千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2009年06月

口コミ・ランキング埼玉No.1の店 (09/6/23)

ご夫婦2人で営むテーブル4卓だけの小さなビストロながら、某有名グルメサイトの「ベストレストラン2008」で、埼玉県の口コミ評価第1位(全国総合でも22位)に選ばれた店が上尾にある。それが、北上尾のビストロ「Maison d'H(メゾン ドゥ アッシュ)」だ。

北上尾は高崎線の下りで大宮から3つ目、1日あたりの乗降客数が1万人ちょっとという小さな駅で(大宮駅は約63万人)、飲食店自体が少ないエリアだ。しかも、店は駅から歩いて12分の場所。
大宮や浦和に何万もの店があるにも関わらず、こんな郊外のビストロが1位の評価を得たことに興味を抱いて、訪れてみた。

店は一見、瀟洒な庭つきの邸宅に見える。テラスにもテーブルが2卓置かれているが、ほとんど飾りに近いらしい。奥様が1人で給仕されているので、室内の4卓だけで手一杯なのだ。

食事は昼も夜も、基本的にコースのみ。コースは3種類あって、いわゆるプリフィクス式だ。オードブルとメインを、それぞれ5種類ほどの料理から選択する。デザートも、「本日のデザート」「仏産チーズの盛り合わせ」「自家製デザートの盛り合わせ」からチョイス

料理もワインも、前評判通り美味しかった。肉料理は焼き方がレア~ミディアムレアくらいで、他店と比べると軽めの焼き加減という印象だが、肉好きな人にはこの方が好みだろう。(逆に嫌いな人にはキツそう。)

ガルニチュール(付け合せ)の量が半端ではないので、肉料理のボリュームはかなりのもの。和牛ホホ肉の煮込みや、牛ヒレ肉のポワレならまだしも、仔羊のローストは骨付き肉が2ピースなので、これに色とりどりのズッキーニがたっぷり添えられると、かなり食べ応えがある。

ワインは4千円程度の手頃なスペインワインを頼んだのだが、料理に合っていて(仔牛料理の定番・メルロー種)美味しかった。小さな店なのに、ワインを80種類以上揃えてあると聞いている。

全体的に満足できる美味しさだったが、ずば抜けているというわけではなく、サービスも本格と言うよりはアットホーム路線。
口コミ・ランキングで埼玉1位になった原因は、どうやらコスト・パフォーマンスの高さにあるようだ。

ディナーコースが、税・サービス料込みで4,400円~7,800円。この日食べたのは、魚料理と肉料理が両方含まれているコースのハーフ(6,000円)だったが、かなりのボリュームだった。特に大食いでなければ、魚料理と肉料理のどちらかを選択するコースのハーフ(4,400円)でも充分だろう。
ハーフと言っても、この店ではフルより少し軽い程度と思っていい。
この味とこの量で、この値段なら、確かに満足度は高そうだ

それだけに常連も多く、定期的に訪れる客も珍しくない。(駐車場は6台分ある。)
ただ、あまり大食いでない自分には、この店のコースはボリュームありすぎ
もし次に訪れるとしたら、ぜひランチを試してみたい。軽めの美味しいランチをいただいた後、テラスでゆっくりコーヒーを飲めると、この店の良さを味わえそうだ。

→ぐるなび:Maison d'H
http://r.gnavi.co.jp/a245400/

格安キャンペーンが魅力のチェーン居酒屋「てけてけ」 (09/6/19)

6月一杯、都心の新興居酒屋チェーン「てけてけ」が大胆なサービスを実施している。土・日・月・火に限り、生ビール中ジョッキのモルツ(299円)とザ・プレミアムモルツ(399円)が、それぞれ99円と199円という激安価格になるのだ。(池袋店・田町店は、ザ・プレミアムモルツがなぜか1円高

「てけてけ」は、神楽坂、赤坂、神保町、神田、池袋、秋葉原、御茶ノ水、田町に8店舗を構える、焼鳥や水炊きを売りにした居酒屋チェーン。ユニークな店名は、たぶん「ほどほどに」「適当に」といった意味の宮崎方言から名付けられたのだと思う。(妖怪「てけてけ」というのもいるが。)

ちなみに、同店ではハイボールも通常価格299円。ジュースやウーロン茶は305円だから、ビールやハイボールの方がソフトドリンクより安くなる。料理も、焼鳥がすべて1串99円、名物の「塩つくね」も100円という安さ
通常価格でも充分安い店だが、このキャンペーンはかなり魅力的だ。

お酒のセレクトもいいし、料理の味も悪くない。お通し(300円)の生キャベツも塩味がついていて、ひと味違う。モダン和風の内装で、女性客も多い。
今週おじゃましたのは神田店だが、雨天の平日にも関わらず、満席のため入店を断られる人が絶えなかった。

神田店の場所は、JR神田駅東口の信号を渡り、「神田駅東口一番街」の立ち食いそば屋と薬局の間の路地を入った、次の角。駅から1分という近さだ。
1階は、光るカウンターに6席、4人用テーブルが2卓と2人用テーブルが1卓。2階は4人用から30人用までの座敷や個室があって、総席数は70席だ。

日本酒の定番は13銘柄。一ノ蔵・無鑑査辛口本醸造(515円)、豊香・純米無濾過生(620円)、信濃鶴・特別純米(725円)、八海山・本醸造(725円)、七本槍・純米(725円)、雨後の月・吟醸(725円)、黒龍・本醸造(725円)、飛露喜・特別純米生詰(830円)、さ々一・無濾過生純米吟醸(830円)、亀泉・純米吟醸(830円)、雅山流「如月」無濾過生詰・大吟醸(935円)、村祐・純米大吟醸(935円)、十四代「本丸」(935円)。チェーン店とは思えぬ銘酒揃いだ。

黒龍と十四代は、季節によって定番以外も入荷するらしいが、逆に品切れということもある。今週は、残念ながら十四代が品切れだった
先月marchanさんがコメントしてくれた「信濃鶴」をイチオシしている、都心では貴重な店の1つでもある。

焼酎は、神川瀞とろ(410円)から百年の孤独(935円)まで10種類以上あるが、多くは515円。梅酒(515~620円)やカクテル(473円)、ワイン(ボトル1,985円)など、どれをとっても安いので、この店では日本酒が贅沢品に見えてしまう

料理も、鶏に限らず魚、煮物、焼き物、サラダ…といろいろ。宴会コース(4人~)は飲み放題付き3,000円からと、こちらも激安だ。しかも8人以上で予約すると、1人分の料理代が無料になる。

なお、姉妹店の「俊二」(飯田橋)でも、同じく今月一杯「ハウスワイン何杯飲んでも無料」という思い切ったキャンペーンを実施している。格安ワインにせよ、終日無料はすごい!
こちらのお通し(グリッシーニ3本)は399円、一番安いつまみは294円なので、最低693円でベロベロになることも可能
ただ、「俊二」は白を基調とした内装が明るすぎて、イマイチ自分は落ち着かない。全40席とは言え、スタッフも少々力不足という気がする。個人的には、「てけてけ」の方がおすすめだ。

→ぐるなび:鶏・旬菜・お酒 てけてけ 神田店
http://r.gnavi.co.jp/g735806/

スポーツ観戦もできる秋葉原の焼酎居酒屋「すきっぱー」 (096/6/15)

世界に名をはせる商業地区でありながら、居酒屋不毛の地とも言えるのが秋葉原。オタクの聖地なのに、どうやら酒オタクは少数派らしい
年配の飲兵衛には老舗居酒屋「赤津加」が有名だが、あの店には「菊正宗」以外の日本酒がない
日本酒党にはなかなか厳しいエリアだが、焼酎党には救いがある。例えば、ガード下の焼酎居酒屋「好波(すきっぱー)」。

場所は、JR秋葉原駅から電気街(西口)に出て中央通りを渡り、そのまま高架の右側に沿って15mほど直進すると、高架下の2階だ。「カレキチ」の手前に階段がある。
階段の下は、左手の棚に「富乃宝山」「吉兆宝山」「佐藤」「百年の孤独」「伊佐美」などの瓶がディスプレイされている。階段を昇った右手のドアも、「佐藤」などのラベルがびっしり。

店は洋風居酒屋で、カウンターはスナックみたいな雰囲気。左右の壁は、焼酎蔵の前掛けや、メニューの短冊が飾る。フロアの左右と中央にテーブルが2~3卓ずつ配置され、更に右側はカウンターの奥までテーブルが続いている。全部で40人くらいは入れそうだ。

カウンターは2席分程度しか使われておらず、右端には大きめの液晶テレビが下がる。たいてい野球やサッカーといったスポーツ番組が流れており、日本代表の試合がある日などは、ちょっとスポーツバーっぽい雰囲気になりそう。

開店して25年というから、けっこう古参だ。今の店主の父の代には、「洋風居酒屋ホワイトスキッパー」という店名だったらしい。(ちなみに今の店主は、調理場からほとんど出ないが、海賊みたいな風貌が個性的!)
2008年11月に店内を改装し、メニューも若干変更された。フロアでは3人ほどの若い男女がサービスに当たる。

カウンターの上とその向かいの棚は、焼酎のボトルがズラリと整列している。本格焼酎は50種類以上あり、25度のもので価格はほぼ500~600円。「ほたる」「ぎんやんま」「くらら」といった、あまり馴染みのない銘柄も見られる。
プレミアム焼酎は少々高く、「野うさぎの走り」で850円、「南の島の貴婦人」で900円。
店オリジナルの「こだわり割り水焼酎」は、鹿児島県のきんすい(日置市の金鉱脈から湧き出た鉱泉水)で焼酎を割り、1週間寝かせたもの。不二才(水5:焼酎5)が500円 、富乃宝山(水4:焼酎6)が600円だ。

梅酒も20種類以上あり、こちらも価格は同程度。日本酒仕込み、泡盛仕込みはもとより、赤ワイン仕込み、白ワイン仕込み、ブランデー仕込みまであった。13年熟成の「豊後の梅酒」だけは、800円とやや高めだ。

店主の好みで外国のビールも豊富に揃えてあり、こちらはほとんどは750円だ。(GUINNESS DRAUGHTだけは900円。)日本酒も置いてあるが、よくある地酒が数種類といった程度だった。

料理は、居酒屋料理として普通のレベルだが、ボリュームはある。枝豆(280円 )、さつま揚げ(480円)、目玉のせ焼ソバ(580円)、アジのたたき(680円)、ブリカマ塩焼き(700円)、MIXピザ(700円)…など、種類も多彩。
人気があるのは、特製牛すじ煮込み(350円)や、スープ仕立てのゴーヤチャンプル(650円)だとか。

ちょっと離れた場所にある「ひろし」と店のタイプが似ており、現に両方を行き来しているお客も多いらしい。個人的にはこちらの方が好みだが、駅に近いこともあって混んでいる日が多く、入れないこともしばしば。静かに飲みたい人には向かないかもしれない。

余談だが、秋葉原の居酒屋はテレビを置いてある店が多い気がする。これも電気街ゆえの特徴か

→ぐるなび:焼酎居酒屋 すきっぱー(クーポンあり)
http://r.gnavi.co.jp/a224500/

ごく普通の居酒屋で驚愕の美酒が!…大宮「とらぬ狸」 (06/9/11)

使い方によって、かなり印象が変わってしまう店がある。大宮の駅から30秒の居酒屋「とらぬ狸」は、そんな店の一つだ。評価が分かれる店とも言えるかもしれない。

場所は、大宮駅の京浜東北線ホームの向かい。駅東口から、最も与野駅寄りの階段を降り、線路沿いの路地に入ると、すぐ左側2階にある。いわゆる南銀座通りの裏手だ。

店自体はあまりにも普通の洋風居酒屋で、目立つところは何もない。
2階の入口を入ると、すぐ右手がレジ・カウンターで、左手はお酒の棚。棚の向こうは半個室のスペースになっており、奥のフロアと合わせて40人ほどのテーブル席がある。
開店は96年9月。当初は駅西口にあったが、少しして東口に移転した。

フロアは、3人ほどの男性スタッフがサービスに務めている。
店は、スローフードを掲げており、北海道の食材を豊富に揃えた料理と、厳選された酒が自慢だ。価格はいずれも居酒屋としては標準的で、安くも高くもないレベル。

日本酒は、久保田「千寿」(790円)、八海山・本醸造(790円)、男山・生もと特別純米(630円)、田酒・特別純米(790円)、麓井・純米生もと(840円)、出羽桜「桜花」吟醸本生(790円)、黒龍「いっちょらい」(840円)、高清水「しみずの舞」吟醸(950円)、・純米吟醸(900円)の9種類。
焼酎も、690円と790円で12種類ほど揃っている。「百年の孤独」だけは1,200円だった。

ここまでは特に珍しくない居酒屋であり、紹介するほどでもない。実は、この店の真価はワインにある。
メニューにあるのは、白ワイン10種類、スパークリング・ワイン(シャンパンとカヴァのみ)8種類、赤ワイン15種類で、なんとシャンパンも含めて、その全てがグラスで飲める。価格は、グラス750~2,650円、ボトルで2,950円~9,950円。

ワインを楽しむならワインバーが普通だが、たいていは価格が高い上、グラスで飲める種類が少ない。この店だったら、わらびのおひたし(480円)でもつまみながら、何種類ものワインをグラスで飲むことも可能だ。

店には、店長を含めてソムリエが2名おり、ワインへの力の入れ方は半端ではない。メニューに載っていない高級ワインもざくざくある。知らなければ、まさかこの店でロマネ・コンティが飲めるとは想像もつかないだろう。(01年・525,000円)

毎月20日前後には「レア!ワイン会」を開催しており、1万円で主にブルゴーニュのレア・ワイン5種類と、料理(3品+お食事+パン+Euro Art製チーズ+デザート)を楽しむことができる。

先月からは、それに「銘醸ボルドーワイン会」という企画も加わった。こちらはシャンパンとボルドーの格付けワインを計6種類味わえる。先月の第1回では、シャトー・ラトゥール75年をはじめとする格付けワイン4種類が勢ぞろいした。毎回9大シャトーの1つが必ず入るというから、ワインマニアには垂涎もの。こちらは15,000円の料金で、料理はワイン会と同様だ。(次回は9月予定)

ワイン好きは当然だが、プロのソムリエたちがこの店で宴会を開くことも珍しくない。
オシャレじゃなくても、美味しいワインを安く飲みたい花よりダンゴ派には、見逃せない店だ。

→北海道食大使 とらぬ狸
http://www.toratanu.com/

本格和食と本格地酒のコラボ、新大塚「三六九」 (09/6/3)

地酒激戦区・大塚に、また1つ見過ごせない店が登場した。JR大塚駅と、東京メトロ丸ノ内線・新大塚駅の中ほどにある、「三六九(みろく)」という店だ。
少々変わった店名だが、56億7千万年後の世をイメージして名づけたのかどうかは定かでない。

場所は、丸ノ内線・新大塚駅1番出口を出て、JR大塚駅に向かう南大塚通りを約200m直進、大塚3丁目交差点の「写研」本社ビルを右折して次の右角だ。
JR大塚駅からだと、南口に出て三菱東京UFJ銀行左側の南大塚通りを約300m直進すると、大塚3丁目交差点に出る。そこを左折すれば、同じく最初の右角だ。
どちらから歩いても4~5分というところだが、新大塚からの方が少し近い。

店は、カウンター中心の和食屋といった雰囲気。通りに面して大きな窓があるが、普段はブラインドが掛かっている。入口の正面には、小ぶりのカウンターが見える

コの字型のカウンターは、正面4席・両側に2席ずつの計8席。中は板場で、手を伸ばせば俎板に手が届くほど近いため、初めての時にはちょっと緊張しそう。窓際には4人掛けのテーブルが2席あり、合計16人で満席だ。
板場に陣取る強面の「おやじ」をフォローするように、フロアでは若い男性がサービスしてくれる。

店主の相内さんは、ホテルニューオータニで修行し、池袋「もみじや」で総料理長も務めた、生粋の料理人。「もみじや」を退職後、2008年8月にお隣の新大塚でこの店をオープンした。
酒と肴にひとかたならぬ見識を持ち、独自の仕入れルートも開拓している相内さんの料理は、たちまち近隣の飲ん兵衛たちを惹きつけた

置いてある日本酒は7銘柄ほど。同じ銘柄で米の品種や精米歩合が異なるものが何種類も揃っていたりするので、実際は20種近くの酒が揃う。いずれも相内さんが惚れ込んだ本物の酒だ。
銘柄は、宗玄(石川)、秋鹿(大阪)、酒一筋(岡山)、初駒(青森)、開運(静岡)、十旭日(ジュウジアサヒ・島根)、旭若松(徳島)。本格派のしっかりした酒が多いので、年季の入った飲み手に向いている。

特に「宗玄」は7種類くらい揃えており、宗玄酒造の営業部長・大門康範さんも、都内に来るとたまに顔を出すそうだ。「秋鹿」も4種類、「酒一筋」も2種類がある。
冷酒は蕎麦猪口で提供され、価格は1合600円から。700~800円くらいが多いが、中には千円オーバーの逸品も置いてある。
ビールは「ザ・プレミアム・モルツ」が580円、焼酎は各種600円。

料理は真っ当な和食だ。お通しからして、皿に盛れば八寸で通じそうな酒肴の盛り合わせが出てきて、喜ばせてくれる
牛すじの煮込み(700円)といった酒の友はもちろんだが、刺身(五点盛り・1,800円)、季節の天麩羅(650円~)、握り寿司(6カン・1,200円)、しょっつる鍋(小900円/大1,800円)…など、1人で調理しているとは思えないような本格和食が食べられる。コース料理は4,000円から。
『dancyu』の日本酒特集でここの料理が紹介されたそうだが、それも道理だ。(09年3月号「名店の傑作レシピ」)

なお、店の表通りは桜並木通りという。春に樹齢30年の桜を眺めながら飲むと、いっそう酒が進みそうだ。

→サントリーグルメガイド/おやじの料理と酒の店 三六九
http://gourmet.suntory.co.jp/shop/0X00105635/index.html

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