円)、佐藤・黒(880円)、吉兆宝山(580円)、櫻井(550円)、農家の嫁(550円)、島美人(550円)、中々(680円)、 松露(530円)、請福(500円)…など、こちらもなかなかの品揃えだ。
最近人気の梅酒も10種類(すべて550円)あった。

肴は刺身からパスタまで、幅広く揃えてある。定番メニューの一部を紹介すると、刺身5点盛り(1,680円)、角切りチーズのブラックペッパー和え(320円)、ゴボウチップス(490円)、手羽先の香味焼(3本・530円)、牛すじの煮込み(580円)、スモークホタテの辛子マヨネーズ和え(650円)、特製ピザ(750円)、和豚の西京焼き(680円)、日替わりパスタ(840円)、ベイクドチーズケーキ(480円)…など。

この辺りの居酒屋としては、それほど安い方ではないが、東大宮らしからぬオシャレさも備えているので、妥当な線だろう。都心ではけっこう見かけるタイプの店でも、大宮以北ではまだ数少ないのだ。
ただ、まだオープンしたてということもあってか、慣れていないスタッフもいた。(ちょっと詳しい説明を求めると、その都度奥へ聞きに行っていた…)今後、スタッフの接客レベルが上がってくると、もっと人気が出てくるかもしれない。

なお、姉妹店に東岩槻の「遊食旬彩 蔵」と、久喜の「遊食旬菜 えんの蔵」がある。最近、この周辺で急成長している「蔵チェーン」のようだ。

→ぐるなび:創作ダイニング 旬の蔵
http://r.gnavi.co.jp/e037802/

小さいが存在感のある居酒屋、赤羽「からく」 (09/10/5)

駅前の商店街から住宅街へと抜ける、ちょうど狭間あたりにある居酒屋というのは、地元の住民にとって居心地がいい。仕事帰りにも寄りやすいし、休みの日に自宅から出かけても便利だ。まして料理も酒も美味しいとなれば、通ってしまうのも無理はない。
若いご夫婦で切り盛りする赤羽の「からく」は、そんな居心地のいい居酒屋だ。

場所は、赤羽駅の西口から「Bivio」の右側の道を直進して、約300m右側。店もまばらになってきた辺りのマンション1階にある。店先には、日替わりのお品書きと共に、一升瓶がずらり。

入ると、左右に2人用と4人用のテーブルが3卓、正面に8席ほどのカウンターと、奥の小上がりに2~3人用の掘りごたつ式座卓が1つある。壁にはプレミアム物の地酒の瓶や、酒蔵の前掛けが飾られており、小さいながらもいい雰囲気だ。

弱冠30歳の店主・佐々木亨 (ささき・とおる)さんはカウンター内で専ら料理を担当し、主に奥様がサービスに当たっている。

お酒もなかなかの銘柄が揃っており、定番は十四代・本丸、神亀、早瀬浦、飛露喜、陸奥八仙、澤屋まつもと、山形正宗…など10種類ほど。
ほかに週変わりの銘柄があり、先週は相模灘、白岳仙、天寶一、小左衛門、麓井(以上各780円)、御園竹、亀甲花菱(以上各980円)の7銘柄があった。純米吟醸といった高級品以外、1合780円が標準価格のようだ。
長野の「御園竹」など、地元以外なかなかお目にかかれない銘柄があるのがウレシイ。

焼酎も、薩摩宝山(400円) 、富乃宝山(500円)から、万暦(1,000円)、十四代・鬼兜(1,200円)まで約30種類、梅酒も12種類(400円~550円)を揃える。
ワインは、勝沼醸造「アルガ」のボトルが赤白それぞれ2種類ずつ(それぞれ4,800円と8,800円)。
ビールは、今や珍しいキリン「ハートランド」。しかも、生(550円)と瓶(580円)の両方がある。

料理は和風創作料理だが、お酒に合いそうなものが多い。ほやの塩辛(400円)、鮭とば炙り焼き(400円)、チャンジャチーズ(500円)、おぼろ豆ふのイタリア風(550円)、カマンベールのおやき(680円)、黒胡麻味噌らーめん(680円)、特製つくね鍋(二人前・2,200円)、メープルとクッキーのアイス(400円)…など。

店の一押しは、ゴールデンポークを使った料理。ゴールデンポークとは、サイボクハムが開発した種豚で、自家配合した飼料で育てられた、柔らかくてコクのある豚肉だ。「からく」には、ゴールデンポークを使ったばら肉の竜田揚げ(680円)、ばんばんぶう(780円)、肩ロースの塩胡椒焼き(880円)、肩ロースの味噌漬け焼き(980円)などの料理がある。

ほかに、季節のメニュー10品以上が黒板に書き出されている。工夫された料理はなかなかの味で、1度来たお客は2度、3度と足を運ぶことが多い。客層も、女性同士、カップル、年配の男性グループまでさまざま。週末は予約しないと、1人でも入店は難しい。

ただ、まだ若い店なので、これからが勝負だろう。現在はご夫婦だけのため、サービスに手が回らなかったり、客が増えて来ると料理に時間が掛かったりする。(バイト募集中
この若さでこのレベルなら将来的にも期待できる。今後に注目したい店のひとつだ。

→yahoo!グルメ:からく
http://gourmet.yahoo.co.jp/0000993229/

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