千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2007年07月

路地裏の小さな人気店「Public Bar 雑魚」 (07/7/31)

新橋の路地裏にありながら、いつもお客が溢れている小さな居酒屋がある。その名も「雑魚」。
場所は、JR新橋駅の烏森口から新橋西口通りを150mほど直進し、サンクスの角を左折すると目の前だ。
店は開け放しで、店内と表にテーブルが3卓とカウンターのみ。店の外にも4人掛けのカウンターがあるが、焼き場の前なので今の季節はいささか暑い。

お酒は、ビール、焼酎(芋・麦・黒糖)、日本酒、サワーなど一通り揃っているが、そのセレクトはなかなか個性的だ。
まず、瓶ビールがなんと赤星(サッポロラガー)の中瓶!
日本酒はすべてカップ酒で、八海山、天狗舞、開運、 千代むすび・こなき純米、黒牛、澤屋まつもと、来福、開春、乾坤一、御代櫻・パンダカップ、福千歳、出羽桜、武勇…等々侮れない銘柄が並ぶ。その時々でラインナップが変わるためメニューには書かれていないのだが、頼むとテーブルまで数種類持ってきてくれて、その場で選べる仕掛けだ。ラベルも多彩で、見ているだけでも楽しめる。

料理は串焼きがメインだが、それ以外にも煮込み、漬物、チャーハンなど色々あり、どれも安くて美味しい
これでは、いつも満席なのもうなずける。

ドコイク?/雑魚

「而今」のある店にハズレなし! (07/7/18)

この1本があるなら、ほかにも美味しい日本酒ばかりが揃えられた店に違いない。そう信じて差し支えないような酒が、たまにある。最近では、三重県の「而今(じこん)」だ。

「而今」は、三重県の名張市にある蔵元、木屋正(きやしょう)酒造の銘柄。これまでは、「高砂」「幻影城」といった銘柄で、地元中心に出荷していた酒蔵だ。

この蔵の息子だった大西唯克(ただよし)さんは、1975年生まれ。上智大学理工学部を卒業後、乳業会社に就職。その後、東広島の酒類総合研究所で酒造りを学んで実家に戻り、但馬杜氏のもとで実際の酒造りに取り組んだ。3年後に杜氏になると、初めて作った「而今」で、いきなり平成17年全国新酒鑑評会金賞を受賞したのだ。まだ弱冠30歳だった。

「而今」というのは、道元禅師の『正法眼蔵随聞記』に登場する仏教用語。「今、この時を精一杯生きる」といった意味らしい。仏教用語としては、「にこん」と読むようだが、一般的には「じこん」と読まれることが多いようだ。
この銘柄名には、大西さんの酒造りに対する思いが込められている。常により良い方法を探りながら、改善を重ねていくのが、大西さんの姿勢だという。

「而今」は、酒米に五百万石、酵母に三重酵母を使用したものが中心で、特別純米酒純米吟醸酒がほとんどだ。
ただし、ほかにも酒米に山田錦、雄町、八反錦、千本錦を使用したものがあり、酵母も吟醸酒の標準である9号系を使用したものもある。そうした違いは、いずれも瓶の首に斜めに貼られた紙に大書きされているので、分かりやすい。

もちろん、酒米や酵母によって違いはあるが、「而今」には共通した味わいがある。最初にフルーツのようなほのかな甘みを感じ、それから次第に口の中で旨味が広がっていく。キレの良さも特徴的だ。
価格は、ほとんどが1升2千円台と、手頃なのも嬉しい。(3千円を超えるものは、山田錦や雄町の「純米吟醸無濾過生」3,570円、「大吟醸・生酒」8,400円、「大吟醸・斗瓶取り全国出品酒」3,150円/500ml)

わずか3人の蔵人で手がける、生産量120石(1石=100升)たらずの蔵だから、そう簡単に出会える酒ではない。だが最近、日本酒を愛してやまない店主のいる銘酒居酒屋には、「而今」が置かれている確率がとても高い
もし、幸運にもこのお酒に出会うことができたら、迷わず1杯味わってみてほしい。

木屋正酒造合資会社

大宮駅東口徒歩1分にOPEN、炭火焼と地酒の「香家」 (07/7/17)

最近の居酒屋チェーン店は、競争が激しいこともあって、お酒や料理、サービス、インテリアなどに力を入れた店が増えている。
香家(こうや)」もそんな店のひとつ。(株)サン・ロイヤルの手掛ける和風創作料理の店だ。12日に大宮店がオープンしたので、早速出かけてみた。

大宮駅東口から徒歩1分と、交通至便な立地はありがたい。駅前から南銀座通りに入ってすぐ右手のビル3階だ。
店に入ると、1段上がったところに受付があり、予約の確認やテーブルの案内をしてくれる。店内は和洋折衷的な個室が中心。広告などの写真よりずっと照明が落とされており、雰囲気は大人っぽく落ち着ける。デートにも向いていそうだ。ただし、おかげでメニューは少々読み辛いし、料理の色彩も分かりにくいのは難点。

チェーン店にしては地酒が10種類ほどあって、まずまずの品揃えだ。価格は大体800円前後。(ぐるなびに掲載されている日本酒メニューは、間違っているのかも…
ちなみに、焼酎は580~650円が多く、生ビールは550円、グラスワインは550円、ボトルワインは2,800~4,000円だ。頼む品をきちんと選んでいれば、価格はそこそこに抑えられそう。

料理は、並のチェーン店よりレベルが上。お通しに出された「もろこし豆腐」も美味しかったが、「しまあじのお造り」(880円)や「和牛ひれ肉の石板焼き」(1,200円)といった料理が、値段を裏切らない味だった。
おそらく4~5人のグループで来ると、一番コストパフォーマンスを高くできそうだ。

価格的にも内容的にも、居酒屋とダイニングバーの中間的存在。
同じビルの4階に「千年の宴」、5階に「びすとろ家」、6階に 「TOMPOOYA(東風家)」と、人気店がひしめくビルだけに、今後の頑張りにも期待したい。
なお、新宿3丁目に「香家」本店がある。

香家

魚と地酒が旨い銘酒居酒屋、新宿「築地とときち」 (07/7/16)

新宿に銘酒居酒屋は何軒かあるが、価格がほぼ決まっているという点で、この店は安心して飲むことができる。
おいしい日本酒と魚が揃う、新宿の銘酒居酒屋「築地とときち」だ。場所は、新宿3丁目、末広亭の左隣。

一見ごくありふれた居酒屋に見えるが、日本酒のセレクトは素晴らしい。店はほとんど2人~4人のテーブル席だ。
定番銘柄30種類ほどがメニューに書かれているが、それ以外の月替わり入荷品がともかくおすすめ。店先のメニューや店内の黒板に書かれているのだが、滅多にお目にかかれない逸品が並んでいる。どれもこれも純米か純米吟醸ばかりだ。

ちなみに、今月は…常山・純米無濾過生、楯野川・中取り純米出羽燦々、獺祭・純米吟醸50、・純米吟醸雄町、開春竜馬・純米備前雄町、而今・純米吟醸、石・純米吟醸、悦凱陣・手造り純米、天明・純米吟醸、鳳凰美田・純米吟醸雄町など。

この店の日本酒は、ほとんどが1合950円か1,100円。ちょっと高めの設定ではあるが、揃えられた銘柄を見れば納得せざるを得ない。(例外もあるので、要確認。最も安い「正雪」だと700円。)

新しい動向にも気を配っているようで、日本酒通に有名な銘柄だけでなく、最近注目の銘柄などもちらほら混じっている。気になる名前があったら聞いてみると、それがどんなお酒なのか、分かりやすく説明してくれる。
ただ、これからの季節は、もう少しお酒を冷やしてくれた方が旨そうだ。

店名に「築地」と謳っているように、魚もおいしいから、日本酒も進む。
目立たない店ながら、この界隈で屈指の銘酒居酒屋だろう。

築地とときち

手頃で美味しい目黒のビストロ「青椿」 (07/7/13)

店に入ったとたん、「アタリ!」の気配をひしひしと感じる店というのが、たまにある。
目黒の「青椿」は、そんな店の一つだ。職人気質を感じさせるシェフ、カウンターから丸見えのオープンキッチン、ピカピカに磨き上げられた厨房、素材の産地を明記したメニュー、さり気なくセンスを利かせたインテリア。これまで「アタリ」だった店に共通の匂いが濃厚に漂っていたのだ。

場所は、JR目黒駅の東口駅前から目黒通りを白金方面に直進し、首都高速2号線の高架の少し手前の、左側地下。店に降りる階段から、既にいい気配を感じられることだろう。
店内は、カギ型のカウンターに、テーブル席が3卓ほど。広くはないが、狭苦しさは感じない造りだ。

料理はフレンチをベースに、和食のテイストも積極的に取り入れている。上質の素材を活かした料理は、同業他店より一歩抜きん出た味。シェフの包丁さばきを見ているだけでも、期待が高まってくる。

お酒は種類こそ限られるものの、吟味された品揃えだ。日本酒勝駒、立山、冽、満寿鏡がすべて700円と良心的。ただし、量は1合にやや欠けている。
焼酎は芋、麦、黒糖、紫蘇、紅茶焼酎がすべて550円。
ワインは、割高なボルドー物を避け、南フランスやドイツ、スペイン、南アフリカなどコスト・パフォーマンスの高いものを揃えている。

特筆すべきは、ランチでも食べられるビーフカレーだ。深い味わいのルーも素晴らしいが、牛肉は明らかにカレー用ではなくステーキ用の肉としか思えない仙台牛ランチとしてはちょっと高めだが、それだけの価値はある。カレーの隠れた激戦区である目黒でも、最上級の出来と断言したい。

青椿

居心地のいいリビングルーム・渋谷「タナカクマキチ TOKYO」 (07/7/12)

※「タナカクマキチ TOKYO」は、2011年10月7日をもって閉店した模様。

渋谷は、大学時代に1年で150軒の店に入った懐かしの街。どんな細い路地でも知っていたが、さすがにだいぶ様変わりした。
隠れ家の多い街でもあるが、今日はそんな店のひとつ「タナカクマキチ TOKYO」をご紹介。

場所は、ラブホテル街のドまん中。道玄坂から百軒店飲食街を入って、「ローソン」の横をそのまま直進した突き当たりにある。千代田稲荷神社横のビルの地下で、隣はラブホテルだ。

細い階段を下って店に入ると、リビングルームのような空間が広がる。入って右手に4人だけ座れるカウンターがあり、フロアにはテーブルと革のソファ。天井にはシャンデリアが灯る。6人以上なら、左手の奥にある一段高いVIPスペースがおすすめだ。広い店ではないが、必要十分な広さはある。

この店は、料理がおいしいと評判で、値段も高くない。
8時半までに入店するとファーストドリンクが100円になるなど、毎日のように何らかのサービスを設定しているのも嬉しい。15人も集まれば、貸切パーティを開きたくなる居心地のよさだ。朝5時まで営業しているので、長居にも十分対応できる。
店のお兄さんも話しやすいので、1人でカウンターに飲みに来る女性も珍しくないようだ。

渋谷で隠れ家っぽい店を探しているなら、まさに最適。
立地が立地なので、デートで訪れるとちょっとドキドキできる点もおすすめだ。

タナカクマキチ TOKYO

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