千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2008年02月

酒呑み用語事典:建築編 (08/2/28)

飲み屋の店内を紹介する時、どうしても使わなくてはならない言葉がある。多くは建築用語だが、意味がちゃんと伝わっていないと、実際に訪れた際にイメージが違うといったことにもなりかねない。
そこで、今回はお店の造りに関する7つの言葉について説明したい。基本的な言葉ばかりだが、中には意外な事実が見つかるかも!

【居抜き】 いぬき
店舗を譲渡する際、内装や備品、お酒までそっくりそのまま残し、すぐに営業を開始できる状態で次の経営者に買い取ってもらう形式のこと。普通は最低でも看板(店名)は新しくするし、最低限の手を入れてから開業する。飲食店全般でよく見られるが、特に開業資金を抑えたいスナックなどの個人経営店に多い。

【オープンキッチン】 open kitchen
壁や間仕切りなどがなく、客席から調理をしている様子が見渡せるキッチンのこと。TV料理の鉄人」以降、よく見かけるようになった。渋谷の「レガート」(07/3/11) や、上野の「さくらい」(07/8/2) がこの形式だ。
ショー的な効果は期待できるが、いつ見られても恥ずかしくない、きちんとした調理をしているという自信がないとできない。
逆に、食事フロアから完全に仕切られた厨房は、クローズドキッチンと言う。

【個室】 こしつ
他のスペースから独立した、一組のお客専用の部屋のこと。ふすまや、移動可能なパーティションで仕切って個室にすることもある。入口を閉めれば外と完全に遮断される場合を完全個室、天井や壁などに隙間がある場合を半個室と言ったりする。
最近は、2~4人用といった小人数向けの個室ばかりを設けた個室居酒屋も多いが、個人的にはあまり好きではない。店内をあちこち見渡せた方が楽しいし、店のスタッフを呼ぶ時にも便利だし…。(単に「デート」という用途がないせいもあるが。)しかし、分煙効果があることは認めたい。

【座敷】 ざしき
ふすまで仕切られた、畳敷きの客席のこと。通常は、宴会に対応できる程度の広さを持った和室で、ふすまを閉めれば個室として利用できる部屋を指している。大きな居酒屋や、和食系の店によくある。

【小上がり】 こあがり
床から一段高くなった、畳敷または板張りの客席のこと。座敷と違い、簡単な仕切りだけか、または全く仕切りがないため、個室にはならない。居酒屋などで非常によくみかける席だ。
畳敷きが本来だが、最近はいわゆる掘り炬燵式と呼ばれる、足を床下に下ろせるタイプも多い。

【三和土】 たたき
土やコンクリートで仕上げた土間のこと。元々は、粘土と石灰とにがり(塩化マグネシウム)を混ぜ、叩いて固めたところから「たたき」と呼ばれるようになったらしい。3種類の材料を混ぜて作ることから「三和土」という当て字が生まれた。
このブログでは、素材は何であれ、靴を脱いで上がるタイプの店舗にある、土足スペースを指している。
本来は土間と言った方が正しいのかもしれないが、土の床と誤解されても困るので、あえて「三和土」と書くことにしている。
新橋「」(07/05/10) や、池袋「楽旬堂 坐唯杏」(08/1/9) など、靴を脱いで上がる店の入口には必ずある。

【メゾネット】 maisonette
建物の2階分(またはそれ以上)のフロアを使い、内部で行き来できる階段などを設けた構造のこと。メゾネットはフランス語で「小さな家」という意味で、マンションの2層を一戸として専有する住宅を指した。ホテルなどでも、たまにこうした形式の部屋がある。
六本木「imoarai」(08/8/17) や、池袋「昔ばなし・別館」(08/1/27) などがこの形式だ。
これに対して、通常の1層の住戸はフラット(flat)という。


美味しいものが多彩に揃う、池袋「きたや はなれ」 (08/2/26)

日本酒の街・池袋の中でも、特に激戦区なのが西口のロサ会館周辺。このあたりは盛り場としても激戦区なので、ある意味当然ではあるが、行き場に迷うほど日本酒の充実した居酒屋がたくさんある。
その中から、今日は「きたや はなれ」をご紹介。

場所は、ロサ会館に向かって右隣のビルの地下。ロサ会館の前の道を右方向に進めば、すぐに突き当たるビルだ。

地下に降りると、格子の引き戸越しにカウンターがのぞける。店内は和風で、入口の近くにカウンターがある。カウンターの向かいは、一升瓶が並べてライトアップされており、いい雰囲気だ。
奥に進むと左側に通常のテーブル席が、右側には個室風のテーブル先があり、さらに奥には掘りごたつ式の個室もある。それなりの広さがあるので、小規模の宴会にも使えそうだ。
ちなみに、テーブル個室は5名より、お座敷個室は7名より貸切できる。宴会(3,000円~)は32名まで対応可能。

日本酒の銘柄は20種くらい。純米大吟醸が、くどき上手・出羽燦々(650円)、久保田・萬寿(1,050円)など、 純米吟醸が(550円)、〆張鶴・純(600円)など、純米が天狗舞・山廃仕込(500円)、田酒・山廃(650円)など、本醸造が八海山(550円)、久保田・千寿(550円)など。
ほかにも、三年古酒の枯山水(600円)や、発泡純米酒のすず音(300ml・1,550円)などもある。
値段は手頃だが、いずれもグラス100mlという量なので、少々割高だ。(550円のグラスを1合に換算すると、990円になる。) しかし、美味しい銘柄は確かに揃えられている。

ワインもけっこう置いてあって、「グラス」「デキャンタ」「ボトル」と、好みに応じた量を選べるものが多い。価格は、グラスで850円くらいから、ボトルで2,980円くらいからある。
ビールはサッポロとヱビス。
焼酎も種類は豊富だが、ほとんどが850円かそれ以上なので、こちらも少々高い。

料理の売り物は、炭火焼。マグロのほっぺた(630円)から特上ハラミ(2,800円)まで、野菜・魚貝・和牛などが炭火焼で楽しめ、セットなどもある。
ほかの料理も、有機トマト三杯酢サラダ(550円)、汲み出し豆腐(600円)、特選和牛トロにぎり(2貫・800円)、喜多家ラーメン(900円)、カニ身の明太黄金焼き(1,380円)…など、多彩に揃えられている。

安くたくさん飲んだり食べたりしたい人には不向きだが、様々な種類のお酒や食事・肴をおいしく楽しみたいなら、この店はいい線いっている。
特に、いろいろな好みの人が集まる宴会には、こうした品揃え豊富な店だと、誰もが満足できそうだ。

なお、丸井の裏の方に、本店「喜多家」もある。

→ぐるなび/きたや はなれ
http://r.gnavi.co.jp/a536800/

アイスランドの不思議な歌姫、ビョーク (08/2/22)

アイスランドの歌姫・ビョークが、7年振りの単独公演のため、いま来日している。約3年振りとなる最新アルバム「ヴォルタ」のプロモーションを兼ねてのことだ。
19日のライブ初日は、そのジャケット写真同様のペインティングを施した顔で武道館のステージに登場し、休憩やトークを挟むことなく全19曲を一気に歌い上げた。
今晩のチケットは、追加発売されたステージ斜め後ろの席などが、僅かながら残っているようだ。

日本にもビョークのファンは多い。映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」でカンヌ国際映画祭の最優秀女優賞を受賞しているので、女優として知った人もいるだろう。

彼女の魅力は、夢か幻のような不思議な存在感にある。

彼女は、西洋人にも、東洋人にも見える。幼い少女にも、妖艶な熟女にも見える。器量の悪い娘にも、あやしげな美女にも見える。ある時にはたまらなく官能的で、ある時には獣のように野生的だ。

この、掴みどころのない不思議な存在感。それを個性的な作詞作曲のセンスと、骨太の歌唱力が支えている。

本名は、ビョーク・グズムンズドッティル。1977年に、デビュー・アルバム「ビョーク」を11歳でリリースしており、いきなりアイスランド国内でプラチナ・ディスクに輝いた。
根底にあるのはパンクだが、ジャズ・フュージョンやダンス・ミュージックの影響も色濃く受けている。

彼女の歌やも独特だが、そのビデオクリップがまた独特の世界だ。まさに、夢(時に悪夢)のようなシュールな世界を繰り広げてみせる。
なぜか耳に残り、もう1度聴いてみたい、観てみたいと思わせるのが彼女だ。

お酒のBGMとしてビョークを流していると、酔いは加速する。一度引き込まれてしまったら、もう抜け出せない、昔のジンのような危うい味のシンガーソング・ライターだ。

→ビョーク公式サイト
http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/bjork/

酒・魚・串焼きがおいしいレトロ感覚の店、渋谷「涎屋」 (08/2/21))

渋谷で日本酒が充実している店は、駅から少々距離のある店が多い。12月に紹介した「ぷん楽」は数少ない例外の1つだが、もう1店、目立たない立地ながら「五代目 涎屋(よだれや)」も駅から近い。

場所は、マークシティーのすぐ横。駅からEASTモールに沿って東急プラザ側を上って行き、WESTモールに差し掛かるあたりの、すぐ左側にある飲食店ビル1階だ。ビルの奥なので、ちょっと分かりにくいかもしれない。

色々なお酒のラベルがびっしりと貼られた入口から、期待させられる。
店内は和風で、靴を脱いで上がる。(靴は脱いだままでOK。)奥に進むと、右手に掘りごたつ式の2人用テーブルが3つ、4人用が1つ。左手にカウンター、それらの更に奥に2人用テーブルが3、4席ある。
面白いのは、階段下の納戸のような小部屋。3人がやっとという狭さだが、隠れ家のようで楽しい。

昔の箪笥のような調度品が置いてあったりして、レトロな雰囲気で大人もくつろげる。(ただし、テーブルの間隔は狭い。)店のスタッフは若い男性数人だが、感じはいい。

日本酒は20種~50種くらいあるらしい。飛露喜・特別純米(880円)、鍋島・純米吟醸(880円)、雨後の月・純米吟醸(880円)、十四代(880円)、黒帯(冷520円/燗950円)、開運・純米ひやおろし(880円)、木火土金水・純米吟醸(880円)、斬九郎・特別純米(750円)、浪乃音・純米大吟醸(1,200円)…など。3種類の銘柄が飲める利酒セット(1,000円)もある。

昨晩は、店で1年寝かせた而今の五百万石などもあった。特に力を入れているのは、鍋島と浪乃音だそうだ。
ただし、店に日本酒のメニューはない。常時入れ替わるからなのだが、銘柄で選びたい自分のようなタイプには少々不便だ。店のスタッフに好みの味や銘柄を伝えると、合いそうなものを見繕ってくれる。幸い、フロアの中央に日本酒庫があるので、そこを覗いて注文するという手もある。

焼酎やワインも揃えられており、こちらはちゃんとメニューもある。芋焼酎の夢尽蔵(700円)や、黒糖焼酎の松村健郎(600円)など、見かけることの少ない銘柄も並んでいた。ビールはキリン。

料理も幅広いが、人気があるのは新鮮な魚貝類と、各種の串焼き
関鯖、関鯵、水タコ、鮪、なめた鰈 、銀鰈、黒ソイ活け〆桶盛り…など、お酒に良く合う素材をよく集めている。酒盗だけでも、真烏賊の白子、鮪、塩辛、鰈縁側の葉山葵和えと4種類。
あん肝がバターソテーなのには驚いた(830円) が、これはこれでなかなか旨い。
豆乳あいすぷりん(500円)といったデザートもある。

宴会は、2,600円~4,500円までで、2,100円追加すると、地酒や焼酎も含めた飲み放題になる。

欠点は、たまに炉端焼きの煙が立ち込めること。カウンターの近くは要注意だ。

昨日は平日にもかかわらず、7時過ぎにはほぼ満席。さほど広くないとは言え、なかなかの人気だ。
なお、本店は調布で、府中にも姉妹店がある。

→炉端 五代目 よだれ屋 渋谷
http://www.yodareya.com/sibuya.html

鹿肉料理で1杯!水道橋「伊のマタギ」 (08/2/18)

ジビエの季節もそろそろ終盤だ。
ジビエとはフランス語で、猟師が鉄砲で狩った野生動物を指す。ハト、ウズラ、鴨、野ウサギ、鹿、猪などが相当し、フランス料理では秋~冬を代表する食材のひとつだ。

日本では今ひとつ馴染みの薄いジビエだが、それらをお酒とともに手軽に楽しめる店が、水道橋にある。「ROBATA 美酒食堂 伊のマタギ」だ。

場所は、水道橋駅の西口を出て、すぐ左手にあるマクドナルドの角を左折。城北信用組合の右側の道を入っていくと、最初の角にある。

店は木を活かした洋風で、それほど広くないのだが、ちょっと迷路を思わせるような構造になっている。
入口から奥へ通路を進むと、左側が個室風のボックス席で、右側が厨房。突き当たりはちょっと広めの部屋で、2人用のテーブルが6卓くらいあり、組み合わせれば宴会にも対応できるスペースとなる。壁際に小さな2人用のカウンター席もある。

マタギというだけあって、どこか山小屋のような雰囲気がありながら、シャンデリアや横長の窓が意外とオシャレだ。
トイレは、なんとボトル棚の裏側。棚を手前に引いて入る、まるで隠し部屋のような仕掛けになっている。

メニューはお酒も料理も、和(日本)と伊(イタリア)の折衷。
日本酒は、大関・通の酒(500円)、蔵枠・特別本醸造(600円 )、御湖鶴・あおラベル(600円)、飛露喜・特別純米(600円)、醸し人九平次・件の山田(600円)、八海山・醸造(600円)、十四代・新本丸生酒(800円)という品揃え。

ワインは、国産小布施ルージュ・ソガ(グラス500円/ボトル3,200円)から登美の丘(ボトル5,800円)まで、 イタリア産レ・マルスーレ・レフォスコ・ロッソ(2,600円) からモンテプルチアーノ・ダブルッツォ・ファットリア・パセッティ(5,300円)まで、それぞれ2~5千円の手頃な範囲でたくさん用意されている。

ビールも、モレッティ(650円)やメナブレア・ペールラガー(750円)といったイタリアビールを中心に揃えられ、それにアサヒの少量生産生ビール琥珀の時間(とき)(600円)とスーパードライ(490円)が加わる。
なお、焼酎(500円~600円)や梅酒(すべて550円)もそれぞれ10種類以上あり、ドリンクメニューはかなり多彩だ。
中にはメニューに書かれていないお酒もあるので、お店の人に相談してみるのもいい。

店のメイン料理は鹿。ほかに、猪、鴨、時には熊までが食卓にのぼる。
それらを、刺身、炉端焼き、煮込み…など、様々な料理で味わえる。名物マタギ焼き(1人前1,500円)とマタギ鍋(1人前1,600円~)は、いずれも2人前から。
ほかにも、雲仙産鹿腿肉の刺身(700円)や鶏の胸肉(600円)など、豊富な肉料理が用意されている。

もちろん肉料理だけではない。カツオのカルパッチョ・バルサみそソース(600円)、イタリアの卵焼き(400円) 、おこげ茶漬けリゾット(600円)、木の子といぶりがっこの和風パスタ(900円 )、キナコのパンナコッタ(550円) …など、和伊折衷料理が目白押し。コースは3200円からだ。

ジビエは冬の贈り物。食わず嫌いの人も多いかもしれないが、こんな店で手軽な1品から味わってみると、意外な美味しさに出会えるかもしれない。

→ぐるなび/伊のマタギ
http://r.gnavi.co.jp/b273401/

多彩なメニューが嬉しいダイニングバー、白金台「anbai」 (08/2/14)

白金台にある自然教育園周辺は、人知れず素晴らしい店が点在しているエリアだ。ただ、三ツ星レストランの「カンテサンス」をはじめ、高級店が多い。
しかし、リーズナブルな居酒屋でもいい店がいくつかある。特に、デートからパーティまで様々な用途に使えるのが「炭焼と葡萄酒・anbai(塩梅)」だ。

場所は、目黒通りの白金自然教育園入口のほぼ正面。目黒駅からだと、駅からまっすぐ歩いて約500m
歩くのが苦にならない人なら、それほど遠い距離ではない。

店は板張りの外観で、ガラス貼りの部分から入口に掛けて曲線を描いたアプローチになっている。
店内は照明が落とされ、ダイニングバーっぽい雰囲気。BGMも大人っぽいジャズが流れている。

入るとまず幅の広いカウンターが右手にあるが、ここだけ見ればショットバーとしても十分使える。
左手がテーブル席で、個室風に仕切られたテーブルが5卓、奥は半地下の大テーブル席と、靴を脱いで上がる中2階席とに分かれている。
更に2階に貸切のパーティー・スペースがあり、そこだけで30~75名まで入れるということだ。

ここは、炭火焼きの肉料理と串焼きが売り物。だが、洋食風のメニュー(スモークサーモン、ブルスケッタ、フェットチーネ、エスカルゴ…など)や、和食風のメニュー(ふろふき大根、鯛のにぎり、マグロの前菜…など)もあって、肴には困らない。デザートも美味しいと評判だ。
価格は700円~1,000円が中心。ステーキ丼で1,500円だ。

そして、ドリンクメニューも多彩で豊富。日本酒、焼酎、ワイン、ウィスキー、いずれも満足できるラインナップを揃えていて、自分のような究極のチャンポン好きにはこたえられない。特に、看板に掲げているワインは、美味しい銘柄を安く提供してくれている。

パーティは飲み放題付きで2.5時間4,500円~7,500円。現金払いだと、いずれも500円引きになる。ただし、時間をオーバーすると追加料金がかかるので、ずるずる長居するグループは注意した方がいい。
ここはランチもやっているので、最初はランチで雰囲気を見ることもできそうだ。

欠点は、手が足りないのか、待たされる場合があること。スタッフを増やしてもらえると、より居心地がよくなりそうだ。

以前、ここのカウンターで飲んでいた時、「車椅子でも入れますか?」というお客さんが来た。マスターは「カウンターでよろしければ」と答え、端の椅子を素早く片付けてそのお客を迎えていた。
酒がより美味しくなるのは、こんな夜だ。

→炭焼と葡萄酒 anbai
 http://r.gnavi.co.jp/g503501/


酒呑み用語事典:お酒を注ぐ器編 (08/2/12)

ブログを書いていて、気を付けていることの1つが、さまざまな用語。
なるべく正確な用語を使うよう心掛けているが、そのためにかえって分かりにくくなってしまう場合もあって、悩みどころだ。
そこで、たまに用語の簡単な説明も入れてみようかと思い立った。

まずは、お酒を注ぐ器の名前について簡単に紹介したい。
1月にもちょっと書いたが徳利(とっくり)お銚子(ちょうし)は、実は全くの別物だ。
徳利は円筒形で口がすぼまっているおなじみの代物だが、お銚子は結婚式の三三九度で御神酒を注ぐ時に使われるヒシャクのような形の酒器。後に普及した徳利と、呼び名だけ混同されてしまったらしい。

お正月にお屠蘇を注ぐ急須のような酒器もお銚子と呼ばれることがあるが、正式には提(ひさげ)と言う。(焼酎で使う「黒じょか」とちょっと似たような形の酒器だ。)

屋台などで、おでんと一緒に浸けてお酒を温める道具がちろりだ。錫(すず)製の筒型で、取っ手が付いている。
これを、家庭やお店での燗付けにも使えるようにしたのが、ミニかんすけという商品。
燗付けに使われるものとしては、通常の徳利を一回り大きい容器で湯煎できる湯煎徳利というのもある。
これらは、いずれも文末に記載した日本名門酒会のサイトなどに紹介されているので、興味のある人は参照してほしい。

元はお酒を樽から徳利に移す道具だった酒器が片口。陶器製で、筒状や椀状の物などがあるが、徳利に比べて上部が広く開いているため、お酒を注ぎやすい。開口部に1箇所だけ、お酒の注ぎ口があるのが名前の由来だ。最近は、徳利ではなくこの片口でお酒を出す店が多くなった。

もう1つ、樽から徳利に移す道具に升(ます)がある。昔はこれで直接飲むオヤジも多かったが、最近はあまり見ない。升は木製のため、衛生管理上の問題と飲みやすさの点から廃れたのだと思う。杉の香りは、なかなか風情はあるのだが…。
かつては升の縁に塩を盛って飲む人もいたが、今は減塩ブームもあって、さすがに少ないだろう。もし試してみたい人は、間違っても角の位置に盛らないように。飲み口の角から、ちょっとずらした位置に盛る。角に盛ってしまうと、最初の1口で全部口に入ってしまい、塩っ辛くて飲めたものではない

自宅で徳利や片口を使っている人は少ないかもしれないが、お酒を注ぐ器を使うことは、家庭でもおすすめしたい。風情があるだけではなく、お酒を瓶から一旦こうした器に移し替えることで、空気と混ざって味が向上することが多いのだ。ワインデキャンタージュと同じ原理。
器を振るとより効果が高いが、くれぐれも発泡性の日本酒ではやらないよう、注意していただきたい。

→日本名門酒会/お燗グッズ
http://www.meimonshu.jp/modules/xfsection/article.php?articleid=1469

肴がうまい!池袋の小さな居酒屋「口福や」 (08/2/8)

いい居酒屋の条件を「いい酒、いい人、いい肴」と言ったのは居酒屋研究会の太田和彦氏だが、これに賛同する人は多いだろう。1つ2つを満たした店は数多いが、3つ全部となると貴重だ。
人の好みは十人十色なので、誰かにとっての「いい」が、別の人にとっても「いい」かどうかは難しいところだが、少なくとも自分にとって、池袋の「口福や」はかなりいい線をいっている。

場所は、池袋駅の東口から、明治通りを区役所方面に歩き、区役所の少し手前、左側の2階だ。

店は小さい。ドアを開くと、正面はいきなり焼酎の棚で、右奥に進むと左手にカウンター、右手にテーブルがある。カウンターはわずか3席。千石の「一馬」を上回る小ささだ。テーブルも、4人用が2卓に、2人用が1卓のみ。13人で満席である。

店内は木を多用したモダン和風だが、照明が落とされ、音楽もJAZZと、なかなかいい雰囲気。デートに使っても全くおかしくない。
営んでいるのは、おそらくご夫婦だと思うのだが、カウンターの中の男性が調理を、フロアの女性が接客を担当している。

お酒は焼酎が充実していて、30~40種類が揃う。日本酒は10種類ほどだ。
本醸造酒が一の蔵(600円)で、特別本醸造酒が醴泉(700円)と三千盛(700円)。吟醸酒が美丈夫・麗(700円)、東洋美人・山廃(900円)、八海山(1,000円)。純米吟醸酒が、松の司(900円)、黒龍(800円)、東一(900円)という品揃えだ。

この日は松の司が切れていたのだが、代わりに飛露喜(1,200円)があった。高かったので飲まなかったが…。いずれも量は1合弱だ。
ちなみに、梅酒もいいものが数種類揃えてあるし、ヱビスの生ビールも泡がとてもクリーミィで美味しかった。

料理は、串揚げ(おまかせ12本で1,600円)と鮮魚(780円~1,280円)がメインだが、ともかく何を食べても旨い!
お通しの前菜3点盛(この日は白子・菜の花・鴨)から悪くない感じだったが、最初に頼んだ天然本マグロの赤身刺(880円)でもう気に入ってしまった。下手な寿司屋よりうまい。京がんもと九条ねぎの八方煮(780円)も、上品な京風の味付けでGOOD。串揚げも、衣が薄く油っこくなくていい。

実は、ここの名物はえごま豚。宮城県産のブランド豚で、エゴマの実と天然鉱物などのオリジナル配合飼料で育てた健康豚だ。ジューシーで柔らかいだけでなく、ヘルシーなことでも人気がある。冷しゃぶサラダ(880円)や、やわらか角煮(780円)、ロースステーキ(1,180円)、トントロ味噌漬け焼(780円)など、様々な調理で楽しめる。

料理はどれも1品の量が軽めなので、最初はちょっと割高かな?とも思ったのだが、この味なら全然そんなことはない。肴選びが楽しくなってくる味だ。

目立たないながら、サービスも素晴らしい。店が小さいので目が届くということもあるのだろうが、こちらがして欲しいことを、して欲しいタイミングでちゃんとしてくれる。当たり前のようだが、これをできる店がなかなか少ないのだ。

小さな店だが、いい酒、いい人、いい肴の3拍子が揃った、池袋でもおすすめの1店だ。

串あげ・鮮魚居酒屋「口福や」
 http://r.gnavi.co.jp/a839800/

お酒で風邪予防 (08/2/6)

今日の天気は雪模様だ。
我が家のロゼ(ネザーランドドワーフ種のウサギ)も、さすがに寒いのか、足を縮めて丸まっている。
ウサギも風邪をひくことがあると聞いているので、気をつけてやらないといけない。

もちろん、人も気をつけなければいけないが、人の風邪はお酒で予防することができる(かも)。
自分も昔は、風邪気味になるとホット・バタード・ラムをよく飲んだ。
温めたグラスに角砂糖を入れて少量のお湯で溶かし、ラムを注いでから熱湯を満たして混ぜる。これにバターを浮かべれば出来上がりだ。

ワインも、冬は温めて飲むことがある。フランスでは「ヴァン・ショー」と呼ばれ、冬の定番だ。
作り方は、まず赤ワインをお鍋であたため、それに蜂蜜か砂糖をを小さじ2杯ほど加える。好みによって、少量のクローブも入れてかき混ぜ、湯気が出てきたところでシナモンを軽く振る。最後にレモンスライスを浮かべればOKだ。ワインは沸騰させず、60度くらいを目安にしよう。

面倒だったら、赤ワインとオレンジジュースを2対1くらいの割合で混ぜ、レンジで温めるだけでも美味しい。

ウィスキーやジンを温めて飲んでもうまい。ホットウィスキー・トディと呼ばれるカクテルだ。
ホルダー付のタンブラーにウィスキーを注いでお湯で割り、角砂糖とレモン、クローブを入れる。西欧では冬に愛飲している人も多い。

ブランデーの場合は、ホット・ブランデー・エッグ・ノッグがいい。
を卵白と卵黄に分けて別々によく泡立て、これを一緒にしてから砂糖2さじを加える。さらに十分に泡立ててグラスに移し、そこにブランデー30mlとダークラム15mlを注ぐ。最後に熱くした牛乳を満たして、かき混ぜれば出来上がり。 西欧版の玉子酒といったところだ。
よく泡立てないと、熱い牛乳を入れた時に卵が固まってしまうので注意したい。ブランデー以外のスピリッツや、ワインをベースにしてもいい。

日本酒なら、もちろん玉子酒だ。
卵を溶いて、大匙2杯半の砂糖と混ぜ、好みによって生姜の絞り汁も入れる。湯煎または電子レンジで温めたお酒1合をそれに混ぜるのだが、この時少しずつ混ぜないと、やはり卵が固まってしまう。自分は昔、ここで失敗した苦い経験がある。

ホットウィスキー・トディやホット・ブランデー・エッグ・ノッグは、BARでも飲める。
ヴァン・ショーはあまり馴染みがないかもしれないが、井の頭公園の入口手前にある「ケーニッヒ」の店頭では、手軽にホットワインが楽しめる。
寒い季節、ここでいただいたホットワインとソーセージの味は格別だった。

ケーニッヒ

上野から千駄木に移転!銘酒居酒屋「月」 (08/2/5)

東上野にあった銘酒居酒屋「」が、2008年7月15日、千駄木に移転!
2004年11月に湯島で店をオープンさせて以来、1箇所で丸2年過ごすことなく上野→千駄木と移転することになった。これもひとえに、徐々に人気が出てきて、店にお客が入りきらなくなってのことだろう。

めでたいことではあるのだが、記事が古くなってしまった点は、なにとぞご容赦いただきたい。 以下、写真も記事も上野当時の記事になるが、中身の変化はさほどないものと思っている。

「月」はご夫婦で営む銘酒居酒屋で、ご主人の水守隆さんが料理を、奥様のさつきさんがサービスを担当している。
店内は木を多用した和風居酒屋だが、目を引くのはあちこちに飾られたお宝だ。
多いのは酒蔵の半纏や前掛け、手拭いなどで、壁中に飾られている。酒蔵でよく見かける「和醸良酒」(良い酒は和をもって醸す)の書も、いい味わいだ。
入口の上には、山廃の神様・農口尚彦杜氏の色紙と、天下一とも評される波瀬正吉杜氏の色紙、更に日本酒漫画家・高瀬斉氏の色紙が飾られている。能登四天王と呼ばれる杜氏の内のお二人を訪ねているのも、各地の蔵を回っているさつきさんならではだろう。

日本酒や焼酎のラインナップは、お店のホームページに詳しく掲載されている。
日本酒で特に力を入れている銘柄は、雪の芽舎、而今、開運、梵の4銘柄で、すべて特別純米や純米大吟醸など、4~6種ずつ揃えてある。いずれも、これまでに蔵元を囲む会を店で催した銘柄だ。この店では、頻繁にこうしたイベントを催している。

価格も、手頃なものからやや高価なものまで幅広い。
日本酒は、小グラス(60ml)、グラス(120ml)、カラフェ(180ml)の3サイズがある。安い銘柄だと小グラスの設定はない。高いお酒をより手軽な価格から楽しめるのが、小グラスなのだ。
ただし、燗酒の場合は、1合での提供が基本。
お燗は温度メーター付のミニ燗すけで提供される。好みの温度になったのを確かめて引き揚げられるので、これはなかなか便利だ。

焼酎も非常に充実しており、90種類以上が揃う。さつきさんは、きき酒師焼酎アドバイザー両方の資格を持っているだけあって、両者とも充実した品揃えだ。ビールも、ベルギービールが5種類ほど揃っており、手抜かりは無い。

残念だったのは、客が多くなってくると手が回らなくなる場合があることだ。自分が訪れたのも、金曜日でほぼ満席というタイミング。お通しが出てくるまで20分は、ちと長かった(その間に1杯目は空…)。

サービスが悪いわけではなく、例えば閉店の12時を過ぎてもお客がいる限り店を閉めないし、おまけにランチもやっているから、相当な働き者ではなくては務まらないはずだ。(ランチは月・火・木・金の11時半~13時半で、お酒もOK。)

また、料理担当のたかさんも、さつきさんも、英語が堪能という話なので、外国の友人に日本酒の旨さを教えるにもいい店だと思う。実際、たまに外国人のお客さんも訪れるそうだ。

定休日は不定期なので、これも店のホームページで確認した方がいい。ホームページは、ケータイ用もある。

月(PCサイト)
月(ケータイサイト)

宴会で極上のお酒を試せる?池袋「半蔵」 (08/2/3)

最近、池袋で飲む機会が多いのだが、このエリアは銘酒居酒屋に事欠かないので有り難い。
池袋駅からすぐの所にある「半蔵」は、駅から近いだけでなく、店内が広いので宴会向きでもあり、内装もキレイ。しかも、日本酒の品揃えには相当力を入れている。

場所は、JR池袋駅の南通路(目白寄り通路)から東武側に出て、目の前にあるSPICE 2の2軒隣。「イタリアントマトCafe Jr.」が入っているビルの5階だ。
エレベータを上がると、エントランスがあり、右手が店の入口。入ると、花の飾られたカウンターを中心としたフロアが広がっている。

ここのカウンターは、中央に段があって、手前と奥とで高さが違う。向かい合わせに6人ずつが座れるのだが、目線が合わないようにという配慮だろう。ただ、それでも向かい合わせが気になるという人はいるかもしれない。

店内は、このカウンターを中心とした三方に仕切りがあり、それぞれ異なった雰囲気のテーブル席がある。各スペースは、宴会用の大小の個室としても使える構造だ。
奥(窓側)は掘り炬燵式のテーブル席、右側はちゃぶ台が並べられた座敷になっている。

この店の料理長は、『TVチャンピオン』のお茶漬け王選手権でチャンピオンになった中村哲也氏。もっとも、残念ながら、自分はあまり「お茶漬け」に関心は無い。
関心があるのは、もちろん80種類ほどあるという日本酒と焼酎の品揃えだ。

昨日ご紹介した「風の森」のほか、今入荷している銘柄は、黒龍・しずく、百楽門・純米生原酒、くどき上手・ばくれん、越乃寒梅・別撰、雪中梅村祐・特別純米本生、陸奥八仙王禄飛露喜・純米吟醸雄町、臥龍梅・袋吊り雫酒、十四代・本丸…など。価格は700~900円が中心だが、量はちゃんと1合あるようだ。(割と大振りのグラス一杯で来る。)

高級酒に限っては、量を2/3にすることで千円台の価格を実現している。
久保田・萬寿醸し人九平次・別誂は、いずれも120mlで1,600円だ。このあたりは人気があることを考えれば、まあ妥当な値段。

黒龍・しずくは1,800円で、同じ黒龍の火いら寿は一番高い2,200円。
1年のうち、しずくは6月と11月の2回、火いら寿は2月にしか発売されないお酒だが、どちらもちょっと高い。

更に、十四代・龍の落とし子が1,500円、本丸が1,200円…となると、これは残念ながらプレミア価格。定価で比較すれば、久保田・萬寿は龍の落とし子の2.5倍、本丸の4倍近い価格なのに、120mlでの値段があまり違わない。これなら、萬寿の方がお得だ。

このように、価格に少々バラつきがあるのが、この店の欠点ではある。

焼酎は530円ほどからあるが、こちらにも魔王(900円)、百年の孤独(1,050円)、十四代・蘭引き(1,470円)といった希少品が見られる。

安くはないが、これだけ旨い酒をしっかり揃えているところは大したもの。駅に近くて店のインテリアも悪くないし、26人名の宴会に対応できるという広さもある。
グループの飲み会で、極上のお酒を1口ずつ試す、といった楽しみ方が面白そうだ。

ぐるなび/半蔵

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