千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2008年07月

東京の居酒屋兆治? 八重洲「ふくべ」 (08/7/30)

渋い縄のれんが大好き、という人にはたまらない店が八重洲にある。昭和14年(1939年)創業の「ふくべ」だ。まるで昭和の白黒映画に出てきそうな風情は、最近の居酒屋とは別世界の趣がある。

場所は、東京駅の八重洲北口から外堀通りを神田方面へ進み、呉服橋交差点手前右側にある「EXCELSIOR CAFE」の角を右折して約50m右手。東京駅から歩いて5分ほど、日本橋からはもっと近い。

引戸を開けると、年季の入ったL字のカウンターに12席。カウンターの客は多くが常連客だ。向かいの棚には、上から下まで80本はあろうかという1升瓶が並べられている
棚の裏には、4人掛のテーブルが4卓、2人掛のテーブルが1卓ある。BGMない。更に2階に10席ほどあるが、こちらは要予約だ。

席に座ると、すぐにおしぼりと四角いお盆が置かれる。盆には、割り箸と、お通しの昆布の佃煮、それに蛇の目猪口が既に載せられている。

「ふくべ」とは、かつて酒の容器などにも使われた瓢箪の実のこと。この店は元酒屋だったそうで、そのなごりか、カウンターの一番奥にある「菊正宗」の4斗樽から酒を注いでくれる。この菊正宗は、店では「樽」と呼ばれている。
お酒は、きっちり一合を升で量って漏斗で徳利に移され、それを銅壺に入れて燗につける。常温が好みなら「常温で」と伝えればいい。(「冷や」は冷酒用の小瓶のみ。)

メニューは、ハガキより小さな紙にプリントされている。価格は書かれていないが、安心していい。日本酒は1合480~630円、肴は370~630円くらいがほとんど。上限は「刺身盛合せ(鮪、イカ、タコ)」等の950円だ。客単価は普通2千円くらいらしい。
スキンヘッドの2代目店主と、年配の男女のスタッフが、お酒や肴選びのアドバイスをくれるので、気軽に声を掛けてみるといいだろう。

棚に並ぶ日本酒は、北海道から九州まで40銘柄。昔ながらの銘酒が多いが、それもこの店にはピッタリ来る。
菊正宗以外の銘柄は、賀茂鶴、樽平、梅錦、真澄、窓の梅、白鷹、櫻正宗、銀盤、剣菱、男山・生酛純米、西の関、澤乃井・蒼天、美少年、五橋、栄川、月の桂、久保田・千寿、桃川、賀茂泉、豊の秋、浦霞、住吉、初孫、鬼ころし、越の誉・純米さかびと、大七・純米生酛、司牡丹…等々。
久保田だけは例外的に740円のようだ。ビールはキリン・ラガーの小瓶(400円)と、アサヒ・スーパードライの中瓶(600円)がある。

安い店なので、本醸造が多いのは仕方がないが、純米や吟醸、山廃に生酛など、一通りは押さえられているのが有り難い。メニューでは区別がつかないが、テーブル席の壁に銘柄の札が下げられており、赤札付きが純米、金札付きが吟醸を示している。

肴も、酒呑み泣かせの品が揃っている。名物は、おでん、かます、くさや。
おでんは、あっさりした出汁の3点盛りで630円。かますは、開きにした干物で950円。新島産のくさやは、臭いは若干マシな方だと思うが、切り身で出され530円。
ほかには、塩らっきょう(370円)、板わさ(370円)、〆鯖(530円)、冷奴(420円)、焙ってもらえるタラコ(630円)、たたみいわし(420円)、鮪ぬた(550円)、生揚げ(420円)、お新香(370円)…など、料理は全部で36品ほどだ。

4,000円と3,000円のコースもあるが、もっぱら2階席用で、前日18時までの予約が必要。3,000円のコースは、土曜に限り1階でも注文できる。
若い人にとっては、ほとんどテーマパーク的な感覚で楽しめる居酒屋かも

→ふくべ
http://horoyoi.jp/detail_id_t044.html

銀座で旨い地酒を手頃に飲むなら、「なじらて」 (08/7/28)

手頃な価格で美味しい地酒が揃っている居酒屋を探すにも、場所が銀座となると難しい。高くて美味しいものならいくらでも見つけられる街だが、手頃で美味しいとなると、いきなり難しくなるのがこの街だ。
そういう時、探すべきなのは路地裏か街はずれと相場が決まっている。銀座も昭和通りを越えると、とたんに面白い店が増えるのだ。居酒屋「なじらて」があるのも、昭和通りの1本裏。

場所は、昭和通りの銀座2丁目信号を築地方面に入り、最初の角を左折、60mほど歩いた左側にある。
ともかく、壁の側面が全面お酒のラベルで埋め尽くされているので、自分ならずとも酒好きの足を止めさせるには充分なインパクトがある。

引戸を開けると(建て付けは良くない)、店内は厨房を囲むカギ型のカウンターに10席、その手前と奥の2箇所にテーブルが1卓ずつと、決して広くはない。
カウンターの上部には、一升瓶がズラリとディスプレイされている。

変わった店名は、「いかがですか」という意味の越後方言らしい。新潟の地酒ももちろんあるが、それに留まらず、全国の美味しい地酒が豊富に揃えられている。

日本酒は、プラスチック製の升に入ったグラスにに注がれるが、グラスから溢れて升いっぱいに入れてくれる。量は「1合(180ml)」と書かれているが、どう見てもそれ以上あることは間違いない
メニューに掲載された日本酒のうち、10種類以上が「品切れ」となっていたが、注文してから言われるよりは、ずっと親切だ。先週末に揃っていた銘柄は、以下の通り。

麒麟山・伝辛(550円)、愛宕の松・別仕込 本醸造(600円)、羽根屋・番外品特別本醸造(600円)、八海山・本醸造(650円)、七田・特別純米(650円)、ソガ ペール エ フィス J1(650円)、鷹長・純米槽搾りしずく酒生原酒(650円)、花菱・山廃純米秘蔵5年古酒(700円)、菊水・無冠帝(700円)、天青・純米 防空壕貯蔵(700円)、道潅・吟醸無濾過生原酒(700円)、鉄砲隊・吟醸無濾過火入れ原酒(700円)、田酒・特別純米(750円)、荒蝦夷・純米活性にごり(750円)、手取川・大吟醸(750円)、石鎚・純米吟醸槽しぼり緑ラベル(750円)、妙の花・特別純米(750円)、鶴齢・特別純米無濾過生原酒(800円)、十文字・純米吟醸(800円)、天明・特別純米亀の尾無濾過2006年(800円)、瑞冠・いい風・純米吟醸雄町袋取り(800円)、木戸泉・純米AFS(900円)。

焼酎も、富乃宝山や三岳、黒霧島、鳥飼など、38種すべて500円だった。
銀座でこの銘柄がこの値段。しかも、量は1合に余りあるほど。これは混むのも当たり前だ。
詳しくはホームページをご覧いただきたいが、料理も酒の肴として充分な種類と美味しさを備えていた。

BGM70年代の曲中心というのも、オジサン泣かせ。ほかの店ではまず聞けないような懐かしのロックやニューミュージックが次々と流れる。
とは言え常連はオジサンに留まらず、若い男から外国人まで、かなり幅広い。

平日でもピークの時間帯は満席。先週の火曜は、とある歌舞伎役者さんから貸切の予約が入っていた。なるべく電話で確認してから訪れた方がいいだろう。

このあたりの、いわゆる歌舞伎座裏界隈は、面白い店がけっこう多い。いずれ、近くにあるテイストの違う店も紹介したい。

→なじらて
http://izakaya-najirate.com/

酒呑み用語事典:生酒編 (08/7/23)

このところ真夏日が続いており、いよいよ夏本番だ。
こういう日にはビール!…という方も多いだろうが、冷たく冷やした生酒なんぞも似合うものだ。

ところで、一言で「生酒」と言われるものに、実は3種類あることをご存知だろうか
それは、「生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)」「生詰酒(なまづめしゅ)」「生酒(なまざけ)」の3つ。これらは一緒くたにされがちだが、実は意外と違う

日本酒は通常、冬に醸造された後しばらくの間、タンクに貯蔵して熟成させる。それによって味に丸みや深みが出て、より美味しくなるからだ。その際、貯蔵する前と、貯蔵が終わって瓶詰めする前の2回、火入れと呼ばれる低温加熱殺菌が行われる。(普通は65度前後)

1回目の火入れは、主に酵母の活動を止め、雑菌を殺して酒質を安定させるために行われる。
2回目の火入れは、お酒が出荷された後に変質(劣化)するのを最小限に留めるためだ。
ただ、昔はともかく、冷蔵技術や冷蔵庫が普及した現代では、ちゃんとした貯蔵・保管さえ行えば、火入れは必須の工程ではない。

そこで、1回目(貯蔵前)の火入れを行わずに出荷された日本酒を「生貯蔵酒」、2回目(瓶詰め前)の火入れを行わずに出荷された日本酒を「生詰酒」、両方とも行わなかった日本酒を「生酒」と呼んでいるのだ。

生貯蔵酒は、きちんとした温度管理や衛生管理ができる醸造所での火入れは省略するが、販売後の変質は最小限に留めたいということだろう。
生詰酒は、火入れをして酒質を安定させてから熟成させ、秋には美味しくなったお酒をそのまま届けたいということ。こちらは「冷やおろし」とも呼ばれる。これは、涼しい酒蔵で貯蔵したお酒を、火入れせずに冷えたまま卸したという意味だ。
生酒は、醸造したお酒本来の風味をそのまま味わってもらおうというお酒だ。

生貯蔵酒はまだしも、生詰酒と生酒は購入後必ず冷蔵庫で保存し、できるだけ早く呑んでしまった方がいい。こうしたお酒は300mlの小瓶で提供されることが多いが、これは1回で全部呑みきってもらうためだ。

「生貯蔵酒」や「生詰酒」は、いずれも1回は火入れを行っているので、本来の「生酒」とは区別されるべき。本当の「生酒」(他の2種と区別するため、「本生(ほんなま)」とか「生生(なまなま)」と呼ばれることもある。)は、保存や流通にもコストがかかるため、販売価格にも影響する。
もし「生貯蔵酒」や「生詰酒」を「生酒」と省略表示している店があったとしたら、それは今はやりの不当表示に当たるので、すぐやめてほしい。

初物好きの日本人は「生」の文字に惹かれるかもしれないが、生酒が火入れをしたお酒よりいいかと言えば、それは別問題だと思う。
生酒は瓶の中でも醗酵し続け、炭酸ガスを発生させるため、口に含むと少し舌がピリピリする。当然だが、フレッシュな味わいがある一方、熟成が足りないという見方もできる。

だが、夏場はこのフレッシュさと微発泡が、涼しげな刺激を与えてくれるのも確か。自分も、夏はなんとなく生酒に手を伸ばしてしまう。
ビールもいいが、この季節は生酒にもぜひトライしてみてほしい!

地酒が揃った手頃な居酒屋、「酒魂 蔵人」南浦和店 (08/7/21)

普通の手頃な居酒屋でいいんだが、それなりに美味しいお酒と肴が揃っていてほしい。南浦和の「酒魂 蔵人」南浦和店は、そんなよくある需要に応えてくれる居酒屋のひとつだ。

蔵人場所は、南浦和駅東口の駅前ロータリーから、右前方に見える三菱東京UFJ銀行の前の道をまっすぐ右方向に歩いて約100m歩いた右側。店頭に一升瓶が並べられているのが目印だ。

店内に入ると、すぐ左側に掘りごたつ席の小上がりがあり、そこだけでも20人は座れそう。その奥は、厨房に面したカウンター席で、厨房の右側がテーブル席になっている。席数は全部で50席以上あるので、たいていの宴会にも対応できる。
テーブル席は、隣席との間に簾を降ろせるようになっている。

地酒は常時15種類ほど。醸し人九平次・純米吟醸(600円)、義侠・純米(700円 )、酔鯨・純米(800円)、黒龍・吟醸(800円)、八海山・純米(1,000円)、十四代・本丸(800円)、 十四代・純米吟醸(1,200円)…といった銘柄と価格は、まず文句のない設定と言っていいだろう。
ほかに、土佐しらぎく・吟醸、翠露・純米、正雪・吟醸、早瀬浦・純米、東一・純米吟醸、安芸虎・純米、飛露喜・純米、明鏡止水・本醸造があり、いずれも大体700~800円。
日本酒は徳利で出され、ぐい飲みを十数種類ほどの中から選ばせてもらえる。

生ビール(中)は 500円 、生(レモン・グレープフルーツ・オレンジ)サワー各種は400円~ と、このあたりも標準的な居酒屋らしいお値段だ。
焼酎は、西酒造の全シリーズを常時完備しているという。 やきいも黒瀬赤江(紅芋)、富乃宝山、麦焼酎の一粒の麦黒さそり、米焼酎の水鏡無私…など、ほとんどの焼酎は480円だ。
鳥飼十四代(焼酎)は600円だが、人気銘柄としてはこれでもお手頃価格だろう。

料理も今時の居酒屋らしく、女性客にも受けそうなメニューも含め、幅広く揃えられている。
オイスターやきそば(480円)、キムチと納豆のふわとろ焼(660円)、焼鮭としらすのサラダ(680円)、焦がし味噌焼おにぎり(200円)…等々。
蔵人_蕨店2人前の鮮魚盛(1300円~) や、蔵人ちゃんこ鍋(一人前1,000円)こそ千円オーバーだが、ほとんどのメニューは600~700円台だ。
飲み放題付きコースも、3300円から設定されており、宴会も手頃に楽しめそう。

昼はランチもやっていて、海鮮丼(780円)、 づけまぐろ丼(780円) 、ネギ塩焼とり丼(680円)、 生姜焼セット(680円)…など、8種類ほどのメニューがある。

店名に「南浦和店」とあるように、ほかに浦和店や蕨店がある。浦和店は、浦和駅東口からロイヤルパインズホテル方面にちょっと入ったあたり。蕨店は、西口駅前のアーケード街を右方向に進み、「牛角」の角を左折してすぐの路地を右に入るとある。(右の写真は蕨店)

→Hot Pepperグルメサイト:酒魂 蔵人
http://www.hotpepper.jp/A_20100/strJ000024796.html?vos=nhppgooa99001

装い一新 (08/7/18)

ブログを始めて1年と5ヶ月、
ついにケータイ版のスキンを新調しました~!

いや、それだけの話なんですけど…。
これまでPC版・モバイル版ともに1度も
スキンを変更したことなかったんですよね。

単に気に入ったスキンが無かっただけのことなんですが。
いや、今でも実はあまり好みのデザインはないんですけどね。
もっとイメージに合ったスキンが出ないかな…。

とりあえず、気分も一新して、
また飲み歩きに邁進する所存です!
今後ともよろしくお願いしま~す!

新潟なれど淡麗ならず、「鶴齢」純米大吟醸 (08/7/17)

昔は淡麗な日本酒が好きだったが、最近はそれなりに飲み応えのある、しっかりしたタイプが好きになってきた。
淡麗なお酒は呑みやすい一方、どれも似たような味わいになりやすく、呑み慣れてくると少々物足りなさも感じてくる。もちろん、それはそれで美味しいのだが(特に夏などは)、蔵の個性や米の個性が感じられるお酒には日本酒の面白さがあるような気がして来たのだ。

料理との相性もある。
吟醸酒のように、スッキリしていて薫り高いお酒は、それだけで充分おいしい。だが、京料理などと合わせると、その味わいや風味を邪魔してしまうことも少なくないのだ。

吟醸酒として素晴らしい味わいを持ちながら、料理と合わせてもなお美味しいというお酒が、ないわけではない。例えば「鶴齢」はそんな貴重なお酒のひとつだ。

「鶴齢」は、米どころ新潟県の南魚沼市にある、青木酒造の代表銘柄だ。1717年創業というから、既に291年を経た由緒ある蔵になる。
越後杜氏による冬だけの手造りという、伝統的な製法を守り続ける一方、品質向上のために変えるべき部分は大胆に変えるという革新性も持ち合わせている。(全国に数台しか導入されていない最新製麹機をいち早く導入したりしている。)

代表銘柄である「鶴齢」は、鈴木牧之の命名だという。
鈴木牧之は江戸時代の越後を代表する文化人で、魚沼の生活や文化を克明に紹介した『北越雪譜』という著作が、当時の江戸でベストセラーになっている。
青木酒造は、その子孫によって経営されているのだ。

魚沼の料理は、伝統的に冬の間保存が効く甘醤油で味付けされたものが多い。また、雪国での労働は意外と汗をかくことから、そんな地元の食生活に合った米本来の旨味を引き出す味を「鶴齢」は目指して造られている。
そのため、淡麗辛口イメージが強い新潟の地酒にも関わらず、米の美味しさをしっかりと感じさせる旨口の酒に仕上がっているのだ。

その純米大吟醸(1升・6,116円)は、最高級の酒米である山田錦の中でも、更に最高品質を誇る兵庫県東条町特A地区産のものを使用し、それを40%まで磨いている
ほのかにフルーツを思わせるような吟醸香はするものの、決して強すぎず、口に含むとしっかりとした米の旨味が広がってくる。
普通の純米大吟醸酒とは一味違う、越後の骨太さを感じさせてくれるような魅力的な酒だ。

現在、鶴齢の酒は地元で約75%が消費されているそうだが、都内で仕入れている店も徐々に増えてきている。単に「人気のある酒」ではなく、本当に美味しい酒を選んでいる店なら、置いてあっても不思議ではない。
逆に鶴齢がラインナップされている店だったら、他の銘柄もまず間違いのないものが揃えられていると見ていいだろう。
池袋の「坐唯杏」、新板橋の「ST」、築地の「ねこ屋」、新橋の「うさぎ」、大宮の「仁左衛門」あたりで見た記憶があるが(5店とも紹介済み)、さすがに常時飲める店はなかなかない。

鶴齢は純米大吟醸酒に限り、黒っぽいすりガラス瓶が使われている(普通は緑や茶色の瓶)ので、これが純米大吟醸の目印になる。
更に上位酒として、純米大吟醸生原酒・斗瓶取り(1升8,400円)や、290周年記念純米大吟醸酒(4合18,900円)といった超レア物もあるが、これこそ見かけることのほとんどない、幻の酒だ。

→青木酒造
http://www.kakurei.co.jp/index.shtml

全ての地酒が330円均一、西新橋「登茂惠」 (08/7/15)

高い店が少々続いてしまったので、今日は格安の店をご紹介しよう。30~50種類の地酒がすべて330円均一という居酒屋、西新橋「登茂惠」だ。

場所は、新橋より虎ノ門に近い。外堀通りの西新橋1丁目交差点にあるりそな銀行の裏手、日本酒造会館の地下1階だ。
新橋からだと、外堀通りの西新橋交差点にある新日本石油ビルの裏の道を虎ノ門方面に向かって約200m歩いた右側になる。

ビルの1階には、SAKE PLAZAという日本の酒情報館になっている。「登茂惠」はその地下にある“和風レストラン”で、経営は日本酒造組合中央会だ。

階段を降りてガラス製のドアを開けると、そこはどう見ても場末の大衆居酒屋
店内は手前から奥に3つのスペースに分かれていて、中央が最も広いスペース。手前はやや狭く、宴会スペースとしても使われるようだ。年季の入ったテーブルは2人用から10人用まで大小さまざま置かれていて、全部で86席ほどある。
奥の厨房横のスペースは小上がりになっており、こちらにも4人用の座卓が6卓ほどある。

この店は日本酒の広報を兼ねているため、月ごとに違う地方の地酒に全て入れ替わる
1・7月は中部・北陸地方、2・8月は中国地方、3・9月は四国・九州地方、4・10月は関東・甲信越地方、5・11月は近畿地方、6・12月は北海道・東北地方、という半年サイクルだ。

今月の銘柄は中部・北陸地方で、粋星、木枯の森、花の舞・つう、小夜衣、加賀太鼓・太郎、高砂、丸岡城、北の庄、きげんよし、菊石、風の盆、成政、常きげん、加賀鳶…などがあった。
もちろん、ビールや焼酎も置いてある。

毎月入れ替わるため、メニューは無い。どのみち聞き覚えのない銘柄がほとんどだから、女将をつかまえておすすめを聞いてみるのが一番。空いている時なら、今ある銘柄のラベルをラミネート加工したカードを持ってきてもらえることもある。

この店は、本醸造酒がほとんどだが、たまに上撰(昔の一級酒に相当する普通酒)などもある。徳利の量は約8勺で、値段はすべて税込み330円。
飲み方は、常温かお燗のどちらかを指定する。冷酒はないが、氷はあるのでオンザロックで飲むこともできる。(店の冷房はあまり効いていない。)

女将の日野照子さんはかなりの年配だが、お酒は詳しい。銘柄の辛さや特徴によって、こんな順番で飲むと美味しい…といったアドバイスがどんどん出てくる。
この店は月末が近付くにつれ銘柄が減っていくのだが、(今月も初めは「黒龍」などがあったらしい。)最後に余ったお酒は、自宅に持ち帰ってみんな飲んでみるのだそうだ。

料理も魚料理を中心に、煮物、焼き物、天ぷら、そば…と豊富に揃っている。
メニューは壁の短冊に書かれており、なめこおろし(380円)や冷奴(400円)といった手軽なもおのから、茶そば(700円)、刺身盛り合わせ(950円)…といったものまで様々だ。

昨日は、1人でお酒を3本飲んで、鮪ぬたと〆鯖を食べて1,991円(税込み2,090円)だった。立ち飲みでもないのに、この安さは貴重だ。
その分、味にうるさいことは言わない方がいい。まずいわけではないが、ここは数多くのお酒をひたすら安く楽しむための店なのだ。

昼はランチもやっている(750円~1,050円)。夜の営業は17時~21時半まで。

→All About:登茂惠の紹介ページ
http://allabout.co.jp/gourmet/sake/closeup/CU20080216A/

銀座で夜景を存分に楽しめるBAR、「SKY」 (08/7/13)

BARが多いことでは有名な銀座だが、それでも夜景のきれいなBARとなると、あまり思い浮かばない。今、自分が知っている中では、8丁目の「SKY」がおすすめだ。

このBARは「三井ガーデンホテル銀座プレミア」のロビー階(16階)にある。
三井ガーデンホテルは2005年にオープンした高層ホテルで、1階の入口にはロビー階までのエレベータしかなく、16階から上がホテルになっている。(下層階はリコー本社)

このホテルをプロデュースしたのは、イタリアの世界的デザイナー、ピエロ・リッソーニ。部屋数361室の中型ホテルだが、スタイリッシュで高級感のあるデザイン空間に仕上げていて一見の価値はある。

16階のロビーに最初に足を踏み入れると、誰もがまずその夜景に目を奪われるはずだ。なにしろ、東京タワーが驚くほど近くに見える。
「SKY」自体は築地方向に面しているため、残念ながら店内から東京タワーはほとんど見えない。ただし、一番ロビー寄りのラウンジ・テーブルは別だ。ロビーとの境がガラスのため、ロビー越しに東京タワーを眺めることができる。

ホテル内の飲食店は、この「SKY」と隣にあるBAR「KARIN」(こちらが銀座側)のみで、「SKY」がメインダイニングの役割も果たしている。
よって、店内の多くをレストランスペースが占めているが、入口の近くにバーカウンターがあり、目の前の夜景を眺めながらグラスを傾けられる、銀座でも貴重な場所になっているのだ。
カウンターの右側はラウンジスペースになっており、こちらで飲むこともできる。窓際にはわずかながらソファ席があり、ここは絶好のカップルシート
奥には半個室のスペースなどもあり、総席数は全部で111席ある。

「SKY」の料理は、有機野菜を中心としたコンテンポラリー・イタリアン。
午前7時から9時半までの朝食タイムは、有機野菜や自家製パンケーキを中心としたビュッフェで、料金は2,100円。
11時半~14時までのランチタイムでは、前菜とデザートがビュッフェになっていて、それにパスタかメインを付ける。こちらの料金は2,500円だ。

17時半~23時がディナータイムとなる。コース料理は6,800円のプリフィクス形式で、25種類の料理から3品+デザートを自由に選べる。3品すべてをメイン料理から選んでも良いという、ユニークな形式だ。
産地直送の無農薬野菜を中心に構成されているため、ともかく野菜がおいしいという評判。ただ、肉や魚が使われていないので、物足りないという人もいるかもしれない。
ほかに、シェフ特別テイスティングコース、12,000円も用意されている。

BARとラウンジでは、おつまみ風の軽食もメニューに揃えられている。飲み物も含め、価格は千円台くらいが中心。ワインもオーガニックを含む約140種類がラインナップされており、ソムリエ資格を持つスタッフが3名いるという話だ。

週末には誕生祝いをここで過ごすカップルが何組か見られるし、レストラン・ウェディングの会場としても人気がある。
価格は少々高めだが、デートなどに絶好のロケーションであることは間違いない。

→SKY
http://www.sky-ginza.com/index.html

限定10食のランチカレー、銀座「レディタン ザ・トトキ」 (08/7/10)

3店目の限定カレーは、銀座の高級フレンチレストラン「レディタン ザ・トトキ」のシーフードカレー。
これを注文できるのは月曜日のランチタイムのみで、しかも10食限定。つまり、最大でも週に10人しか食べられない。

店の場所は、晴海通りの「COACH」の角を銀座5丁目方向に入って左側、坂口ビルの7階。
実はこのビル、さほど大きくないにも関わらず、9階に天ぷらの「近藤」、6階に鮨の「鰤門」などが入っている、超グルメなビルだ。

「レディタン ザ・トトキ」は、高級フレンチレストランとしては日本初というオープンカウンターの店。
カウンターの一番手前の端が少し出っ張っていて、その周りは6人で囲めるようになっている。その隣に4人、厨房への出入口をはさんで奥に8人分の席がある。右奥に個室も1つだけあり、こちらは4~9人で利用できる。
インテリアは決して華美ではなく、シンプルで上品。
店内は禁煙で、写真撮影も×

店主は、有名フランス料理店・銀座「レカン」の料理長を10年あまりも務めていた、十時亨シェフ。2003年12月に独立し、この店をオープンした。
最高の食材最高の調理で提供する姿勢は「レカン」時代から微塵も揺るがず、それにシェフ独自の創造性をプラスし、更にお客との対話やお箸の提供といったカジュアルさを導入している。

昨夏には「外房産干しあわびの赤ワイン煮」という驚愕の一品が登場し、グルメたちの度肝を抜いた。戻す・蒸す・煮込むの工程で完成まで10日間を要するというこの料理、一皿28,400円(大1個。小は19,800円)という価格も凄いが、美味しさも凄いらしく、あらゆる美味を超越した傑作と言われている
限定カレーには、この干しあわびの戻し汁が使われているのだ。

ランチの営業は土・日・月の3日間だけ。しかも、10食限定シーフードカレー(2,520円)を提供しているのは、月曜のビジネスランチのみだ。(火曜が定休日

そのカレーは、皿の半分にライスが盛られ、その手前にスープ状のルー。別にカレーポットでもルーが供されるが、ルーには具が全くなく、ただのソースのようにしか見えない。
ところが、1口含むと…おびただしいほどの魚介類の香りが口の中ではじける!あらゆる海の美味が繊細なバランスで溶け込んでいるのだ。これはもう、カレーを超えていると言っていいかもしれない。

「バルテリア Curva」もそうだが、具が無いカレーは少々物足りなく感じるものだ。しかし、この店では魚介のフリットが添えられる。イカ、イワシ、ベビーコーン、カリフラワーなどがカリッと揚げられている。自分はイカ・タコが少々苦手なのだが、このフリットのイカは弾力があって軟らかく、お代わりしたいくらいだった。

最後に、フレンチパンも勧めてくれる。1口大に千切り、皿に残ったルーを付けて食べるためだ。ちょっとお行儀は悪いが、この提案は嬉しい
サイドメニューとして、オードブル(1,575円)、スープ(840円)、サラダ(1,050円)、デザート(1,050円)、コーヒー(735円)を追加することも可能。

土~月の共通のランチとして、3,990円、5,880円、7,350円~、12,600円のコースもある。ディナーは、9,450円、12,600円~、15,750円~、21,000円の4コース。いずれも税込みだが、サービス料10%は別だ。
実は、その上に31,500円の特別ディナーコースもあるらしく、それには「干しあわびの赤ワイン煮」が含まれるそうだ。

カウンターでのフレンチに抵抗がなく、高くても最高の料理を食べてみたい人は、ぜひコースの方も試していただきたい。

→レディタン ザ・トトキ
http://www.totoki.jp/index.html

限定15食のランチカレー、京橋「Dozen Roses」 (08/7/9)

2店目の限定カレーは、京橋のビストロDozen Roses(ダズンローゼス)」の手作り欧風カレー。
ランチ限定で、1日15食までとなっている。
場所は、宝町駅のA1出口を出て左折し、次の角を右に曲がった、京橋消防署の向かい。

こぢんまりとしていて目立たないお店だが、レンガ造りの外観は品がある。
店内は、入って右側に2人用テーブルが2つ、正面に8席のL字型カウンター、左手の奥に4人用のテーブルが1つ。
壁にはミュシャのリトグラフが、レジの横にはガレランプのレプリカが飾られている。

店主は、かつて博多 和田門銀座店(現在は閉店)で13年間料理長を務めた佐藤昭和シェフ。1999年6月24日に、同店から独立して奥様と2人でこの店をオープンした。

Dozen Roses(1ダースのバラ)という店名は、佐藤シェフお気に入りの作家、ディック・フランシスの競馬ミステリー『直線』に登場する競走馬の名前だ。佐藤シェフは、意外にも競馬や格闘技が大好きなんだとか。
一方、店の内装はミュシャ好きの奥様の影響らしい。

ステーキで有名な「博多 和田門」だが、銀座店で出していたカレーライスの評判が高く、佐藤シェフの元にも懐かしむ声が多数寄せられたため、2003年からランチメニューに加えたということだ。

ランチのメニューは、「手作り欧風カレー」(1,365円)のほか、米沢牛ヒレ肉の入った「特製ハヤシライス」(1,575円)と、白身魚のフリット、ホタテ、海老が入った「特製魚介のピラフ」(1,575円)がある。いずれもサラダ付きだ。
1日限定15食はカレーだけで、あとの2つは限定10食。
この3つのメニューすべてが、甲乙つけがたいほどの大人気となっている。

カレーは、細かく刻まれたリンゴとドライレーズンが混じったバターライスの上に、ほぼ真っ黒に近いルーという組み合わせ。このルーは3日間かけて煮込まれているそうで、非常に濃厚で美味しい。中には柔らかく煮込まれた伊万里牛のバラ肉がゴロゴロ入っている。辛さは抑えめ。

付け合わせとして、福神漬けとラッキョウ、トマトペーストの3つが添えられる。このペーストは、トマトソースに蜂蜜とレモンを加えたもので、カレーに酸味や甘味を加えたい場合に混ぜてほしいとのこと。これを加えた方がルーの重たさが少しやわらぐので、個人的には混ぜた方が美味しいように感じた。半分ほど食べ進んだあたりで混ぜるというのも、いい方法かもしれない。

ランチのサイドメニューに、デザート(+315円)、デミタス・コーヒー(+260円)、デザート&コーヒー(+470円)が追加できる。また、オードブル、デザート、コーヒーが付いたセット(+1,260円)にすることも可能だ。
これらは、ハヤシライスやピラフでも同様。

午後1時を過ぎると、カレーとハヤシライスの「あいがけ(1,850円)」など、いくつかの裏メニューが注文できるようになる。午後1時を回っても品切れしていない日が多いので、これらを試してみるのも面白い。裏メニューの情報は、同店のホームページに載っている。

ランチがこれだけ美味しいと、当然ディナーも気になってくる。
同店のディナーで有名なのが、「生うにのクレープ包みオマールソース(2,650円)」だ。寿司5カン分ほどの生うにがクレープに包まれている贅沢な料理で、これを食べると誰もが言葉を失うという。

なお、土曜日は、ランチ/ディナーの区別がなくなり、終日一通りの料理を揃えた特別メニューになる。
残念ながら、ワインリストはチェックしていない。
だが、レジの後ろに大型のワイン専用冷蔵庫が備え付けられていたし、ボルドーの5級ながら3級並の人気と実力を備えているシャトー・カントメルルの木箱がカウンター内に置かれていたのを目撃した。
ワインの品揃えも、きっと期待を裏切らないに違いない。

→Dozen Roses
http://homepage3.nifty.com/d_roses/

限定20食のランチカレー、有楽町「バルテリア Curva」 (08/7/8)

このブログでご紹介する店は、けっこう片寄っている。とりあげるのは居酒屋やBARがほとんどで、それもお酒の品揃えが充実している店が中心だ。
どんな有名店でも、日本酒の銘柄が1つしかないようだと、紹介する可能性はかなり低くなる。神楽坂の「伊勢藤」や、湯島の「シンスケ」といった、至高の居酒屋がいまだ登場しないのはそのためだ。(「伊勢藤」は白鷹、「シンスケ」は両関しかない。)

また、「焼鳥」や「モツ」系の店も、これまで1度も登場していない。これは、鶏肉や内臓料理があまり得意じゃないという個人的な理由だ。(鮟肝やフォアグラ、トリッパ、レバーペーストは好きだが。)

逆に、居酒屋でもBARでもないのに登場する店もある。多くはおいしい和食店や洋食レストランだが、蕎麦屋・カレー屋も含まれている。
蕎麦はともかく、カレーはお酒との関連性が薄い。それがなぜ登場するのかと言うと…実は、二日酔いの日にとる昼食に、カレーが多いのだ。

二日酔いの日は、そもそもあまり食欲がない。そんな時でも食べられるのが、カレー。あのスパイスの香りが食欲を刺激し、ヘコたれている内臓に活を入れてくれるような気がするのだ。

どうせ行くのなら、やはり美味しいカレー屋がいい
幸いカレーの店は多いので、美味しそうな店にはあちこち行ってみることにしている。
これまでも、築地の「中栄」(07/3/22)、「Cali Cari」(07/4/11)、西新橋の「カフェ☆ドゥ・ミル・ドゥ(現在は、高円寺「ヴェルトワール」)」(07/4/27)、「Nagafuchi」(08/3/27)、新橋の「The KARI」(08/3/27)、目黒の「めぐろ三ツ星食堂」(08/8/22) …などの店を紹介したが、今回は銀座周辺で1日20食以下の限定カレーランチを提供している3店を、3日連続でご紹介したい。
まずは、1日限定20食の「バルテリア Curva」。

場所は、有楽町駅の国際フォーラム口を出て、お堀方面に直進した右側にある帝国劇場の地下飲食店街「クニギワ」の一角。地下鉄・有楽町駅からだと、D1出口が直結している。

この店はダイニングバーなので、造りもそれっぽい。S字に曲線を描いたカウンターや、背の高いテーブルなどが配されている。
カウンターの端にシガーが置かれていたので、シガーバーでもあるようだが、雰囲気はカジュアル。
ここには昼でも夜でも食べられる定番カレーも何種類かあるが、ランチ限定20食できひろカレーというメニューを出している。

このカレーは、昨年の2月までコリドー街近くにあった「銀座きひろ」というカレー専門店の味を復活させたもの。
きひろの菅沢一夫シェフは、元宮中料理人として天皇陛下の料理番を務めていたそうで、そのカレーは玉葱などの野菜やフルーツ、30種類のスパイスを使って100時間煮込まれているそうだ。

カレーには具がまったくなく、ルーのみをライスに掛けて食べる。辛さはほどほどで、辛すぎることはない。
元祖「きひろ」カレーはもっと辛くて、サラサラのルーだったそうだが、それを多少マイルドでとろみのある方向に調整したらしい。昔の味を知る人にとっては、そこに不満もあるようだが、確かにこの方が一般受けはすると思う。

コクがあってなかなか美味しいカレーだが、具がないのは男性にとって少々物足りないかもしれない。 定番カレーの方は、ソーセージやハンバーグといったトッピングができるので、がっちり食べたい人にはそちらを選ぶという選択肢もあるだろう。

→バルテリア Curva
http://www.balnibarbi.com/shop/curva/

安くて美味しい、さいたま新都心のお得なレストラン「サルーテ」 (08/7/6)

さいたま新都心で食事をとる場合、けやき広場周辺か、コクーンにある店というのが普通だろう。だが、少し歩くと、ちょっといい雰囲気で食事できるレストランがある。美味しい割に値段が安いのが魅力だ。

さいたま新都心駅の西口から南へ向かうと、「ラフレさいたま」ビルが線路沿いにある。その2階にあるレストラン「SALUTE(サルーテ)」がそれ。吹き抜けのロビーの上にあり、オープンな造りだ。

元々「ラフレさいたま」は、簡易保険加入者の健康増進を目的として造られた、いわゆる公共の宿で、9~14階はビジネスホテルの客室になっている。6階には温水プールやエステ、天然温泉クア施設まで備えたフィットネスクラブがあるし、7階には医師などの専門スタッフに生活習慣の相談ができるメディカルケアセンターも入っている。
いずれも、安価の割にしっかりした内容なので、なかなか人気があるようだ。

「サルーテ」も同様で、内容に比べかなりお得な価格設定となっている。
なんせ、夜コースでも3,000円から、飲み放題プランも4,000円から設定されているのだ。

更にお得なのがランチで、950円(休日は1,100円)からセットが食べられる。
ランチセットはスープ、サラダ、パンまたはライス、ドリンクバーが付いているので、それだけ考えてもかなりお得。すべてお代わり自由だ。
シェフは帝国ホテルのレストランの出身とのことで、味も美味しい。

例えば、野菜カレーランチ(950円)の場合、ライスの上にカボチャ、ニンジン、セロリ、タマネギ、ホウレンソウ、トマト、バナナが載せられ、ルーはソースポットに入れて出される。薬味は、福神漬とラッキョウ。ルーはノーマルとココナッツ入りの2種類か選べるが、ノーマルでも辛さはマイルドで、ほのかな甘みを感じさせる。

カレーだけでも、ほかにビーフカレー、ポークカレー、シーフードカレーなどいくつかあり、週替わりのパスタランチ等も数種類ある。ステーキセットやランチコースといった2,000円のランチもある。

お酒の種類は、残念ながら余り多くない。生ビール(420ml) 600円 、アサヒビール(中瓶) 650円 、ギネス(小瓶) 650円、フランスワインがボトル2,500円、グラス600円 ~、各種カクテルやサワー、日本酒、ウィスキーはいずれも600円だ。

この店の雰囲気や窓からの眺めを気に入っている人も、少なくない。
壁のないオープンな造りなので、エレベーターホールからも店内が見渡せてしまうのが落ち着かない人もいるかもしれないが、間に広い吹き抜けがあるので、気になるほどではない。
内装は豪華でこそないものの、シンプルで上品。窓からは新都心の街並みが眺められて、なかなか良い。

駅から5分程歩くのが面倒という人もいるが、その距離があるからこそ、落ち着いた時間を過すごせる店だと思う。

→ラフレさいたま:サルーテ
http://www.rafre.co.jp/restaurant_bar/salute/top.html

メガ蕎麦が食べられる日本酒系BAR、築地「SO.BAR Sakuma」 (08/7/3)

6月19日にご紹介した「ねこ屋」の1階に、「SO.BAR Sakuma」という蕎麦屋がある。昼は蕎麦屋、夜はBARという店だが、日本酒の品揃えは2階とタメを張るレベルを持っている。

場所は、聖路加病院手前の「ぎょれん」ビル向かい。詳しい地図は「ねこ屋」のホームページを参考にするのが早い。
黒塗りの小さなビルの1階で、見かけはスタイリッシュなBARにしか見えない。
店は面積12坪で、厨房を除くと8坪という小ささ。立ち食い蕎麦屋並の広さしかなく、実際当初は立ち食いで考えていたらしい。

営業中は、店の表の椅子に、一部のメニューを書いた黒板が載せられている。
中に入るとすぐ右側に券売機があり、昼はここで食券を買って食べる。
奥に向かって左右に1枚板のカウンターがあるが、左側は厨房がある関係から5~6席ほど、右側は壁沿いに8席くらいのスツールが置かれている。
左側のカウンターの向かいはボトル棚になっており、左に洋酒が、右に日本酒と焼酎がびっしり並べられている。

蕎麦のメニューは、暖かいそばが「のりそば」750円、「きつねそば」700円、冷たい蕎麦は「季節のそば(今は、しめじととろろ)」800円、「大根そば」750円、「鶏そば」800円、「豚そば」800円、「もりそば」600円。
ランチタイムは、揚げ玉、温泉玉子、ごはん無料だ(いずれもなくなり次第終了)。

この店の蕎麦は色の濃い田舎蕎麦で、ともかく量が多い。優に2人前かそれ以上あるだろう。このボリュームといい、胡麻や海苔の多さ、揚げ玉・玉子無料…といったあたりは「minatoya」(07/3/6紹介)に良く似ている。

店主の佐久間泰二さんは、脱サラしてこの店を開業した。少し前に腕を痛めてしまったそうで、今は火曜と水曜の夜にだけ手打ち蕎麦を出し、ほかの日は製麺所に頼んでいるそうだ。

は、店内の照明はかなり暗くなり、すっかりBARモードとなる。
日本酒は2階同様、純米か純米吟醸しかない。「それ以外じゃお金取れませんから」と、嬉しい台詞を吐いてくれる。
小皿の載せた小グラスに注いでくれ、量は溢れた分も含めて約6勺といったところ。

現在の定番銘柄は、岩の井・純米原酒(650円)、浪乃音・純米大吟醸渡船(700円)、黒牛・純米無濾過生(600円)、出羽桜・純米吟醸(600円)、雁木・純米生原酒(550円)、辧天娘・純米(550円)、上喜元・純米(550円)。
昨晩の臨時銘柄は、天吹・純米吟醸美山錦生(650円)、澤の花・純米(550円)、千代むすび・じゅんから純米(600円)、楯野川・中取り純米出羽燦々(600円)。

焼酎の品揃えもなかなか面白い。価格は400円からで、源、刻の一滴、問わず語らず名も無き焼酎、べいすん、寿百歳、豪放磊落、ネリヤカナヤ、彌生、つくし、佐蔵…などがある。「百年の孤独」もあったが、これはさすがに1,600円だそうだ。
洋酒もあるが、蕎麦ということもあって明らかに日本酒・焼酎が中心。

肴は、カウンターの黒板に書かれている。プチ山かけ(400円)、かにみそチーズトースト(600円)、パリジャンポテトのアンチョビバター(650円)、カマンベールのまるごとソテー(900円)、みそマグアボクリチーノ(900円)…など、一番高いものでも900円だった。
もちろん、蕎麦もつまみにでき、量を少なくしてもらうことも可能だ。

夜は常連さんが多いようだが、肴も酒も600円前後で楽しめる点や、気軽にふらっと寄れる手軽さがなかなかいい。
営業時間は、昼が11:30~14:00(月~金)、夜が17:00~22:00(火~金)で、土・日・祝日はお休み。

鮎の旨さを見せつけてくれる名店、新橋「鮎正」 (08/7/1)

6月になると、毎年この店には客が殺到する。6月から鮎漁が解禁されるからだ。都内唯一の鮎料理専門店「鮎正」は、客単価が2万円近い店にも関わらず、10月までの毎日、5時間で席が2回転半するという人気店だ。

「鮎正」は基本的にメディア取材を断わっているので、一般的な知名度こそ高くないが、東京の食い道楽たちの間では知らない者がいない名店だ。値段は決して安くないが、それに充分見合う価値がある。

本店は、島根県の津和野にある割烹「美加登家」で、全国でも珍しいダムのない一級河川・高津川が近くを流れる。
高津川は、国土交通省による平成18年度河川水質調査全国1位にランクされた清流だ。地元の日原には、徳川夢声の「これはこれ日本一の鮎どころ」という句が刻まれた石碑が建っている。

新橋の店は、現店主である山根恒貴さんの兄が、築地で鮎の卸しをしていた1963年に創業した。ところが兄が病に倒れ、5人兄弟の末っ子だった山根さんが店を継ぐことになった。恒貴さんは高校卒業後に上京し、料理界の重鎮・西村元三朗氏に師事したという。
恒貴さんの長姉が経理を担当し、次姉が女将、島根の本店は末姉と甥夫婦…と、兄弟が力を合わせた家族経営の店だ。

店では、本店から高津川の天然鮎を毎朝300匹直送してもらっている。
流通している鮎のほとんどは養殖だが、天然の鮎は川底の石につく藻類を食べているので、風味が良く香り高い。とれたての若鮎はスイカのような香りがするとも言われ、鮎を別名香魚と呼ぶのはそのためだ。

店内は、入って左側のカウンターに9席、右側の小上がりに3卓、2階に大小の座敷が3室ある。店内は禁煙
カウンターの席は狭いが、恒貴さんの話を聞きながら食べられる特等席でもある。ゆったりといただきたいなら、小上がりか2階の座敷がいいだろう。女将の啓子さんをはじめとする4人ほどの女性がサービスに当たっているが、繁忙期はさすがに追いつかないこともあるようだ。

鮎は10月末までの季節限定で、3種類のコースがある。「雪」が9品(11,550円)、「月」が10品(13,650円)、「花」が11品(15,750円)で、いずれも最後の氷菓子以外は鮎尽くしだが、まったく飽きることはない。塩焼き、背越し(生きた鮎を骨ごと薄く胴切りし、洗いにしたもの)、素揚げ、煮浸し、酢の物、鮎御飯…など、鮎の多彩な味わい方を見事なまでに見せてくれる。日本酒との相性で言うと、これはもう絶品だ。
単品は高価なので(塩焼き1匹2,650円!)コースの方が絶対お得。「雪」でも充分に楽しめる。

特に人気の高い一品が「うるか茄子(単品1,890円)」。一見、ナスを味噌で味付けしたように見えるが、実は味噌ではなく、うるか(鮎の内臓)のタレで味付けされている。ナスを食べた後、白いご飯にタレをまぜて食べさせてもらえるのだが、これがまた奪い合いになるほど旨い。
なお、冬にはあんこう鍋(6,300円)、鴨の石焼(6,300円)、ふぐコース(8,925円~)、蟹コース(15,750円~)などが食べられる。

日本酒全て島根県の地酒で、4合瓶(720ml)、大竹(300ml)、小竹(180ml)、グラス(120ml)という4サイズが設定されている。ここではグラスでの価格を紹介するが、当然大きいサイズで注文した方が割安になる。
大吟醸は、華泉・斗瓶囲い(2,000円)、國暉(1,850円)、玉鋼(1,400円)の3種。純米吟醸は、國暉「不昧公」(1,350円)、華泉「奏」(950円)の2種。吟醸は出雲富士(1,200円)、本醸造で都錦・原酒(杉升に氷を一かけ入れて740円)がある。

ほかにも、都錦のにごり酒(780円)や、李白など燗酒3種類(各630円)、焼酎5種類(750~1,600円)、ビール中瓶(780円)、ウィスキー(シングル530~1,000円)、白ワイン(720ml・5,780円)なども用意されている。

来年には、再開発のため移転する。今の古びた店舗ですら大人気なのに、店がキレイになったらどんなことになるのやら…。なんとか「ミシュランガイド東京」に掲載されないことを祈りたい。

追記/祈り虚しく、来年を待たずに「ミシュランガイド東京2009」で掲載されてしまった。
また、店は2009年8月31日で旧店舗から立ち退き、第一京浜寄りに新築した新店舗で10月1日から営業を開始している。地上3階建てで、1階はこれまで通りカウンター9席と、テーブル3卓。2階は個室が4つ、3階は倉庫兼仮眠室。
カウンターや照明を旧店舗から移し、配置なども旧店舗の雰囲気を残した内装となっている。


→ぐるなび:鮎正
http://r.gnavi.co.jp/g408000/

記事検索
livedoor プロフィール