千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2007年11月

日本酒って、分からない!? (07/11/27)

最近は焼酎ブームもすっかり定着して、新しい店はどこもかしこも焼酎を充実させた店ばかり。
日本酒党の自分としては、ちょっと面白くない。

なんで日本酒を差し置いて焼酎ブームなのか考えてみるに、「親しみやすさ」や「手頃な価格」以外に、「分かりやすさ」というのがあるんじゃないだろうか。

焼酎は、大雑把に分けると「甲類」「乙類」という製法の違いと、原料の違い(芋・米・麦など)があるくらいなので、初心者でも選びやすく、自分の好みも見つけやすい。

それに対して、日本酒は主原料こそ米だけだが、「本醸造」「純米」「特別純米」「吟醸」「純米吟醸」「大吟醸」「純米大吟醸」といった製法の差(=味の差)も分かりにくく、加えて「生酒」「ひやおろし」「袋吊り」「斗瓶囲い」「山廃」「生もと」「無濾過生原酒」といった、一般人には意味不明な用語が添えられ、どれがどういう酒なのか非常に分かりづらい。

同じ純米酒なのに、さらっとして飲みやすいものもあれば、どっしりと重たいものもあるのだから、日本酒は分かりにくいと思われても仕方がないのだ。

これを何とかするには、日本酒を提供するお店の工夫が大切だと思う。
例えば、店のメニューに味のイメージ合う料理例などを記載して、選ぶ目安を与えるようにする。
思い切って、「爽やか」「コクがある」「フルーティ」といったイメージごとに分けて掲載するという方法もある。(蕨の「チョウゲン坊」は、この方法で162銘柄を分かりやすく提示している。)
これだけで、ぐっと選びやすくなることは間違いない。

あと、何か特長があれば、それらも記載すると効果的だ。例えば、「5~9月までしか飲めない夏季限定生酒」とか、「全国新酒鑑評会金賞受賞」とか、「幻の酒米を復活させて仕込んだ希少酒」とか…。

せっかく種類を揃えたお店でも、壁の短冊を見ると、どれが日本酒でどれが焼酎だか分からない店も多い。
もちろん店のスタッフに聞けばいいのだが、客によっては不親切だと感じる人もいるだろう。

日本酒は、これまで安酒ととらえていた焼酎の後塵を拝してるのが現状だ。
これからは、美味しい日本酒を選びやすく提供する工夫や、飲んでみたいと思わせる見せ方を心掛けることが大事だと思う。

今、海外では健康志向の高まりから、和食ブームが拡大しており、国内とは逆に日本酒の出荷量が増え続けている。既にアメリカでは、アメリカ産米による日本酒も生まれているらしい。
近い将来、日本酒の良さを外国人から教えてもらうといった事態にならないよう、日本の飲食店にはぜひとも頑張って欲しい!

帰って来た日本酒BAR、新橋「晒柿」 (07/11/26)

新橋でちょっと知られた日本酒BARだった「雫 Dew」が、昨年4月に中目黒へ移って「晒柿(しゃれがき)」という名前になった。それから1年余り、元「雫 Dew」があった店舗も「晒柿」の名前で再オープンした。
経営は、都心に13店舗の飲食店を展開する(有)WOOD&RIVERcorporation(ウッドアンドリバーコーポレーション)だ。

店は、JR新橋駅の烏森口からニュー新橋ビルの横を通って日比谷通り方面へ直進し、約200m程進んだ左側の地下。階段の上に、その日の日本酒と肴のメニューが1枚ずつ貼ってある。

店に入ると、ほぼ正面に4人掛けのテーブルが1つあり、右手のカウンターに7席、カウンターの背後に2人掛けのテーブルが2つある。
店は木を多用したカジュアルな和風調。カウンターの椅子も切り株風だ。一番奥の角に日本酒の冷蔵庫が置いてある。
適度に照明が落とされ、カウンターの雰囲気は悪くない。店のスタッフは、作務衣を着た若い男性が3人。

日本酒の銘柄数は20種弱。秋鹿、奥播磨、醸し人九平次、くどき上手…など知られた地酒もあるものの、ここの特色は、限定で入荷する無濾過生原酒の珍しい銘柄。風の森(700円)、初駒(900円)、ヤマサン正宗(700円)、酉与右衛門(700円)、高柿木(650円)といったマイナー銘柄の無濾過生原酒があり、常時入れ替わるようだ。自分は「風の森」を飲んだが、かなり美味しかった。

注意したいのは、メニューの日本酒の量がいずれも半合だということ。もちろん明記してあるが、500円~という価格帯は1合だとしても違和感がないので、つい安いと錯覚してしまう。1合で考えればどれも千円以上の日本酒になる。量を飲みたい人には向かないが、美味しい日本酒を色々少し飲みたい人には向いている。

肴は、帆立のクリームコロッケ(小2ヶ350円)、炒りギンナン(400円)、サンマのなめろう(500円)、自家製カキのスモーク(550円)、穴子とほうれん草のゴマ和え(600円)、生ししゃものフライ(650円)といった和洋折衷メニューが目立った。肴っぽいメニューが中心なので、ガツンと食べたい人には少々物足りないかもしれない。

好きな人はハマるが、合わない人は2度と来ない店という気がする。(自分はまた来ると思うけど。店の人の対応も良かったし。)

なお、「晒柿」というのは日本の伝統色の名前だそうだ。「下染を梅にて染め、その上に石灰を水で溶いて漬けておくと、梅の上色の赤味が抜けて晒柿色となる。『洗柿』より更に淡い柿色を言う。」と、ものの本にはある。どうも、こんなような色らしい。

ぐるなび/酒亭 晒柿 Syare-Gaki

地酒好き・魚好きにおすすめ!大宮「あづま路」 (07/11/22)

大宮で美味しい地酒を揃えた店はいくつもあるが、品揃えと肴の美味しさ、加えてコストパフォーマンスの高さといった点で考えると、「あづま路」をしのぐ店はなかなかない。

「あづま路」は、大宮駅東口駅前から「マツモトキヨシ」の角を左に折れて、アーケード街を大栄橋方面に250mほど歩くと左側にある和風居酒屋。
店の間口はさほど広くないが、店先に並んだ一升瓶が目印になる。店舗は、けっこう年季の入った田舎家風で、それもそのはず、既に開店して4半世紀を過ぎているらしい。

店に入ると、1階は狭い。6人掛けほどのテーブルが1つと、カウンターに3席。奥が厨房になっている。だが、実は店は4階まである。2階はテーブル席で、3階はギャラリーを兼用、4階は主に宴会用のようだ。

日本酒の品揃えは50種ほどあり、銘柄もよく吟味されている。すべての日本酒が、1合の半分強の値段で半合(90ml)でも注文できるのが嬉しい。
「八海山」「久保田」「神亀」といった銘柄は、それぞれ普及品から高級品まで3~5種類のラインナップが揃う。価格は、「八海山」普通酒540円、純米吟醸940円、「久保田」千寿630円、紅寿840円、「神亀」ひやおろし770円、生酒880円…など。

また「利き酒セット」は、10種の銘柄の中から好きな3種類を選べて980円とおトク。(量は3種類あわせて1合)しかも、選べるお酒のレベルが高い。「銀盤50」730円、「浦霞」770円、「飛露喜」930円、「鶴齢」980円、「賀儀屋」1,230円といった銘柄から選べるのだ!
もちろん日本酒だけでなく、焼酎、ビール、サワー、ワインなど、一通りのお酒は揃えてある。

食事は多彩なメニューに対応しているが、売り物はいわし料理だ。お造り(骨の唐揚付)、たたき、なめろう、梅しそ揚、ユッケ、青しそ巻、天ぷら、フライ、磯辺揚げ、塩焼き、しょうが煮、梅煮、にぎり寿司、つみれ汁、さんが焼…など、27種のいわし料理があって、すべて980円。一番人気は、いかにも酒飲みに受けそうななめろうだ。「鰯料理セット」なら、好きないわし料理を3品選んで、こちらは2,400円だ。

ここの料理は、最近よくある和風創作料理ではなく、多くはごく普通の和食なのだが、どの料理も真っ当なのが素晴らしい。例えば、「お造り」には練りわさびではなく本わさびが添えられ、「ししゃも」はよくあるカペリンではなく、はるかに高い本物の北海道産…といった具合だ。もちろん、どの料理も並の居酒屋より明らかに美味しく、はずれがない。

年配の女将は主にレジ番を務め、フロアは若い女の子がサービスに当たっているのだが、きちんと目配りもできていて、対応もいい。

ここには1人で訪れて料理2品と地酒4種類ほどをいただくことが多いが、大体勘定は5千円前後。(お通し500円と、消費税込み)この値段でこの内容なら満足できる。

なおランチもやっていて、週替わり膳、純手打ちそば(各1,000円)から4,600円のコースまであり、夜の宴会は、3,500円コース(11品)から7,000円コースまである。

マイタウンさいたま/あづま路

居酒屋よりも1ランク上の店、新宿「いちりん」 (07/11/15)

新宿で大人が落ち着いてお酒と和食を楽しめる店となると、なかなか手頃な値段では望めない。駅からちょっと歩くが、「いちりん」なら、軽い接待にも使えそうな雰囲気でありながら、価格は抑えられているので、コストパフォーマンスが高い

場所は、新宿駅東口から靖国通りに出て、明治通りを左折。「パークシティ伊勢丹」を過ぎた次の角を右に曲がり、小さな商店街を100mほど歩いた左側だ。
外観は小料理屋然としているので、知らない人はちょっと入りにくいと思う。

だが、安心していい。スッポンコースや雲丹しゃぶしゃぶといった贅沢な料理が売り物ではあるが、多くの料理は居酒屋よりちょっと高い程度で十分楽しめる。

引き戸を開けると、左側がカウンター、右側は奥に向かってテーブルが何卓か並ぶ。カウンターの手前にも、1卓だけテーブルがある。あとは、地下に個室。

ここの基本は、高知の料理とお酒、それにモダン寿司
高知の地鶏土佐ジローや、四万十川の魚がいただける貴重な店だ。土佐ジローは、塩焼が960円、親子丼だと1,230円。四万十川の天然うなぎが握りで480円、鮎の一夜干しが980円 、手長海老の唐揚が930円 といったところ。

モダン寿司は、戸前穴子トロロかけ(330円)、〆さば(360円)、炙り中トロ黒胡椒(380円)、雲丹と長いもの軍艦巻(480円)など色々あり、野菜ネタも多い。
スッポンは、唐揚1,830円、スッポンと旬野菜の鍋が2,430円。名物・雲丹しゃぶしゃぶは1,680円だ。

肴料理も豊富だから、手頃に飲むこともできる。お造り(1人前 780円)、豚の角煮(780円)、お新香の盛り合わせ(580円)、ホタテの磯辺焼き(980円 )、アボガドとじゃが芋の明太子和え(780円 )…など。どれも居酒屋とは一味違う美味しさ。

日本酒は高知のお酒を筆頭に30種類程が揃っている。美丈夫・麗(900円)、酔鯨・中取り純米 (950円)、飛露喜(950円)、七本槍・吟吹雪(900円)、・初梅特別純米(900円)、出羽櫻・一耕(900円 )、東北泉・ちょっと雄町(950円)、菊姫・本仕込み純米(950円)、開運・特別純米(900円)、天の戸・純米醇辛(850円)…など。美酒が揃っているのは嬉しいが、千円を超える値段も目立つのが残念。

梅酒と焼酎は、逸品伊佐美、魔王、森伊蔵など)を除いて現在すべて600円。芋焼酎だけで30種類、米・麦・黒糖・泡盛なども含めるとその倍以上が揃っている。梅酒も13種類。

地階には掘りコタツ式の個室もあって、宴会には向いている。(スピーディーな対応を求めるなら1階がおすすめ。)

コース料理は3,500円(7品)から各種あって、1,800円プラスすると2時間飲み放題となる。
店のスタッフはブログも公開しており、WEBから予約もできる。WEBには様々なサービスが載っているので、宴会を考えている場合は要チェックだ。

ぐるなび/いちりん
新宿大人和食いちりんスタッフブログ

魚・地酒・焼酎三昧、浦和「ととや」 (07/11/13)

浦和は、先月駅前にパルコがOPENし、これまでさびれていた東口が見違えるように華やかになった。
とは言え、店の数ではまだ西口に遠く及ばない。飲みに行くなら、どうしても西口になる。
美味しい地酒を揃えた店はけっこうあるが、自分のような魚好きにとって、高架下の「ととや」は、やはりはずせない。

場所は、浦和駅西口駅前から、高架に沿って大宮方面に200mほど進むと、右側にある。浦和を代表する銘酒居酒屋和浦酒場の少し手前だ。

高架下は店がずっと並んでいるので間口は狭いが、店内の居心地は悪くない。入って左側がミニ囲炉裏付のテーブル、右側は奥までテーブルが4卓ほど並び、奥の左側はカウンターだ。若い女性客も目立つ。

店内の壁は、酒と肴の短冊がびっしり。メニューに載っていない季節物や限定酒が混じっているので、注文の前にまずはここをチェックしたい。

肴は90種類と豊富だが、売りは新鮮な魚貝類、特にマグロだ。「マグロ四種盛(2,800円・2人前位)」には、定番の中トロ・赤身に加え、珍しいにらみ(目の周り)やうなり(のど)が入っている。これらは独特の臭みや脂っぽさもあるので、苦手な人は、普通の刺身にしておいた方がいいかもしれない。ちなみに、本まぐろ中とろ(1,500円 )や、本まぐろ赤身(1,000円)も人気だ。

魚はほとんど天然物で、九州の名物・九絵(クエ)刺(2,800円・ハーフ1,600円)や、かつお刺、新さんま刺(各700円)、〆さば(800円~)…など、常時10種類以上の刺身が揃う。
焼魚は600円~、煮魚は780円~。鱧さつま揚げ(600円)や、 6時間煮込んだもつ煮込み(600円)も名物だ。酒の〆には、鯛茶漬け(780円)や、本まぐろの切り落としを使ったねぎとろ丼(900円)も用意されている。

この時季は鍋物もうまい。あん肝たっぷりの鮟鱇(あんこう)鍋や、真鱈と雲子(真鱈の白子)の鍋など、4種類の鍋料理が一人前 1,800円からだ。
ほかにも、のん兵衛に嬉しい蟹みそ(500円)、ばくらい(600円)、白子ぽん酢(850円)といった珍味系も楽しめる。

お酒は、八海山(650円)、黒龍(650円)、〆張鶴・月(650円)…といった定番の銘酒のほか、限定酒の谷川岳・純米吟醸(800円)、出羽桜・純米吟醸(800円)、秋鹿・純米吟醸(850円)、高級なものでは磯自慢・純米吟醸(1,200円)、久保田・萬寿(1,600円)といった逸品も並ぶ。燗酒やとらふぐひれ酒(650円)もあり、十分な豊富さだ。
狙い目は限定酒。入荷は不定期で無くなり次第終了だが、800円台で純米吟醸酒はなかなか飲めない。

焼酎も、芋焼酎のびび(480円)、ととや芋さつま一本儀(各500円)といったリーズナブルなものから、人気の富乃宝山(650円)、魔王(1,500円)までと、こちらも幅広い。メニューには載っていなかったが、百年の孤独も棚に並んでいた。ほかにも、麦焼酎、黒糖焼酎、栗焼酎など、常時60種類が揃っているそうだ。女性に人気がある梅酒も5種類あった。

刺身を中心とした鮮魚ばかり頼んでいると高くついてしまうが、上手に注文すれば、美味しい肴と酒が存分に楽しめる。魚好き・お酒好きには、間違いなく一目置かれる店だ。

ぐるなび/ととや

西麻布でリーズナブルに飲むなら、「せいざん」(07/11/1)

1年でも最も忙しい10月がようやく過ぎ、久しぶりにブログを書く暇ができた…!

さて、久々のご紹介は、西麻布の居酒屋「せいざん」。
この界隈、「おいしい店」や「おしゃれな店」の密集度は日本屈指だと思うが、安い居酒屋の少なさも日本屈指ではないかと思う。
そんな中で、おいしい肴を手頃な価格で楽しめるのが、ここ。

場所は、西麻布の交差点から渋谷方面に向かって最初の角を左折、通称ビストロ通りを150mほど進んだ左の角の地下。料理とワインで評判の高いビストロ・ド・ラ・シテの少し先になる。

気取らない店だが、整った和風インテリアなので、デートから小規模の宴会まで、様々な用途に対応できそうだ。入ってすぐのフロアに8名ほどが座れるテーブルがあり、左奥に掘り炬燵式の小上がり、右奥に4~5名程度のカウンターがある。

料理長は、某有名料亭で30年以上の経験があり、味は確か。料亭と違ってとびきりの美食というわけではないが、手頃な価格で満足できる肴を揃えている。魚料理のメニューは、仕入れに応じた日替わりだ。

日本酒も、種類は絞られているが、美味しい銘柄が揃えられており、価格も良心的。十四代640円で飲める店は、この界隈ではほかに知らない。焼酎も約20種ほど揃っている。

気楽に寄れる価格設定で、味もいける店というのは、西麻布では貴重だ。午前3時まで営業しているので、深夜はいわゆるギョーカイ人らしき人も多い。使い勝手のいい店なので、「困った時のせいざん」という地位を確立していそうだ。

姉妹店として、すぐ近くの六本木通り沿いに「壌」という和風スタンディングバーも展開しており(赤坂・新橋にもある)、こちらも人気がある。

Yahoo!グルメ/お勝手料理の店 せいざん

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