千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2008年11月

新橋一の銘酒居酒屋登場!「野崎酒店」 (08/11/27)

野崎酒店池袋の酒菜家」が10月7日、新橋に姉妹店「野崎酒店」をオープンした。(正確には「崎」の字の右上が「立」)
店のディスプレイも酒屋っぽい造りになっている。

場所は、新橋駅の烏森口から新橋西口通りのアーチをくぐって約80mほど進んだ右側。
店は1階と地下に分かれ、1階は9席ほどのカウンターと2~3人用のテーブルが3卓、地下は4人用テーブルが6卓ある。

この店は地酒専門と銘打っており、日本酒の品揃えはなんと160種類。
お酒は、0.7合(升)、1.4合(グラス+升)、2合(徳利)の3サイズから選べる。これは、「酒菜家」の方式を踏襲したものだが、あちらの1合がこの店では1.4合になっている。
料金は、0.7合を基準に1.4合が2倍、2合が3倍と分かりやすい。高額な希少酒の場合は、0.5合(グラス)が設定されているのも親切だ。
なお、この店ではお通し350円のほか、サービス料5%と外税が付く。(10円未満は切り捨て)

銘柄は、よくぞ集めたと感嘆を禁じえない驚異の美酒揃い。
手頃なものだと、白瀑・赤ラベル(310円)、本州一・気鋭の雫(360円)、出羽桜・軽ろ水(390円)、春霞・栗林(400円)、有加藤(420円)、野崎酒店(480円)、翠露・備前雄町(500円)…など。
高いものでは、栄光富士・古酒屋のひとりよがり(1,300円)、北雪・YK35(1,330円)、一の蔵・笙鼓(1,420円)、鳳凰美田・フェニックス(0.5合1,050円、0.7合1,500円)、銀河鉄道(0.5合2,000円)…等々。
「0.5合」とあるもの以外は、いずれも0.7合での価格だ。
全てお燗も可能だが、どれが合うかはスタッフに聞いた方がいい。

ほかにも、蓬莱泉・空、獺祭・二割三分、幻舞Mariスペシャル、稲生・鳩正宗、田酒・純米吟醸…など、これでもかという美酒のオンパレードに圧倒される。それも、よくあるプレミアム銘柄ではなく、無名でも質の高い銘柄を吟味したこだわりが素晴らしい。

野崎酒店「野崎酒店」というオリジナル酒は、「春霞」で知られる秋田の栗林酒造店で醸したもの。秋田の酒造好適米・美郷錦(山田錦×美山錦)で仕込んだ50%の純米吟醸だが、そこらの居酒屋のオリジナル酒とは雲泥の差。480円という価格に惑わされず、ぜひ試してみることをおすすめする。

料理も豊富なラインナップで、どんな需要にも応えられる体制。
お刺身は単品で680~780円くらい、三点盛で1,580円。天麩羅は単品550円~780円くらいで、大盛り合わせで1,580円。特大海鮮かき揚げ(880円)などは、凄いボリュームがある。
その他、串焼き(2本480~530円)、このわた等の珍味類(各480円)、焙りカラスミと大根漬け(600円)、鶏の白レバー刺(680円)、ネギトロの大根サラダ(780円)、牛舌味噌煮込み(880円)、更級ざるそば(580円)…など、多彩な料理がいただける。

居酒屋がひしめく新橋でも、日本酒の品揃えは間違いなく1番!…と確信したのだが、なんと隣のビルに11月5日、和酒BAR「庫裏」(07/6/25紹介)の新橋店がオープンした。
数でこそ「野崎酒店」に一歩譲るが、日本酒の質の高さでは決して負けていない。
揃えている銘柄は意外に重なっていないので、2店合わせて約200銘柄の美酒が堪能できることに…。
嬉しい悲鳴とは、まさにこのことだ~!

→食べログ:野崎酒店
http://r.tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13057347/

路地裏の美味しい隠れ家、宮原「音色」 (08/11/25)

大宮から高崎線で1つ目の宮原駅は、小さな駅の割に昔から居酒屋激戦区だ。いい店だったにも関わらず、「饗宴(うたげ)」「酒菜・らく」「旬菜家・わん」…など、撤退を余儀なくされた店は少なくない。
そんな中、隠れ家のような居酒屋が、ひそかに人気を集めている。東口にある「Dining Bar 音色」だ。

場所は、東口駅前から「am/pm」の前の道を右方向に進み、信号を越えて左側4軒目の居酒屋「あんたが大将」の横の路地を入った右側にある。
駅から150m足らずだが、行き止まりになっている路地裏にあり、しかも民家にしか見えない外観のため、店の存在に気付く人はほとんどいない。

音色_灯籠開店の18時になると、路地の入口に小さな行灯が点される。高さ20cm余りの小さな看板だが、これを目印に路地を入ると見つかるはずだ。
格子戸を引くと、店内は暗め。正面に5席ほどのカウンターがあり、左側に小上がり、右側にフロアがある。小上がりは最大7人くらいまで座れ、右側のフロアには4人テーブルが4卓。木造の古い民家をそのまま店舗に改装したらしく、内装も隠れ家っぽい。

開店は2005年。店主の佐保田真二さんが、奥様と2人で始めた店だが、料理もお酒のセンスもなかなかのものだ。
お酒の種類こそ限られているものの、多彩な種類をまんべんなく揃えていて、選択がいい
日本酒は、神亀(690円)、南部美人(690円)、郷の誉(720円)、(780円)。ほかに花陽浴など2銘柄程度が臨時に入荷する。すべて純米なので、この数でも不満は感じない。1合の価格も適切
焼酎は、芋がくじら(580円)から魔王(980円)まで14銘柄あり、ほかにも麦、米、黒糖、泡盛と、一通りが揃う(580円~780円)。

ワインはスペイン産が5種類あり、グラス690円か750円(ボトルの場合3,980円~5,800円)だが、これもコストパフォーマンスが良く、満足できる選択。
その他、ビール(590円~680円)、ジン(620円~820円)、ウォッカ(620円)、ラム(620円~750円)、テキーラ(600円~690円)、ウィスキー(680円~890円)、ブランデー(690円)、サワー(550~650円)やカクテル(680~750円)、果実酒(680円)…と、多彩な品揃えだ。
それぞれの種類は絞られているが、銘柄は都心でもなかなかお目にかかれないほど吟味されたセレクトだと思う。

音色_外観料理は、和風をベースにイタリアンやスパニッシュも取り入れた創作料理。価格は600円台を中心に、390円~980円くらいまでが多くを占める。定番メニューのほか、今宵のうまいもんと銘打った日替わりメニューが毎日10種類以上ある。

先週末の日替わりメニューは、銀杏焼き(390円)、ほうれん草の山芋おろしのせ(390円)、北海道産たこぶつ刺(520円)、鶏のぷっくらおしり焼き(580円)、ほっとなだだ茶豆腐(620円)、宮城産天然めじまぐろ(680円)、新潟産天然ひらめ(刺し650円/カルパッチョ720円)、まぐろとアボガドのわさびしょうゆあえ(850円)、宮城産あぶり〆さば(棒寿司1,000円/そのまんま800円)、和牛きのこ豆腐(1,000円)、牛野菜焼きそば(1,100円)、きときとお造り4種もり(1,850円)。
どれも美味しく、料理も期待を裏切らない。

ウッドベースなどの楽器がいくつかディスプレイされているが、たまに店内でサックスなどのミニライブを開くこともある。
今、宮原で和酒を飲むなら、自分はここが1番気に入っている。

→ぐるなび:Dining Bar 音色
http://r.gnavi.co.jp/e142600/

さすが学生街!安くて旨い銘酒居酒屋、高田馬場「酒洛 弐番所」 (08/11/20)

高田馬場は学生街なので、安い店は多いが、旨い酒を揃えた店はそう多くない。4丁目側なら、吟醸酒を世に広めた伝説の居酒屋・池袋味里の店長だった杉田衛保(すぎたもりやす)さんが営む「真菜板」があるが、駅からちょっと遠いし、やはり味の分かる人だけが訪れて欲しい。

もっと気軽に利用できる居酒屋だったら、早稲田側の駅からすぐの「酒洛 弐番所(しゃら・にばんしょ)がおすすめだ。

場所は、JR高田馬場駅を早稲田側に出て、高田馬場駅通りを右に進み、BIG BOXの左後方にあるKFC手前の路地を左折。左側3軒目の地下だ。
実は、駅の反対側の「さかえ通り」に「酒洛 本所」があったのだが、そちらは先月末で閉店。現在は「弐番所」だけになってしまった。

階段を降りて地下の入口を入ると、白木を多用した明るい店内に、カウンターと4人用テーブルが並んでいる。よくあるカジュアルな居酒屋といった感じで、宴会にも向いていそうだ。
更に地下2階もあって、総席数は108席とけっこう広いのが有り難い。(宴会は4人~62人まで)

店名は酒の都を意味しているということで、日本酒の種類は50銘柄近い。価格は「あたごのまつ」特選辛口本醸造の500円から、「八海山」純米吟醸の960円まで。升に入れたグラスに溢れさせて注いでくれるので、この値段は安い

特に「十四代」本丸は、千円以上の居酒屋も珍しくない昨今、630円というのはかなりのお得。それだけに注文が殺到するらしく、毎週月曜に入荷しながら水曜には売り切れということも。狙うなら週初めがいい。

ほかにも、「獺祭 50」純米吟醸が750円、「悦凱陣」手作り純米が780円、「飛露喜」特別純米が800円、「〆張鶴 純」が840円、「南部美人 心白」純米吟醸が880円…と、旨い銘柄をどれも手頃な価格で提供してくれている。
焼酎も約30種類ほどあり、こちらはグラス550円~680円だ。

は居酒屋らしいメニューが約100種類あるが、冷凍物は使っていないという。
牛すじ煮込み(460円)、ミスターコロッケ(525円)、 手作りベーコンの炙り焼(688円)、野菜炒めのてんこ盛り(735円)、旬の刺身盛り合わせ (1,680円)…など、価格はほとんどが400円~700円台だ。

この店では、「東海道五十三注ぎ」と「酔過(スイカ)カード」という、ユニークなスタンプラリーが名物。
「東海道五十三注ぎ」は、日本酒1杯ごとにスタンプが押され、30個たまると30銘柄の中から好きな日本酒1升をプレゼントしてくれる。
「酔過(スイカ)カード」だと、芋・米・麦の好きな焼酎ボトルを1本、または焼酎メニュー表面から好きな銘柄10杯無料券をプレゼント。

宴会も2,100円(8品)、3,150円(10品)と安い上、10名以上だと地酒1本をサービスしてもらえる。3日前までにオーダーすると、オリジナル・ラベルを作ってもらうことも可能だ。
飲み放題は1,050円、1,575円、2,100円の3プランあって、2,100円のプランだと日本酒30銘柄・焼酎20銘柄も飲み放題にしてくれる。

学生も、酒を飲むならこういう店でちゃんとした日本酒をぜひ覚えて欲しい!

→ぐるなび:酒洛 弐番所
http://r.gnavi.co.jp/g427400/

吟醸酒って、どういうお酒? (08/11/18)

少し前、ある居酒屋で、隣にいた大学生らしき若い男性3人組が、日本酒について話していた。
1人が「吟醸酒って、結局どういうお酒なの?」と、シンプルな質問をしたのだが、相手は「高級な日本酒でしょ?」というくらいしか答えられなかったようだ。

自分は、横から口を挟みたい衝動を抑えるのに苦労していたのだが、確かに良く飲んでいる割に何だか分からない人がほとんどだと思う。
というわけで、今回は吟醸酒について簡単に紹介したい。

吟醸酒は、その名の通り「吟味されて醸造された日本酒」のこと。
どのように吟味されているのかというと、まず原材料が吟味されている。
日本酒の醸造に使われるお米は食用のものとは違い、「酒造好適米(醸造用玄米)」と呼ばれる品種を使うのが一般的だ。
吟醸酒の場合は、その中でも特に素晴らしい味を期待できる最高品種、具体的には「山田錦」などを使うことが多い。(ほかには、五百万石、美山錦、雄町、八反錦…などが有名)

しかも、その米粒の外側部分を40%以上、多くは50%くらいまで削って捨ててしまう。
米粒は、外側に近い部分ほどタンパク質や脂肪などが多く含まれていて、これらはお酒の質を低下させる原因になるためだ。
削った後に残る割合を「精米歩合」と言う。吟醸酒の場合は40%以上削るため、精米歩合は60%以下になる。これが50%以下になると「大吟醸」と言われる。
鑑評会用の吟醸酒だと、精米歩合は35%前後。買ったお米の3/2近くを捨ててしまうわけだ。

食用のお米だと精米歩合は約92%、普通酒の場合で75%くらいなので、これがいかに贅沢なことか分かるだろう。
50%精米するには約3昼夜かかるので、原材料費だけでなく、手間も相当かかることになる。

次に、吟醸造りと呼ばれる高度な技術で醸造される。専用の酵母を使い、低温で長期間発酵させる造り方だ。
酒造りでは、発酵温度が高ければ早く発酵するが、味わいは荒くなりやすい。逆に発酵温度が低ければゆっくりと発酵し、繊細な味わいとなる。
通常のお酒は、15度前後で2~3週間発酵させるが、吟醸酒の場合は10度以下で1ヶ月以上かけて発酵させる。

醸造後、醸造アルコールを添加する場合も、吟醸酒は米の重さの10%以下に制限されている。
醸造アルコールとは、でんぷん質を糖化したものや、廃糖蜜(サトウキビやテンサイなどの糖蜜から砂糖を結晶させた後に残る液)を発酵・蒸留して造られる95%のエチルアルコールのことだ。吟醸酒の場合は、香りやキレを出すために添加される。
これを添加しない場合は、「純米吟醸」または「純米大吟醸」と呼ばれるが、それで美味しい吟醸酒を造るのは、より高度な技術が必要となる。まぁ、化粧せずにスッピンで勝負するようなものだ。

こうして、手間もお金も掛けて造った吟醸酒は、吟醸香と呼ばれるフルーツのような甘い香りを持ち、すっきりとした味わいの淡麗な日本酒に仕上がる。

お米を水に浸すにも秒単位、温度調整も0.5℃単位で管理する、まさに真剣勝負で造られた酒。
ぜひともじっくりと味わいましょう!

劇場前のベルギービール専門店、汐留「BEER GARAGE」 (08/11/15)

先週、職場の近くにベルギービール専門店がオープンした。
都内を中心に個性的な飲食店ばかりを展開している(株)ダイヤモンドダイニングの「BEER GARAGE」だ。

場所は、JR新橋駅の汐留口から地下道を5分ほど歩いた正面、「カレッタ汐留」の1階で、四季劇場「海」の入口前。『ウィキッド』を観た後だったら、徒歩5秒で着きそうだ。

店の入口には7席のカウンターがあり、観劇の幕間でも軽く1杯やれそうな雰囲気。中に入ると、左側に8席のカウンター、右側の吹き抜けに面したウッドデッキに4人用の丸テーブルが7卓ある。更に奥に進むと、メインフロアに4人用テーブルが10卓、2人用テーブルが5卓。
フロアの正面はガラス貼りで、汐留タワーや日本テレビタワー、汐留シティセンターの夜景が見える。左手の壁は、造り付けの棚に288本ものベルギービールの小瓶が並べられているのが壮観だ。

ビールは、看板のベルギービールをメインに70種類以上。
樽生ビールだけで6種類あり、ヱビス(680円)、ホメル(920円)、デ・コーニンク(940円)、マレッツ(980円)等。ギネス、ヴェデット、キルケニーは1,000円だが、ギネスはハーフ・パイント(284ml)だと600円になる。ほかに、「おすすめゲストビール」も1,000円だ。

瓶ビールは、ピルスナー、ゴールデン・エール、ホワイトビール、トラピストビール、レッドビール、セゾンビール、アビィビール、ランビックビール、スペシャルビール…と色々な種類が揃えてあり、価格は1,080円~1,540円。すべて目の前で栓を抜き、その銘柄専用のオリジナルグラスに注いでくれる。

漫画『もやしもん』に出てきた「ランビックビール」を飲んでみたが、漫画通り、とても酸っぱいビールだった。
「ランビック」とは、開放された容器に麦汁を入れて放置し、空気中の酵母で自然に発酵させるという、原始的製法による珍しいビール。酵母の生育地が限られるため、ブリュッセル近郊でしか作れない。
日本のビールと比べると、とても同じ飲み物とは思えない味だ。

ビール以外は、ワインがボトル2,500~3,600円で14種類ほど揃っている。グラスワインは500円(スパークリングは600円)、デキャンタは1,400円と、価格はどれもお手頃。
20種類のカクテル(650~750円)や、ウイスキー(600~750円)、焼酎(各650円)も2種類置いてあるが、さすがに日本酒はない。

店は「スパニッシュ・ベルジアン」をコンセプトにしており、スペインの小皿料理「タパス」やベルギー料理を楽しめる。
タパスはどれも値段が安くておすすめ。「スモークサーモンのタルタル」や「スペイン風じゃがいものオムレツ」など10種類が300円、「ムール貝のパン粉焼き」「スペイン産生ハムハモンセラーノ」など9種類が500円、「白金豚のバラ肉の赤ワイン煮込み」「米ナスのパルマ風グラタン仕立て」など8種類が650円だ。

ベルギー料理は、「ベルジアン・フリッツ(マヨネーズディップで食べるフライドポテト)」(680円)や「ムール貝の白ワイン蒸し」(1,380円)などがある。
ほかにも、3種類のチーズフォンデュ(1,800円) やピザ(850円~950円)、パスタ(1,000円)…など、意外に料理は多彩だ。ベルギーのワッフルやチョコレートなどのデザート(400~650円)もある。

ベルギービールとタパスという組み合わせは悪くないと思うのだが、店にベルギービールのスペシャリストが少ないのが難点。大まかな説明はしてもらえるが、個々の味わいの違いなど、細かいアドバイスまでは期待できない。興味のある人は事前に調べて、飲んでみたいビールの候補を決めておいた方が得策。

ビールが千円以上となると高い気もするが、酒屋で買ってもベルギービールは1瓶千円近くするもの。日本のビールとはかなり違う、多彩な味を楽しめると思えば、たまに試してみるのも悪くないのでは?

→ダイヤモンドダイニング:BEER GARAGE
http://www.diamond-dining.com/shop_info/beer-garage/

日本酒マニア御用達の銘酒居酒屋「かんだ光壽」 (08/11/12)

このブログで最初にご紹介した居酒屋「しんばし光寿」の姉妹店が「かんだ光壽」だ。最初にできたのは新橋の方だが、現在店主がいるのは神田になる。

姉妹店だけに共通点は多いが、新橋は純米酒中心、神田は純米吟醸・大吟醸酒中心という品揃えからも分かるように、こちらの方がよりマニアックな店になっている。

店は、「神田駅北口」交差点から神田平成通りに沿って岩本町方面に進んだ右側。駅から歩いて100mあまりだが、営業中でも暖簾が戸の内側にあり、看板も目立たないので、店先に下げられた杉玉を目印にするといい。

引戸を開けて暖簾をくぐると、郷愁を誘うような田舎家風の造り。照明も暗めだ。
入って左側に7席ほどのカウンターがあり、右手には4人用テーブルが6卓ほどある。
平日でも夕食時はほぼ満席なので、1人ならまだしも複数なら予約しないとまず入れない。

初めて光壽を訪れる人がまず驚くのは、お通しの豪華さ。1,280円という価格は高く思えるかもしれないが、内容を見ればむしろ安い。(注:この店のメニューはすべて外税表示)
一昨日のお通しは、大根と鮟肝の煮付け+名物・6種の小鉢盛り合わせ(ししゃも焼き、野沢菜のクリームチーズソース、魚の煮こごり、つみれの煮浸し、烏賊の塩辛…など)。
光壽は両店とも料理の種類が余り多くないが、お通しがたっぷりあって美味しいので、つまむ程度ならほかに何も頼まなくても済んでしまうほどだ。

日本酒は、どれも素晴らしい銘酒ばかり。特に斗瓶取りと呼ばれる最高クラスが多いが、ここでは1杯がグラス(120ml)かショット(60ml)という少なめの設定なので、割と手頃な値段から飲める。(1合での注文も可能。)
十四代の本丸だとショット260円という話だから、値付けも良心的。

一昨日、最も安かったのが醸し人九平次「件の山田」のグラス680円/ショット360円。次いで、・純米大吟醸 斗瓶取り・選抜生原酒(限定30本物)などの820円/420円。東一・純米吟醸山田錦49%などが880円/450円。・内山杜氏選抜・斗瓶取りスペシャルをはじめとした、980円/520円は中心価格帯。佐藤彰洋・大吟醸14BYなどが1,200円/620円。鳳凰美田・大吟醸フェニックスなどが1,400円/720円。辻善兵衛・櫻川大吟醸(光壽限定酒)など、1,600円/830円もけっこう多い。一番高いもので、初亀・純米大吟醸「亀」5年目の1,800円/930円だった。

「14BY」や「5年目」とあるのは、店で熟成させた酒だ。本物の日本酒は、熟成させることでより味が乗ってくるものが少なくない。この店では-5℃の保冷庫に、常時約20銘柄・約200本の酒を寝かせていて、ワインのように飲み頃を見計らって店に出している。
「14BY」は「ブリュワリー・イヤー(酒造年度)平成14年」の略で、平成14年~15年にかけての冬に仕込まれた酒を意味する。

また、酒蔵では通常いくつもの大型タンクで酒を造り、それを混ぜて出荷している。同じように仕込んでも、タンクによって微妙に差ができるので、味を均一化するためにブレンドするのだ。
ところが、懇意にしている取引先が酒蔵を訪れ、気に入った味のタンクを指して「これを他と混ぜないで、そのままウチにくれ」などと言い出す場合がある。それが限定30本といった希少酒となる。

そんな酒がふんだんにあるこの店は、日本酒愛好家にとって、まさに垂涎の店だろう。

→かんだ光壽
http://www.kohju.com/

宮城にこだわった日本酒BAR、渋谷「公界」 (08/11/10)

店主の個性がそのまま発揮されている店は、客を選ぶかもしれないが、自分はけっこう好きだ。
そんな個性派の1つが、渋谷の日本酒BAR「公界(くかい)」。日本酒BARと言っても、なんせ宮城の日本酒しか置いていない。お酒だけでなく、ビール、焼酎、ウィスキー、お米、豚肉、魚介類、麺類にいたるまで宮城産にこだわりぬいたBARなのだ。

場所は、渋谷西武のA館とB館にはさまれた井の頭通りを直進し、宇田川交番のY字路の左側を選んで更に奥に進むと、店もまばらになってきたころ右側に現れる。駅から歩くと10分程、中華料理「清香園」のほぼ向かいにあるマンションの1階で、通り側がガラス貼りになっている。

店の内装も独特。カウンター11席のみの小さい店ながら、ヨーロッパの貴族の部屋をモチーフにしている。球形の装飾が目を引く照明がシンボル的だ。
店内のディスプレイは、新鮮さを失わないよう定期的にテーマを設けて飾りつけているらしい。
窓際のカウンターの端だけテーブル大の広さになっていて、4~5人のグループはここを使う。

店を切り盛りするのは30代のご夫婦、木村光さんと容子さん。
容子さんは5年ほど前、飲食店の開業を目指してフードコーディネーターの学校に入学するまで、ずっと故郷の宮城で過ごしていた。卒業後、中国料理店「麻布長江」を経て、FMSプロジェクト(宮城県の食産業振興事業)の仕事に携わる。そこで、宮城の飲食業界に幅広い人脈を育んだようだ。
不思議なもので、そんな頃同じく飲食店を開きたいと思っていた光さんと偶然出会い、2005年9月に結婚、同年12月1日に「公界」をオープンした。

「公界」というのは、政治権力を拒否する人々が集まった、中世時代の自給自足エリアのこと。光さんが愛読する時代小説家・隆慶一郎氏の作品に由来し、「自らの力で生き抜く人たちが集まるような飲み屋」という思いを込めて名付けたそうだ。

売り物は、宮城の日本酒とくじら料理
日本酒は純米や純米吟醸が中心で、阿部勘、乾坤一、宮寒梅、浦霞、一ノ蔵、萩の鶴、日高見、綿屋、於茂多加といった銘柄が1杯700~1,000円。ここでしか飲めない宮寒梅の純米大吟醸生酒「ひより」は1,300円だが、これは非常に旨い酒のため「最後に飲んでほしい」と光さんは言う。

日本酒はいずれもワイングラスで提供され、量は120ml弱だろうか。
お酒に弱い人や女性向けに、発泡清酒「すず音」(300ml・2,000円)、低アルコール酒「ひめぜん sweet」(300ml・800円)、同じく「花撫子」(300ml・1,800円)といったお酒や、宮城の梅酒もある。
焼酎は少ないが、石巻の純米粕取り焼酎「日高見」や沖永良部島の黒糖焼酎「天下一」などがあった。
ウィスキーはニッカの「宮城峡」。ご飯はもちろん宮城産ササニシキだ。

くじらは、定番料理としてユッケ(900円)、カルパッチョ(900円)、開化丼(1,000円)、ステーキ(1,300円)、ラグーシルク麺(1,300円)があり、これに新作メニューや珍味などが時期によって加わる。

シルク麺というのは、身体にいいと言われる絹を粉状にして麺に練りこんだ、仙台の「泉月」考案のパスタ。これも東京ではなかなか食べられないが、ぺペロンチーノ風シルク麺(800円)、きのこシルク麺(900円)、仙台味噌シルク麺(1,000円)、かにのトマトソースシルク麺(1,300円)…など、ここには何種類ものメニューがある。

その他にも、白石市の養豚場白石スワインで竹炭ミネラル水によって独自の飼育をされた有難豚(ありがとん)や、三陸の魚介類(例えば今なら牡蠣のオイルサーディン)など、宮城の素材を使ったオリジナル料理がいろいろ。
BARなので1皿のボリュームは少なめだが、どれも美味しくて独創的。随時新しいメニューが登場するのも嬉しい。

郷土料理の店は多いが、ここまで一地域にこだわっているBARは珍しい。光さんいわく、「宮城のものだけで充分美味しいので、それ以外の物を置く意味がない」。
この店で過ごしていると、その言葉にも思わず納得させられてしまう。

→公界
http://news.kukai.biz/

四谷三丁目に潜むすごい店、「地酒 あさま」 (08/11/6)

いい店というのは、外観だけでほぼ分かることが多い。だが、中には予想を裏切る店もある。
いい意味で予想を裏切ってくれたのが、四谷三丁目のあさま」だ。

昨晩、新宿通りを四谷二丁目から三丁目へと歩いていて、四谷三丁目交差点の1つ手前の角をちょっと右に入ってみた。少し先に店の灯りが見えたからだが、それが「地酒 あさま」だった。

見た目は普通の小さな居酒屋で、和風とも洋風ともつかない外観。大して期待はしなかったものの、「地酒」の2字に惹かれて暖簾をくぐってみた。
店内は、厨房に面したカウンターに5席ほどと、4人卓が少し。2階もあって、そちらは6人卓が1つと4人卓が2つほどあるようだ。

店は家族経営で、ご主人とお母さん、それにもう1人年配の女性がいた。以前はお父さんが店主だったが、昨年他界されたそうだ。
この段階では、正直言って「ハズしたかな…」と思っていた。

しかし、メニューを開いて驚いた。地酒のラインナップがただ者ではない。と言うか凄いのだ。
まず十四代が、本丸・中取り純米・出羽燦々純吟生・八反錦純吟生…と各種揃っている。壁際の冷蔵庫を見ると、「龍月」まであるではないか!(十四代の純米大吟醸斗瓶囲い。入手困難なため、オークションで信じ難い高値がつくことも…。)その横には、同じく入手困難な超人気酒、黒龍「石田屋」や「二左衛門」が普通に並んでいる。

これが序の口であることは、その後店主の畠山和久さんと話してみて分かった。
畠山さんは、先代の頃から25年に渡り全国の蔵元と懇意にしてきたそうで、どんな希少酒であっても「入手可能」と言い切る。一般には市販されないお酒が入ることもしばしばで、蔵で50本しか仕込んでいない駿の選抜大吟醸・袋吊り斗瓶囲い「待鳥好美」や、同じく47本しか仕込んでいない松の司など、超レアなお酒も見せてもらった。(残念ながら、これらは売り切れ。「龍月」も店で熟成中のため、今は注文不可。)

こうした臨時入荷品は季節モノなので、あるかどうかは時の運
日本酒は、上記の十四代各種(640~1,400円)のほか、くどき上手「ばくれん」吟醸辛口(600円)、早瀬浦・純米(600円)、正雪「酒門」(600円)、東洋美人・純吟(600円)、三井の寿「栄田」(600円)、南部美人・純吟(640円)、飛露喜・特別純米生詰(640円)、黒龍・特選吟醸(640円)、磯自慢「大井川の恵み」(700円)、東一・純米吟醸49%(720円)…など、常時50種ほどがある。
この値段は120mlグラスの場合だが、90mlや1合、2合徳利でも頼める。すべてお燗が可能で、特にお燗向きのお酒はメニューに赤字で示されている。

焼酎も、眞酒(600円)、吉兆宝山(650円)、宝山蒸撰(800~850円)、百年の孤独(1,500円)、十四代「鬼兜」(1,600円)…など、14種類が揃う。
お通し(600円)は、3品の前菜セット。料理も手頃なものが多い。
焼き鳥(200円~)、冷奴(380円)、いかの塩辛(380円)、もつ煮(500円)、おでん(おまかせ4品500円)、冷やしトマトサラダ(600円)、茶そば(600円)、鳥の唐揚げ(680円)…など。

きき酒師の資格を持つ畠山さんは、お酒について尋ねれば何でも答えてくれる。お母さんも一緒に蔵や畑まで出かけているだけあって、米やお酒をよくご存知だ。
昨年度は、こだわりのある店に贈られる新宿区の「こだわり大賞」も受賞

これだけの店を、一瞬「ハズレ」と勘違いするとは、己の不明を恥じるばかりだ。

→地酒 あさま
http://www.48asama.com/

こだわりのお酒を揃えたチェーン居酒屋、大宮「わからず屋」 (08/11/4)

一見、よくある普通の居酒屋なのだが、お酒のチョイスが素晴らしいという店がたまにある。南浦和の「酒魂 蔵人」(08/7/21紹介)もそうだが、大宮駅周辺だと「わからず屋」がそんなタイプだ。

「わからず屋」は、大宮駅の西口に1店、東口に2店あり、それぞれ少しずつ雰囲気が違う。オープンな感じで入りやすい西口「うえすと店」、駅から近い割に路地裏で目立たない「本店」、知っている人以外はまず入ってこないような隠れ家「空 kuu」の3店だ。

ここでは本店を中心にご紹介する。
場所は、大宮駅東口「LOFT」手前の路地、「ウエストサイド・ストリート」を入った左側。
路地は車が入れない狭さの上、店の間口もさほど広くないので、気をつけていないと見過ごしてしまうかもしれない。

店内は、ごく普通の洋風居酒屋。カギ型のカウンターに8席、その周囲に4人用テーブルが5卓ほどある。窓際のテーブルだけやや広いため、席数は全部で40席ほど。照明はちょっと暗めで落ち着ける。チェーン店の居酒屋を少し狭くしたような感じだが、2人客がカウンターが中心に集まり、けっこう居心地が良さそうだ。

日本酒は、こだわりをもって選ばれている。
生もとのどぶ(820円)、睡龍・生もと純米(840円)、神亀(830円)、鷹勇・特別純米(720円)、獺祭・純米吟醸 50%(800円)、大那・純米吟醸 那須五百万石(810円)、鳳凰美田「剱」純米吟醸(820円)、鯉川・特別純米(720円)、賀儀屋・純米無濾過(800円)、黒龍・本醸造(720円)、文楽・純米(860円)の11種類。
ほとんどが純米酒で、唯一の本醸造が黒龍。これなら、かなりの日本酒好きでも文句は言わないだろう。逆に、飲み応えがある通好みの銘柄が揃っているので、日本酒初心者は本醸造や純米吟醸を選ぶようにした方がいいかもしれない。

焼酎も、それなりに揃えてある。小鹿(450円)、不二才・はい(700円)、白麹旭萬年(580円)、明るい農村(620円)、八幡(680円)、桜島・黒(450円)、佐藤・黒(780円)、薩摩茶屋(680円)…など。

焼酎好きなら、本店より「空 kuu」の方をお勧めする。こちらの焼酎の品揃えはかなりのもの。メニューにない逸品が隠れていたりするので、スタッフに聞いてみるといいだろう。
限定出荷の黒糖焼酎「南の島の貴婦人」(07/5/1紹介)は、この「空 kuu」で飲ませてもらったのだ。

料理は、佐渡の魚を中心に、バラエティ豊かに揃えられている。このあたりは、チェーン店らしい品揃え。価格は500円~700円くらいが多く、手頃に抑えられている。
コースも安く、3,500円(6品)、4,000円(8品)、5,000円(9品)が、すべて飲み放題付き。飲み放題を付けない場合は、2,500円から可能だ。

なお、大宮以外に藤沢と大船でも、姉妹店「くうかい」を展開している。

→ぐるなび/わからず屋 本店
http://r.gnavi.co.jp/g255600/

新酒の季節 (08/11/3)

10月19日に受けた試験に合格し、無事フードアナリスト資格を取った。
一番下の4級なので、(厳密にはその下に「初級」があるが、初級は「フードアナリスト」を名乗れない。)こういうブログをやっている以上、合格するのが当前かもしれないけどね。

この先、3級、2級とステップアップしたいところだが、その前にクリアしたい目標が別にある。
それは、ワインエキスパート資格だ。
飲食系の資格としては最難関なので、これまでのような独学でのクリアはかなり難しい。1年くらいの受験勉強期間を設け、そのうち数ヶ月はワインスクールに通わないと、一次はともかく二次試験はまず通らないだろう。(二次試験は、口頭試問とテイスティングがある。)

自分の場合、スクールに通う時間を確保できるかも問題だし、あったとしても学費を貯めるところから始めなくてはならないんで、かなり悩ましい。とりあえず、少し飲み歩きを控えて、貯金を目指すか…。

そう言えば、今月の20日にはボジョレ・ヌーボーが解禁される。たまたまだが、「ミシュランガイド東京2009」発売の前日だ。
解禁直後は高い(とは言っても2~3千円くらいだが)ボジョレも、少し日が経てば価格も下がってくる。少し落ち着いて来てから飲んだ方が得策だ。

今やワインの新酒の代名詞となったボジョレだが、新酒はボジョレ地区だけではなく、その北側のマコネ地区や、コート・デュ・ローヌ、ブルゴーニュなどでも同日に解禁される。
赤が有名だが、数は少ないものの白やロゼの新酒もあり、特にロゼは希少品だ。

また、イタリアやドイツにも新酒はある。イタリアではノヴェッロと言い、11月6日が解禁日。ドイツではデア・ノイエと言い、更に早い11月1日からお目見えする。
日本でも、解禁日こそないものの、新酒ワインは同じくらいの時期から出回り始める。

ボジョレもいいが、これらそれ以外のヌーボーを試してみるというのもおすすめだ。知名度のあるボジョレに比べて割安に飲める上、知っている人が少ないだけに、通を気取れるかも 

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