千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2009年07月

六本木で美味しいお酒を堪能できる「酒亭・酒友」 (09/7/21)

六本木で上質の日本酒を飲める居酒屋というと、意外に難しい。もちろん、質の高い和食店はたくさんあるので、そうした店に行けばいい酒は揃っている。だが、居酒屋となると、場所柄手頃で上質を求めるのは、とたんにキツくなるのだ。

以前、紹介した「さかなのさけ」は、そんな数少ない店のひとつだが、ミッドタウン側にある魅力的な居酒屋が「酒友(さけとも)」だ。
場所は、六本木交差点から東京ミッドタウンに向かい、ペットショップ「六本木WAN」の角を右折したすぐ左側。

店を入ると、まず10席ほどのL字型カウンターがあり、内側には四角いおでん鍋が置いてある。右奥のフロアには4人用テーブルが4卓と、奥に掘り炬燵式の4~5人用個室。
銘酒居酒屋にありがちな短冊の類がまったくないすっきりした店内は、上品さを感じさせながら、決してお高くない。ただ、カウンター内にある液晶テレビは、賛否両論が分かれそうだ。

この店、実は江東区の酒販店、(有)長谷川酒店が直営している。
長谷川酒店は1960年に創業し、上質な地酒の発掘に熱心なことでは都内で最も有名な酒販店だ。その取引先は、ホテルオークラをはじめとする都内有名ホテルや、グローバルダイニングなどの飲食チェーン店、日本航空など600社に及ぶ。現在、亀戸本店のほか、麻布十番や表参道ヒルズにも店舗がある。

「酒友」が開店したのは2003年。テーブル側の壁に店名の入った額がさりげなく掲示されているが、この店名、実は静岡の磯自慢酒造の屋号をそのまま使わせてもらったものだ。
磯自慢酒造は1831年に創業し、現在の寺岡社長が七代目という歴史ある蔵元だが、早くから吟醸造りに取り組むなど高品質な酒造りで知られている。現在、生産されている全てが特定名称酒で、播州東条特A地区の山田錦と、静岡酵母、大井川の伏流水を原料に醸された『酒友』という酒も造っている。

店では「磯自慢」だけでなく、日替わりのおすすめ酒を常に10種以上揃えている。どれも上質の日本酒であることはもちろん、日本酒初心者からマニアまで、幅広い客が楽しめるようなラインナップになっている。
店のスタッフは、もちろんお酒のプロ。自分にどんなお酒が合うか相談すれば、適切なアドバイスがもらえる。

お酒は「片口」と「グラス」の2サイズで提供される(燗酒は別)。量は片口で1合弱、グラスで半合弱くらい。
グラスは松徳硝子(株) のうすはり。その名の通り、厚さ1mmもない薄口グラスで、プラスチック製かと思うほど軽い。インターナショナル・ギフトウェアでの受賞歴もある、女性にファンが多いグラスだ。

グループなら4合瓶で注文することもでき、他店ではあり得ないような希少酒も頼める。一例を挙げると、醸し人九平次・山田錦(4,400円)、黒龍・しずく(13,000円)、黒龍・石田屋(24,000円)、十四代・龍泉(33,000円)…など。この街では、こういう高級酒も意外に出るのかもしれない。
焼酎も30種、ワインは国産を中心に揃えられている。

「酒亭」と称する通り、料理も並の居酒屋よりワンランク上
旬の素材を使った刺身や酒肴はもちろん、日田そうめん、焼きむすび、茶漬といった食事ものも常備。冬場ならおでん(100円~600円)もいい。磯自慢の吟醸粕で漬けた黒豚や、日本酒プリンなど、酒屋らしい創作メニューもある。
価格は千円前後が中心で、刺身類は単品で1,100~1,700円くらいになるが、立地と内容を考えれば良心的な部類だろう。

夜11時まで、カウンター席は禁煙。平日は朝4時までやっているのも六本木ならではだ。

→酒友
http://www.hasegawasaketen.com/saketomo.html

1合オーバーの地酒がどれも680円。上野「季の蔵」 (09/7/14)

上野は、御徒町に向かうガード下とその近辺に安い居酒屋がひしめいている。いかにも飲兵衛の好みそうな大衆居酒屋がいくつもあるのだが、美味しいお酒が置いてある店はやはり限られる。
上質な地酒と手頃な価格、駅から近くて広い店舗と、使い勝手の良さで一頭地を抜いているのが「季の蔵」だ。

場所は、上野駅前の丸井に向かって右側の道を入り、最初の角を右折した左側。駅の広小路口から100mほどの近さだ。
見た目は何の変哲もない、よくある大衆居酒屋といった風情だが、店頭に置かれた黒板にお酒の銘柄などが書かれている。

開店は、2007年の10月2日。上野を中心に4軒の居酒屋を営む(株)さくらんぼうの経営だ。
スペースはさほど広くないものの、フロアは3階まである。1階は6席ほどのカウンターとテーブル席、2階はテーブル席、3階は掘りごたつ式の座敷といった構成で、総席数は85席。1人飲みから宴会まで幅広く対応できる造りだ。

この店では、寿司ネタを中心に取り扱っている築地の仲卸「神奈辰」と提携して、毎日仕入れスタッフが買付け・仕入を行っている。
また、鳥取境港、真鶴、佐渡、宇和島の魚卸からも直接仕入を行っているそうだ。

日本酒は、田酒、出羽桜、くどき上手、ばくれん、浦霞、墨廼江、飛露喜、鳳凰美田、あぶくま、尾瀬の雪どけ、〆張鶴、久保田・千寿、八海山、越乃景虎、真澄、磯自慢、開運、手取川、黒龍、車坂、百楽門、南、鍋島、一白水成、梵、渡舟、天明、山吹極、南部美人、呉春、亀泉…など。いずれも半合350円、1合680円、2合1,300円。品切れでなければ十四代も飲めるが、これだけは1合980円だ。

日本酒は、升に入ったグラスに注いでくれるが、グラスはおろか升からも溢れるほどたっぷり注いでくれる。どう見ても1合よりかなり多いというサービスぶりだ。
焼酎(650円)は、芋・米・麦・黒糖・泡盛と約40種類、梅酒(600円)も豊富に揃えてある。

料理で人気があるのは、大きなやきとり(各350円 )や刺身類。オリジナル牛すじ煮込み(580円)、鯛と豆腐の揚げだし(580円)、真イカのわた焼き(630円)、鮮魚のカルパッチョ(700円) …など、料理は和洋折衷だ。お通しは420円。

昼間は600円~1,000円のランチもを営業しており、こちらも人気がある。

→ぐるなび:季の蔵
http://r.gnavi.co.jp/g303503/

冷酒の楽しみ (09/7/7)

夏はビールというのが相場だが、冷酒もなかなかイケる。特に、春から夏にかけては生酒の人気が高い。フレッシュな生酒をキリリと冷やして、胡瓜と若布の酢の物なんかをつつきながら飲んでいると、夏の暑さが飛んでいくような気にさせる。

本来はしっかりした味わいの酒が好きな自分も、暑い時期(特に最初の1杯)は、軽快な味わいの冷酒を飲みたくなる。とは言え、お酒の風味が分からなくなってしまうほどギンギンに冷やしてしまうのは考えものだ。

好みにもよるが、普通の酒なら冷やしても10℃前後、生酒でも5~10℃くらいを目安にするといいだろう
この生酒の適温は、白ワインやビールでもほぼ同じ。要は、特別な酒を除いては(※)冷やしてもこのあたりまでと思っておいた方がいい。

ビールも、よく「ギンギンに冷やして!」などと言うが、やはり冷やしすぎれば泡立ちが悪くなり、風味を損なうのは日本酒と一緒だ。ビールの適温は、夏で6~8℃、冬で10~12℃くらいと言われている。

ちょっと気の利く店だと、砕いた氷を敷いた器に冷酒の徳利を入れて出してくれることもある。ワインクーラーの日本酒版といった感じだ。
見た目も涼しげだし、風情もあって嬉しいんだが、氷が溶けるに連れて次第に徳利が水びたしになってしまうことがある。手拭いを添えてくれたり、氷の上に巻き簾でも敷いてくれたりすると、なお気が利いているだろう。

白ワインで使うワインクーラーも、同じ理由でちょっと気になる。ボトルが水びたしになってしまうのはスマートとは言えない。
自分の場合、自宅では保冷材タイプのワインクーラーを使っている。氷ではなく、保冷材を冷蔵庫で冷やしておき、飲む際にワインクーラーの内側にセットするのだ。内側が水びたしにならないので、ワインボトルが濡れることもなく、最後まで快適に注げる。

自宅で日本酒を飲む時に使っているのが、冷酒カラフェだ。
冷酒カラフェとは、通常のカラフェの胴体に、アイスキューブを2~3個入れられるポケット状の窪みがあるもの。ここに氷を入れ、お酒を移して5分も冷やしておけば、程よく冷えた日本酒が味わえるというわけだ。お酒を瓶から移すことで空気が混じるので、多少は味の向上も期待できるかもしれない。
ただし、注ぐ時に酔ってポケットを下向きにしてしまわないよう、くれぐれも注意したい。

夏とは言っても、ビールばかりでは少々味気ない。ワインや日本酒を程よく冷やして、爽やかな夏酒をぜひ楽しんでほしい!


※ここで言う特別な酒とは、日本酒の凍結酒、ワインの白甘口、ビールのハイネケン・エクストラ コールドなどだ。

→【参考】河淳(株):ワインクーラー
http://www.keyuca.com/products/table/tea/iceberg.htm

→【参考】東洋佐々木ガラス(株):冷酒セット
http://www.toyo.sasaki.co.jp/products/gift/syuki-gift/

駅の両側にある、使える居酒屋。赤羽「たくみ」 (09/7/2)

昔は自分も、「まるます家」くらいしか知らなかった赤羽だが、最近になってちょこちょこと良い居酒屋を発見している。その1軒が、駅から1~2分ほどの場所にある「たくみ」だ。

場所は、JR赤羽駅の西口を出て、「アピレ」の裏道から線路沿いに歩き、突き当りを右折した最初の角。裏道なので、ちょっと穴場っぽい立地だが、けっこう満席ということも多いらしい。

店は和風居酒屋だが、今年2月末にリニューアルしてぐっとモダンになった。入口のドアから中が少し見えるが、入って右側がすべて掘りごたつ式の小上がりに、正面がカウンターになっている。カウンターは8席、小上がりには4人用の座卓が3卓ずつ2列に並んでいる。

店主は、きき酒師や焼酎アドバイザーの資格を持っているようで、日本酒や焼酎が豊富に揃えられている。マニアックになりすぎることなく、比較的メジャーなものを中心にしたラインナップだ。もっとも、店主はお酒の話になると止まらない

日本酒は約35種類。八海山、 久保田・千寿、越の景虎、田酒、喜久泉、一の蔵、浦霞、手取川、菊姫、春鹿、鬼ごろし、南部美人…などで、各720円が基本。不定期で入る銘柄や、たまに入るグレードアップ版はこの限りではない。

焼酎は約120種類あるそうで、こちらの価格は420円~2,100円(ほとんどは740円以下)。銘柄は、芋が佐藤・黒、伊佐美(530円)、八幡ろかせず、相良兵六、玉露…など、麦が天草、黒さそり、中々、泰明…など、米が水鏡無私、十四代、月夜に来い…など、黒糖が里の曙、おみき、ルリカケス…などだ。 黒じょか(950円)も用意されている。

赤羽では初という、サッポロの「白穂乃香(600円)」も置かれている。白穂乃香は、大麦と小麦の麦芽をブレンドした無濾過ビール。市販されておらず、サッポロが厳選した品質管理の行き届いた飲食店でしか飲めない。

料理は、和洋折衷の創作料理。地魚のなめろう(480円)、和風リゾット(580円)、豚バラミルフィーユ(680円)、海老チリ・チーズフォンデュ(780円)、鯨のすじ・おでん風(780円)、鶏つくねのステーキ(780円)、きしめんカルボナーラ(600円)、海老とチーズの湯葉巻き(880円)…など、ユニークな料理が目白押し。

売りは串揚げで、野菜、卵、鶏、豚、牛、魚介類からアイスクリームまで、43種類の素材が串揚げでいただける。単品は130円~270円。セットは5本(720円)から25本(3,470円)まで、6コースがある。
串揚げを入れた宴会コースは、3,200円~9,000円まで、こちらも6コースと幅広い。

「日本酒を愉しむ会」や「焼酎の会」といったイベントも催している。イベントは、東口側にある支店「たくみ・ろまん亭」での開催。「ろまん亭」は120席あり、本店より広いためだ。こちらも東口から2分ほどと近い。

赤羽での宴会なら、場所や人数によって「たくみ」本店と支店とを使い分けるといいだろう。

→たくみ
http://www.the-takumi.com/

記事検索
livedoor プロフィール