千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2009年03月

美味しい和食と銘酒の店、東麻布「逢坂」 (09/3/27)

居酒屋よりワンランク上の和食と美酒を、ほどほどの値段で楽しみたい。そんな時にぴったりの店が、東麻布の「逢坂」だ。新橋にある天麩羅の名店と同じ屋号だが、こちらは2007年11月11日に開店した和食と地酒の店だ。

場所は、地下鉄・大江戸線「赤羽橋」駅を出て、赤羽橋の交差点を桜田通りに沿って左に渡り、最初の路地を左に入ると、1つめの角の地下にある。東京タワーから程近い。

店は、コンクリート打ちっ放しの壁に、酒蔵の前掛けなどがディスプレイされているモダン和風。幅のあるV字型のカウンターはオープンキッチンになっており、ここに10人座れる。
右手の奥には小さな個室風のスペースがあり、そこに4人用テーブルが2卓。こちらは落ち着けるものの余り広くはないので、少人数ならカウンターの方がおすすめだ。

大将の大坂さんは、「あさみ」で修行したらしい。「あさみ」は、銀座でも人気のある和食屋の1つで、日本酒もそこそこの銘柄を置いてはいるが、種類は多くない。その点、こちらはきき酒師のつかささんを顧問に迎え、素晴らしい日本酒を厳選して揃えている
「あさみ」仕込みの和食と、選り抜きの美酒が揃っているのだから、これはたまらない。

現在の日本酒の銘柄は、松の寿・純米大吟醸15BY、雄東正宗・ピンクにごり純米、墨廼江・大吟醸、上喜元・吟醸、結人・純米吟醸、青煌・純米吟醸雄町、いずみ橋・純米山田錦、臥龍梅・純米吟醸誉富士、御湖鶴・純米大吟醸・山田錦、房島屋・純米吟醸・五百万石、醸し人九平次・純米大吟醸「彼の地」、而今・特別純米・五百万石、梅錦・純吟・立春朝搾り、獺祭・純米大吟醸三割九分、龍力・特別純米、豊の秋・特別純米袋吊りの16種類。

メニューに価格がないのが欠点だが、値段は1合760~1,980円まで。高くても1合2,000円以内に納めるようにしているそうだ。120mlで注文することもできる。

料理は居酒屋レベルを超えた、真っ当な和食が楽しめる。献立は旬の魚を中心に、毎日変わるようだ。
先週訪れた日には、アオリイカや初鰹、クエの刺身、鯛白子醤油焼き、焼き筍、小鮎やたらの芽の天ぷら、筍の土佐煮、あん肝、きんき煮付け、焼き天豆、ウドと蛍イカの黄味酢あえ、焼きおにぎり茶漬、鯛茶漬…などがあった。

料理の値段は、840円と980円が多い。金目鯛や本鮪といったものだと、1,580円~2,100円するが、そのあたりが上限。安いものだと、もずく酢や焼きおにぎり茶漬けが630円だ。お通しは2品で1,050円。
そのお通し(先付)2品に、刺身、焼物、煮物、酒肴、食事が1品ずつ付いたコース(5,250円~)がお得で人気がある。

日本酒中心のお店なので、焼酎党やお酒を飲まない人には少々辛いかもしれないが、日本酒と和食が好きな人にとっては、きっと通いたい店になるはずだ。

→和食・地酒 東麻布 逢坂
http://www.ohsaka.net/

銀座のど真ん中にある大衆居酒屋「三平酒寮 舟甚」 (09/3/23)

銀座の大衆居酒屋と言えば「三州屋」が有名だが(08/5/15紹介)、お酒の種類は少々物足りない。その点、「舟甚」は銀座ど真ん中にありながら、日本酒と焼酎合わせて170種類以上を揃えた大衆居酒屋だ

場所は、アルマーニ銀座タワーの裏。晴海通りから西五番街に入って、すぐ右側だ。隣のアルマーニとは雲泥の差と言えそうな、かなり古いビルの3階にある。

ビルの入口には赤提灯が灯り、壁にはお酒のラベルや短冊がびっしりと貼ってある。エレベーターもかなりの年代物だ。
店内も予想を裏切ることなく、大衆居酒屋っぽさがムンムン。入った正面に、いきなり焼酎の瓶がずらりと並べられている。そこから右側に行くと3~4卓のテーブル席、左側は小上がりになっていて、4~6人用の座卓が5卓ほどある。

日本酒は、小皿に載せた7勺ほどのグラスに少し溢れるくらいの量だ。1杯550円からあるが、中心価格帯は630円。定番銘柄が42種、月替わりの銘柄が約30種、合わせて70種ほどの日本酒が揃っている。

630円で飲める銘柄としては、南部美人、出羽桜、くどき上手、大七、神亀、開運、菊水、越乃景虎、八海山・本醸造、久保田・千壽、銀盤、天狗舞、菊姫、黒龍、石鎚、飛露喜…など。
もう少し高い銘柄では、磯自慢、奥播磨、〆張鶴・純、獺祭…などが680円、悦凱陣が700円、田酒、翠露が735円、越乃寒梅が740円、義侠が800円、八海山・純米吟醸が998円、村祐墨廼江が777円だ。
中にはプレミアム価格の酒もある。久保田・萬壽(1,575円)、黒龍・しずく(1,890円)、十四代・大吟醸生酒(2,000円)、亀の翁(2,625円)あたりは、けっこうなお値段だ。

焼酎も100種以上あり、ほとんどが525円と630円。安いもので450円からあるが、高い物だと、百年の孤独、十四代(735円)、カンゴシナ、刀、南の島の貴婦人(777円)、魔王、伊佐美(840円)、げんち(980円)、村尾(1,050円)、森伊蔵(1,500円)くらいだろうか。

肴はやはり大衆居酒屋らしい品揃えだが、築地が近いこともあって魚メニューは豊富。刺身で700~800円くらいのものが多い。少しだが焼鳥やご飯物、麺類もあり、安いものだと400円台くらいから。
白魚の唐揚げ(695円)、厚焼き玉子(630円)、げそわたホイル焼き(600円)、などが人気メニューのようだ。

これだけ種類豊富な日本酒・焼酎が飲める大衆居酒屋は、この街では貴重
銀座の高級感とはミスマッチなのだが、逆にそれを酒の肴にするのも面白いかも

→三平酒寮 舟甚
http://www.sempuku.co.jp/sagaseru/shop/shop_tokyo/cyuu/5.htm

全国新酒鑑評会の金賞酒を飲んでみる? (09/3/18)

前回の記事で、久保田が好きな日本酒といった人気投票で常に3位以内にランクしていると書いた。蛇足かもしれないが、これについてちょっと補足しておく。

というのは、別に久保田が日本屈指の旨い酒という意味ではないからだ。
紹介した通り、久保田の出荷量はとても多く、人気も高い。従って、飲んだことがある愛飲家の人数も非常に多いのだ。久保田より旨い酒も少なからずあるのだが、多くは出荷量が少なく、知名度にも開きがある。
どれほど旨い酒でも、飲んだ人の数が少なければ、こうしたランキングで上位に入るわけはないのだ。

もちろん、あの出荷量で品質を保つことは、なかなかできることではない
だが、はるかに少ない出荷量ながら、旨さでは久保田を凌ぐ酒が数多くあることも忘れないでほしい。

ところで、やはり前回の記事で、久保田の「紅壽」は原料米に山田錦が使われている、と書いた。
今更ながら、日本酒に余り詳しくない方のために補足しておくと、山田錦とは日本酒の原料として最高とされているお米の品種名だ。もちろん、値段の方も最高

たまに、「全国新酒鑑評会金賞受賞酒」といった肩書きのついたお酒を見かけることがあると思う。全国新酒鑑評会というのは、日本酒業界で最も権威ある吟醸酒のコンテストで、酒蔵はここで金賞を受賞するために技術を磨いていると言っても過言ではない。

この鑑評会は2部に分かれているのだが、第1部が山田錦を使っていない(またはその使用割合が半分以下の)吟醸酒、第2部が山田錦を使用した(またはその使用割合が半分超の)吟醸酒、となっている。
山田錦を使用したお酒は、ほかと同列で比べられないほど旨い、ということなのだ。

この鑑評会では、出品酒の1/4ほどが毎年金賞を受賞する。金賞イコール「1位」という意味ではないので、そこは誤解しないでほしい。
昨年度の実績では、第1部に129点、第2部に828点の計957点が出品され、特に優秀と認められた255点が金賞酒として選出されている。

鑑評会は毎年5月に行われており、今年(第97回)は5月12日~13日が決審日。6月17日(水)には公開きき酒が開かれるので、興味のある人は行ってみるといいだろう。会場は池袋サンシャインシティ・ワールドインポートマート展示ホールだ。
開催時間は10~13時/16時~20時の2部構成。入場料は、前売り3,000円、当日3,500円と、ちょっといいお値段だ。


居酒屋は、「久保田」で試せ (09/3/12)

居酒屋の価格を比較したい時、目安となる銘柄がある。新潟・朝日酒造の人気銘柄「久保田」だ。
兵庫や京都の大手メーカーが上位を占める日本酒業界で、朝日酒造の出荷量は全国15位、新潟では1位。しかも、「好きな日本酒」といったランキングでも、「久保田」は常に3位以内にランクされている。

1985年に誕生して以来20余年、今や質・量ともに日本を代表する銘柄となった「久保田」。それだけに、日本酒にある程度配慮している居酒屋なら、大抵の店に置かれている。つまり、「久保田」の値段を比べてみれば、その店の価格帯がほぼ分かるというわけだ。

一口に久保田と言っても、6種類ある。「百寿」「千寿」「萬寿」という数の名が付けられた3つが有名だが、このほかの名が付いたものも3つあるので、簡単に紹介しておこう。
左から、商品名:特定名称、精米歩合、メーカー希望小売価格の順だ。

 百壽:本醸造、63%、2,026円(一升)/934円(四合)
 千壽:特別本醸造、57%、2,446円(一升)/1,092円(四合)
 紅壽:特別純米酒、55%、3,339円(一升)/1,512円(四合)
 翠壽:大吟醸生酒、42%、2,835円(四合)※4~9月限定
 碧壽:純米大吟醸山廃仕込、50%、5,071円(一升)/2,247円(四合)
 萬壽:純米大吟醸、35%、8,169円(一升)/3,664円(四合)

昔は「百壽」も多く見掛けたが、最近は「千壽」にシフトしてきており、単に「久保田」と言った場合は、千壽を指すことが多い。ただ、大衆居酒屋では百壽の場合もあるので、注意が必要だ。
ちなみに、紅・翠・碧という色名は、それぞれ「玉」を付けると宝石の名前になる。(紅玉=ルビー、翠玉=エメラルド、碧玉=サファイア)

旨さで言えば、やはり萬壽の評価がダントツで、かつて「おいしい日本酒」人気投票で1位だったのを見た記憶がある。その分価格も高く、1杯1,500円以下で出している居酒屋は、まずお目にかかれない。

コスト・パフォーマンスが高いのは、紅壽だと思う。紅壽は純米な上に、6種の中で唯一、原料米に山田錦が使われている。(ほかは五百万石。)ただ、翠・碧より多いとは言え、萬壽の半分以下、千壽の1割以下の出荷量なので、出会えることは少ない

付け加えておくと、朝日酒造では「久保田」の上位に「得月(とくげつ)」「洗心(せんしん)」「呼友(こゆう)」という限定酒がある。価格はいずれも4合瓶で4,294円、4,935円、6,720円。もし、これらの1つでも置いてあれば大したものだが、1杯2千円以上は確実にする。

価格を比較する場合、店によって1杯の量は微妙に違うので、そこは注意が必要だ。1杯が0.7合の店だったら、価格を約1.5倍しなければ1合の店とは比較できない

朝日酒造は、新工場を建設して仕込を増やすと共に、05年には翠寿の酵母を変更したり、06年には千壽の麹精米歩合を50%に高めるなど、より質の高い酒造りを心掛けている。海外にも19ヶ国に出荷しているそうだ。
どこかの名酒のように、人気と反比例して質を落とすことのないよう、今後ともぜひ頑張ってほしい。

→朝日酒造
http://www.asahi-shuzo.co.jp/

赤羽の新星居酒屋「醸し屋 素郎slow」 (09/3/9)

赤羽は、それなりに居酒屋の数がありながら、地酒好きに顧みられることのなかった街でもある。
だが、地元の地酒好きは、ちゃんといい店を押さえているものだ。ちょっと裏通りにありながら、「醸し屋 素郎slow」には夜ごと酒好きが集まってくる。

場所は赤羽駅の東口、一番街を入って「まるます家」を通り過ぎ、「赤羽ホルモン・良ちゃん」の角を右折、次の「かにキング」の角を左折すると、ちょっと先の左側にある。
店の外に1升瓶が並んでいるのが目印。

店内は自然の風合いを残した木・竹・布がふんだんに使われ、手造りっぽさを感じさせる。棚には日本酒や焼酎の瓶がぎっしり。壁にはメニューが書かれた短冊と、酒蔵の前掛けなどが飾られている。

レイアウトは、入ってすぐ右手のカウンターに5席、左側に4人掛けのテーブルが3卓。奥の小上がりには掘りごたつ式の座卓が3卓あり、このスペースは宴会にも使われる。
若きマスターの伊澤大祐さんは、コンピュータ商社を脱サラ後、5年の修行を経て2006年10月20日、この店をオープンした。

店には地酒が約20種類、焼酎が約60種類。定番メニューも一応あるのだが、日によっ変動する銘柄が多い。日本酒は1杯7~8勺ほどの量で、価格はほぼ580円、630円、720円、800円の4ランクに大別できる。
先週末にあった地酒は、一ノ蔵、竹鶴、杜氏の詩(以上580円)、飛露喜、秋鹿、田人人(たびと)、凱陣(以上800円)、その間の価格に、扶桑鶴、丹沢山、石のかんばせ、小左衛門、鶴齢、天吹、伯楽星、魂を醸す、きもとのどぶ、麓井、るみ子の酒、いづみ橋、冨久長、天遊琳…など。

純米と純米吟醸を中心にセレクトされており、メニューには1つ1つの銘柄について手書きの紹介文が書かれている。お燗がおすすめの銘柄もちゃんと区別されていて、分かりやすい。マスターのお酒好きが伝わってくるようだ。中には、店で寝かせた酒もあるようだ。

料理も多彩で、なかなか美味しい。カウンターの上にはおでん鍋があり、単品100~600円で注文できる。(盛り合わせ780~1,480円)
まぐろ赤身刺(780円)は筋のないおいしい赤身だったし、味噌味の牛スジ煮込み(700円)は豆腐入りでボリュームもある。
サメ軟骨の梅肉和え(580円)、いか白子酒盗(700円)、へしこ鯖(700円)、からすみ&大根(840円)…といった珍味も豊富。冬はあんこうフグまで扱うらしい。

裏通りにありながら、席数が限られる上に近くにスナックなどが多いこともあって、満席の日は多い。できるだけ予約をしてから訪ねた方が無難だ。

→醸し屋 素郎slow
http://slow.japan-web.jp/

深さを隠した、さり気ない美味さ。「京橋屋カレー」 (09/3/6)

少々季節はずれかもしれないが、久しぶりにカレー屋を紹介しよう。銀座から京橋に入ってすぐの裏路地にある「京橋屋カレー」だ。

銀座通りを銀座から京橋方面に進み、高速道路の高架をくぐったらすぐ左に曲がって、高架沿いの路地を60mほど歩いた右側2階にある。
看板や外観はちょっとレトロな和風の雰囲気。階段を昇ると、扉の窓から店内が見える。

店内は狭く、入るとそのまま奥に進む。左側の背の高いカウンターに3席、右側には2人用テーブルが2卓ある。その奥の窓際に、4人用と2人用のテーブルが1卓ずつ。計13席がすべてだ。
BGMにはハワイアンなどが流れ、カフェのような雰囲気
店を切り盛りしているのは、若いご夫婦のようだ。

カレーは、辛口地鶏カレー(1,150円)、スパイスベジカレー(1,150円)、キーマカレー(1,300円)の3種類が基本。ほかに、この3種類から好きな2種類を相盛りにできるツインカレー(1,400円)がある。
見た目も特に変わっているところはないし、普通に食べていれば「けっこう美味いけど、ちょっと高いかな?」という程度で終わってしまうかもしれない。
だがここのカレーは、おそらくご主人が研究を重ねて到達した、理想のカレーなのだと思う。

材料には、有機野菜や無添加食材がふんだんに使われている。トマトも、大根も、油も、塩も、酢も、水に至るまで吟味された素材が使われているのだ。
3つのカレーのルーはもちろん全て別々に仕込まれており、それぞれの製法もかなり研究されている。

地鶏カレーも、スパイスベジカレーもけっこう辛い。小麦粉を使っていないため、いずれのカレーもとろみは余りない。
オススメは、宮崎産の豚挽肉をオリジナルスパイスでじっくり炒めたキーマカレーだ。水をほとんど使わず、完熟トマトジュースを煮詰めて作られており、辛さはこれが最もマイルド。

メニューには明記されていないようだが、裏ツインカレー(定番3種類の中の1つ+京橋大根カレー)1,500円や、スパイシーチキンカレー熟成2,600円(月15食限定)といった裏メニューもある。
京橋大根カレーは裏メニューでしか食べられないが、この店を代表する味と評する人も多い。
スパイシーチキンカレー熟成は、滅多にお目にかかれないため、常連も心待ちにしているとか…。

デザートとして、無添加アイスクリームもある。(1個250円、2個450円、3個600円)バリエーションは、オーストラリア産クリームチーズ、いちご(とちおとめ)、カシス、抹茶、アールグレイ・ロイヤルミルクティの5種類。辛さに痺れた舌を癒してくれそう。

11:30(土日休12:00)~15:00というランチに限定した営業時間で、完全禁煙というあたりも独特。
カレー好きなら、1度食べておいて損はない。

→京橋屋カレー
http://michi-on.com/kyobashiya/

旨い焼鳥と旨い酒、CPの高さが嬉しい巣鴨「もん家」 (08/3/3)

巣鴨はおばあちゃんの原宿というイメージのせいか、訪れたことがない人も多いかもしれない。
だが、わざわざ途中下車してでも、立ち寄る価値のある焼鳥屋がある。それが地鶏串焼き「もん家」だ。

場所は、JR巣鴨駅から巣鴨地蔵通り商店街を歩くこと約8分。高岩寺(とげぬき地蔵)をだいぶ過ぎて、巣鴨郵便局の手前の路地を右折すると、すぐ右側にある。都電荒川線「庚申塚駅」から歩いた方がちょっと近い。

店は、逆L字型をした10席のカウンターだけの狭い店だ。誰かがトイレに立ったら、椅子を引かないと通りにくいだろう。
ホームページに「お店は全然お洒落でないです」と書かれているが、焼鳥屋としては明るくてキレイだと思う。これも女性店主ゆえかもしれない。

まず目を引くのは、カウンターの上にズラリと並べられた「十四代」15種類の空き瓶。
席には、日本酒のメニューがびっしりと書かれた紙が敷かれている。その日飲めるお酒に赤丸が付けられているので、その中から注文する仕組みだ。書かれている24蔵・75種類ほどの中から、日替わりで15種類くらいが飲める。

銘柄はホームページで確認できるが、醸し人九平次、黒龍、楯野川、東一、十四代、鳳凰美田、磯自慢、義侠、辻善兵衛、東洋美人、獺祭、美丈夫…あたりが定番のようだ。それも、意外に珍しいラベルを置いていたりするから面白い。昨日あった醸し人九平次は「火と月の間に」と「純米吟醸 雄町」、十四代は「出羽燦々」と「GRACEFUL 優雅」だった。

日本酒は、高台が付いた陶器のワインカップで出される。1杯の量は120mlだが、価格は550~700円が中心とお手頃。大吟醸クラスだと千円オーバーもあるが、醸し人九平次・別誂ですら1,000円で飲めるのは有り難い。
店で何年か寝かしている酒もあり、ちょっと高めになるが、ハーフでも注文できる。
臨時入荷品はメニューに載っていないこともあって、昨日も明日から載せるという墨廼江・特別純米酒中汲みが出てきた。

これだけ種類があるのに、新潟の酒がないのもユニークだ。日本酒ほどではないが、焼酎もこだわりの品揃え。
お酒担当は若い男性だが、酒蔵にも足を運んでおり、お酒にはかなり詳しい。もしかすると女将の息子さんかも。

ビールはキリンのブラウマイスターで、キリン満点生の店の認定店。松徳硝子のうすはりグラスに注がれるビールは、クリーミーな泡で、これまた旨い。

肝心の焼鳥も、もちろん期待を裏切らない。使われているのは阿波尾鶏で、1本190円から。焼鳥5本や8本のセットもある。
女将がじっくり丁寧に焼き上げるため、少々時間はかかる。特に鶏皮(190円)は1時間かかるとメニューに明記されている。(すいていれば早くなる。)
ハツ(190円)、せせり(190円)、鶏レバー(220円)、つくね(250円)などが人気だが、中でも鶏レバーの旨さは特筆もの。この値段でこれほど旨い鶏レバーは食べたことがない。

メニューに記載されていない肴にも逸品があり、カウンター内のボードに書かれていれば注文可能だ。心のこり(心臓と肝の間の部位)、レバ刺、レバーパテ(フランスパン付)などがその手のメニュー。食べられるかどうかは時の運だ。
数は多くないが、鶏以外のメニューもある。「変わり奴」は、塩昆布が乗った冷奴。松の寿の酒粕を使った「酒粕チーズ」や、東一の味噌を使った「味噌キュウリ」は、日本酒に良く合いそうだ。

普通に飲んで食べて、大体1人4千円台。このコスト・パフォーマンスは嬉しい。店主が女性ということもあり、女性客も多いようだ。
店を後にしてからも、姿が見えなくなるまでスタッフが見送ってくれる。
自分が、またぜひ来たいと思った焼鳥屋は、「バードコート」以外ここだけだ。

→地鶏串焼き もん家
http://www.mon-ya.net/

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