千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2009年04月

100種類以上のお酒が格安!浅草「酒の大枡」 (09/4/23)

前回は、ヱビスビールの地元・恵比寿の店だったが、今回はアサヒビールのお膝元、浅草の店。
どちらかと言えば料理の老舗で知られる浅草だが、お酒の店もちらほらと良い店がある。この前、飲兵衛の友人に教えてもらったのが酒の大枡」だ。

場所は、雷門の脇。雷門の右側を仲見世通りに沿って歩き、最初の角を右折して2軒目。店先に積まれた一斗樽が目印だ。
酒販店の割に、内装はすっきりしている。壁際の棚にこそ瓶が並べられているものの、フロアには企画商品や、風呂敷に包まれた浅草ブランドの日本酒などがディスプレイされ、一見おみやげ屋さんっぽい。

中央にカウンターがあり、そこで会計できるのだが、反対側が日本酒BARになっている。
カウンターの向こうに4人用のテーブルが3卓ほど並べられ、更に奥へと進むと、細長いカウンターのスペースが現れる。ほかに5~6人用の個室スペースもあり、席は全部で42席だ。

酒屋の一角で呑める、いわゆる角打ちの現代版で、居酒屋に比べると造りは簡易なものの、安さは居酒屋の比ではない。並の居酒屋なら、ここの価格の1.5倍するだろう。

この店では最初に、100円の食券が10枚綴られた千円のチケットを購入する。注文に応じて、そこから値段分だけ切り取っていくシステムだ。もちろん、もし余った場合は次回に使うことができる。

ビール、焼酎、日本酒、梅酒…など、お酒の種類は100種類以上。日本酒だけでも60銘柄ほどあったと思うが、ほとんどは1合(180ml)と半合(90ml)の2サイズが設定されている。
値段は、なんと半合200円からと、立ち飲みでもまず望めない安さ。しかも、200円で純米酒まで飲める。

定番銘柄の一部を紹介すると、(※価格はすべて1合。90mlは半額)400円が豊国・本醸造無濾過生原酒、水芭蕉・特別本醸造、高砂・純米、天法・特別本醸造、長龍・吉野杉の樽酒清酒。
600円は、月の輪・宵の月大吟醸、出羽桜・出羽燦々純米吟醸、八海山・吟醸、手取川・吉田蔵大吟醸(600円)、羅生門・鳳凰吟醸、石鎚・純米吟醸槽搾り…など。

800円では、まんさくの花、南部美人・山田錦、上喜元、鏡山、甲子・袋吊り雫酒郷の誉・生酒、開運、臥龍梅、酔鯨・吟麗…などで、これらは全て純米吟醸。
それ以上のプレミアム酒には、獺祭・39と浦霞・禅が1,000円、麒麟山・ブルーボトルが1,200円、刈穂・耕雲が1,600円、澤乃井・梵や真名鶴・麻那姫伝説が1,800円となっている。

このほか、3種類の呑みくらべセットや、浅草ブランドのオリジナル酒もある。
隣で販売している地酒や焼酎、ワインを購入して持ち込むことも可能(持込料500円。ビールは200円)。

料理は、凝ったものこそないが、クリームチーズの味噌漬けからミニピザ、鰹のたたきまで、一通りのつまみは揃っている。中にスモッチというメニューがあるが、これは主に北国で作られる燻製玉子のことで、これもなかなか美味しい。

美酒を格安で飲める店としては、立ち飲みの「鈴傳」が有名だが、座って飲める店は珍しい。シンプルでちょっとモダンな内装のため、女性客も多い所が決定的に違う
なお、近くにワインバー「酒の大枡 wine-kan」もある。

→(株)ダイマス:酒の大枡・雷門店
http://www.e-daimasu.com/bar/index.html

恵比寿で味わう美酒とお袋の味・大衆居酒屋「ふくみ」 (09/4/20)

恵比寿は、ヱビスビールの工場があったことからその名が付いた。どの店に入っても、サッポロとヱビスビールが置いてある。
オシャレなダイニングバーばかりというイメージもあるが、「えびすストア」のような庶民的なスポットもあるところが面白い。そんな庶民派の1軒が、大皿居酒屋の「ふくみ」だ。

場所は、JR恵比寿駅の西口の改札から右側に出て、高架沿いに駒沢通りまで歩き、右手の恵比寿1丁目交差点を左折、右側3軒目の地下だ。
駅から歩いて2分ほど、赤ちょうちんが目印になっている。

地下に降りると、いかにも大衆的な居酒屋が現れる。店に入ると、まず4人用のテーブルが3卓ほどあり、左側には6席のカウンターがある。その奥に少し広いフロアがあって、4人用テーブルが2卓と、5~7人用が1卓。更に、掘りごたつ式の座敷に5~9人用と10~12人用テーブルが各1卓ずつある。

日本酒と焼酎は、それぞれ40種類ほど揃っている。  
日本酒はグラスと徳利の2サイズが選べ、グラスはほとんどが680円780円。徳利の場合、グラス680円のものは1,260円、グラス780円のものは1,480円で提供される。それより値段が高いものは、グラスのみの設定だ。

銘柄は、グラス680円が、田酒、天狗舞山廃、黒龍、奥播磨、王禄、獺祭、酔鯨、山和、山法師、八海山、久保田・千壽、真澄、明鏡止水、銀盤、飛露喜、花陽浴、相模灘…など。
グラス780円では、田酒・純吟、菊姫・生原酒、醸し人九平次、東一、ばくれん、〆張鶴・純、同・しぼりたて原酒…などがある。

それより高いものは、大吟醸クラスがほとんどだ。田酒・純米大吟醸、出羽桜・一路大吟、八海山・大吟あたりが980円。
十四代は、本丸(730円)、純米吟醸出羽燦々(1,480円)、特吟愛山(90ml・1,550円)、吟撰山田(1,580円)と4種類が揃っている。

この十四代のうち3種類をそれぞれ60mlずつ飲める魅力的なセットもあって、1,980円。
ほかに、普通のお薦め3種(各60ml)730円や、日替わり大徳利(880円)、日替わりのおすすめ銘柄(680円~)といったお得メニューもある

焼酎は380円からで、こちらも希少な銘柄がかなりお得な値段でいただけるので、焼酎党にも嬉しい。ほかにも梅酒や果実酒、ホッピー…と、お酒の種類は充分。

おつまみは、大衆居酒屋らしいメニューが一通り揃っている。冷奴(480円)、イカの塩辛(530円)、手づくりコロッケ(580円)、ハラス焼き(580円)、若鶏の白レバー刺(630円)、トマトサラダ(680円)、若鶏の唐揚げ(680円)、筍の土佐煮(680円)、まぐろトロ刺(980円)、くじら刺(1,050円)…。面白いところで、アニー伊藤の玉子焼き(580円)なんてのもあった。
味はおふくろの味っぽくて、決して悪くない。宴会は1人2,500円(7品目)から。

恵比寿で、手頃に美味しいお酒を楽しみたいなら、おすすめの1軒。場所柄か、女性客も珍しくない。
なお、駅の反対側に、姉妹店「焼酎家・ふぅ」もある。

→グルメGyaO:地酒処ふくみ
http://gourmet.gyao.jp/0002042583/

純米吟醸を含む全ての美酒が700円。立石「さくらい」 (09/4/16)

「宇ち多゛」など、モツ焼き系大衆居酒屋で有名な立石だが、美酒を揃えた店も少数ながらある。奥戸街道沿いの「さくらい」は、頑固親父が1人で切り盛りする居酒屋だが、美酒を下町価格で飲ませてくれる。

場所は、奥戸街道の「京成立石駅前」交差点から本奥戸橋方面へ100mほど歩いた左側。下町の居酒屋らしい造りで、4席ほどのカウンターに4人用のテーブルが3卓ほどあるだけの小さな店だ。

カウンターの横、テーブルの前に冷蔵庫が置かれ、美味しい日本酒がちらちらと見えるのだが、ここで喜んではいけない。この店、日本酒のオーダーは基本的に店主まかせ。封の空いている2~3種類の銘柄からしか選べない
どれを選んでも美味しい酒ばかりだが、銘柄を自分で選びたい人には向かない店なのだ。

これは、お酒を劣化させないための処置。日本酒は、封を開けると時間を追って酸化していく。しっかり造った酒なら、ある程度酸素が混じった方が美味しくなるが、それはわずかな時間だ。後はどんどん味が落ちていくのが普通。特に生酒など、加熱殺菌をあまりしていないものは著しい。
だから、封を切ったお酒は、なるべく早めに飲み切った方がいいのだ。

お客がさほど入らない小さな居酒屋では、瓶に残ったお酒の劣化は避けられない。それを承知でお客に出すか、処分するかだ。当然、処分するリスクは価格に反映される。
この店では、そのどちらもしたくないために、こうした方法を取っているのだ。

十四代・純米吟醸、醸し人九平次・純米、飛露喜・特別純米、東一・純米吟醸、磯自慢・特別本醸造、辻善兵衛・世は満続、臥龍梅・吟醸、墨廼江・中垂れ…こうした美酒が、この店では全て1合700円の均一価格。この値段でこんな酒が飲めるなら、銘柄を選べなくても文句は言うまい

その代わり、店のホームページは毎日更新され、その日に飲める銘柄が明記されている。実際に店に行くと、既に品切れになってしまっていたり、新しい銘柄が加わったりしていることもあるので、あくまで参考程度だが。

接客から調理まで大将1人でこなしているため、混んでいる日は肴が出てくるまでに時間が掛かることもあるが、味はなかなかイケている。大将自身が酒好きのため、飲兵衛の好みは熟知しているようだ。
旨い酒とうまい肴が手頃な価格で楽しめるのだから、多少の不自由は納得の上で来店したい。

たまに、「蔵元を囲む会」といったイベントも開いており、それらもホームページの「店主の日記」で確認できる。

→地酒・小料理 さくらい
http://www.t-sakurai.com/

元Jリーガーの経営する和風ダイニング、浦和「升楽泡」 (09/4/9)

浦和駅は、西口側に県庁や伊勢丹などの大型施設が集中し、東口側は野原という、極端な格差のある駅だった。
それが、2007年10月10日、東口駅前に浦和PARCOがオープンして、だいぶ人の流れも変わって来たようだ。それまで顧みられることの少なかった東口側にも、足を伸ばす人がずいぶん増えた。

そんな東口から徒歩1分の場所にあるのが、和風ダイニング「升楽泡(しょうらくぼう)」だ。
浦和と言えば、日本一熱いレッズ・サポーターの本拠地。街のあちこちにレッズを応援する店がある。居酒屋も、西口の「力」をはじめとしてサポーターの集まる店は多いが、ここ「升楽泡」には、大宮アルディージャのユニフォームが飾られている。
それもそのはず、オーナーは05~06年にアルディージャなどでディフェンダーを務めた、三上和良さんなのだ。

三上さんが現役を引退したのは2007年2月。店を開店したのが2006年4月27日だから、少しの期間、居酒屋を経営するJリーガーだったことになる。
弟の三上卓哉さんも現役のサッカー選手で、浦和レッズから京都パープルサンガを経て、現在は愛媛FCに所属している。

浦和育ちの三上さんは、子供の頃から周囲に居酒屋の多い環境だったため、いつか居酒屋を経営してみたいと思っていたそうだ。
実家が所有していたビルに入居していた飲食店が退店したのを機に、居抜きで場所を借りてこの店をオープンさせた。内装はほぼ全面的に新しくしたそうだ。

場所は、東口駅前から線路沿いに大宮方面へ伸びる商店街に入った右側地下。
入口を入ると、右側のカウンターに6席、左側には4人用のテーブルが3卓ほどある。更に、その裏手に仕切られた半個室があって、総席数は38席だ。
カウンターの端に液晶テレビが置かれており、常にスポーツの映像が流されている。試合のある日は、もちろんJリーグの試合が観られる。

日本酒は、本醸造が黒龍(550円)、司牡丹(580円)、浦霞(650円)、八海山(680円)、〆張鶴(680円)、久保田・千寿(750円)。
純米と特別純米が黒帯・悠々(650円)、鍋島(750円)、越乃景虎(780円)、田酒(800円)、久保田・萬寿(1,500円)。
以上がメニューに掲載されている銘柄だが、これ以外に臨時入荷の逸品もあり、先週は鳳凰美田・純米大吟醸・平成20年謹醸品(1,600円)があった。

焼酎は44種あり、500~600円くらいが中心。伊佐美でも600円で飲め、高いものでも750円くらいまでなのだが、森伊蔵だけは1,800円と別格扱いだった。十四代(焼酎)は680円、百年の孤独で900円だ。
梅酒も10種あって、こちらも500~600円。ビールはサッポロ黒ラベルとヱビスが550円、ギネスが650円だ。サワー類やカクテルは380円~500円。

料理も一通り揃い、お造りや天麩羅などもちゃんとした味。「すくい豆腐」(450円)は個数限定だが、店の手作りだけあってかなり美味しい。唯一の煮物である「黒豚肉のトロトロ煮」(750円)も、本当にトロトロ。お通しは300円、宴会は3500円から対応する。

お酒の種類が豊富で、ちょっとお洒落な和風ダイニングは、東口側では珍しい。現役のJリーガーもたまに顔を見せるが、特にスポーツバー寄りというわけではなく、基本はあくまで和風ダイニング。デートにも充分使えるような居酒屋だ。
地下にありながら携帯電話が通じるのもありがたい。

→ぐるなび:和風ダイニング 升楽泡
http://r.gnavi.co.jp/b047300/

路地裏で地酒三昧、神田「むら治屋」 (09/4/1)

通りすがりに偶然入った居酒屋当たりだった時は、ちょっと儲けたような気分になる。この前、大して期待もせずに入った路地裏の居酒屋に、意外な美酒が溢れていた。こういうことがあるから、面白い。

場所は、神田駅のすぐ近く。JR神田駅北口を出てY字路の左側を進み、最初の角を左に曲がって路地に入ると、中ほどの右手にある「むら治屋」がそこだ。
この日は、別の店が目当てで神田を訪れた。ところが、その店が無くなっており、帰る途中でたまたまこの店の前を通りかかったのだ。

店の前に一升瓶が置かれていたのだが、「うごのつき」「和和和」などが目に入った。「うごのつき」は広島の銘酒「雨後の月」のことで、純米吟醸などを中心にこの平仮名ラベルのシリーズがある。「和和和」は長野の「深山桜」の酒で、やはり純米吟醸を中心とした限定酒に使われているラベルだ。選択がいい上、いずれも多く出回っている品ではない。

そこで、急遽飛び込みでこちらの店に入ってみた次第。店の構えは何の変哲もない居酒屋なので、この瓶がなければ、おそらく見向きもしなかったと思う。
店内は、厨房に面したフロアと、その裏に隠れたフロアの2つに分かれている。手前のフロアに4人用テーブルが5卓、奥のフロアには4人用が2卓と、2人用が4卓ある。
いかにも神田の店らしく、壁にはの道具や写真が飾られていた。

メニューには、12種類ほどの日本酒が書かれている。
銘柄は、辛丹波(500円)、浦霞辛口(650円)、一ノ蔵(600円)、大七きもと(700円)、鳳凰美田(800円)、陸奥八仙(850円)、十左衛門(750円)、白岳仙(850円)、宝剣(800円)、小左衛門(800円)、(750円)、(800円)。

悪くないラインナップだが、「うごのつき」や「和和和」といった、ひとひねりあるものがない
そこで店主に聞いてみると、メニューに書かれていない日替わりの地酒があり、全部で60銘柄を超えるという。フロアの角に3台の冷蔵庫が置かれており、中を見ると、あるある!
十四代・中取り純米、而今・9号酵母無濾過生、刈穂・山廃生原酒、淡墨・長寿桜の原酒生酒、くどき上手・ばくれん、末廣・うぶ、亀齢萬年、仙禽、壽、羽根屋、阿櫻、美和桜、山吹極、賀茂金秀、渡舟…。

純米や純米吟醸がほとんどという、嬉しい品揃えだ。価格は1杯850円くらいが中心で、一杯の量は8~9勺。
銘柄一覧はホームページで、新着情報はブログでそれぞれ確認できる。

焼酎はシングル450円、ダブル800円の均一価格。もぐら、明るく農村、風憚、香幻、屯(かむろ)、しめの尾、暁、吉兆雲海…など、こちらもひとひねりある銘柄が揃う。

料理は、知覧鶏(880円)や、馬刺し(1,800円)が売りのようだ。刺身のケンが、よくある大根ではなく蓮芋のスライスだったり、料理の方にもちょっとヒネリを利かせてある。

店主の大曽根勝洋さんは、50歳を過ぎて本屋を脱サラし、好きな酒を集めてこの店を開いたそうだ。ホームページに、ブログに、mixiもやっていて、意外にデジタライズされた親父でもある。
神田の路地裏にあって目立たない店だが、地酒好きにこんなサプライズは嬉しい限りだ。

→神田・むら治屋(ホームページ、ブログ)
http://murajiya.hp.infoseek.co.jp/
http://murajiya.seesaa.net/

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