千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

2007年04月

わざわざ足を運ぶ価値あり!蕨の「チョウゲン坊」 (07/4/30)

※チョウゲン坊は、2009年7月31日(金)に閉店し、新たに2009年9月1日(火)、四谷に「酒徒庵(しゅとあん)」としてオープンした。日本酒の品揃えは依然充実の上、各地の牡蛎、干物、おでん等を堪能できる。

日常お酒を飲みに出かけるエリアと言えば、都心か地元さいたま市がほとんどで、それ以外のエリアに出かけることは稀だ。しかし、途中にある蕨の「チョウゲン坊」だけは、遠回りしてでも寄る価値のある店だと思っている。

場所は、蕨駅東口に降りて、右手前方に伸びる商店街の入口右側、地下にある。ほぼ駅前なので、この便利さは嬉しい。
店の前に、日本酒の銘柄がずらりと書かれた貼紙があるので、日本酒好きならまず足を留めるはず。地下に降りて行く階段にも、一升瓶が並べられている。
店は、木を多用しながらも、ちょっとモダンなデザイン。中央に大きなテーブルがあり、その周囲にボックス席が並んでいる。50人入るというから、意外と広い。ブリキの花束のような照明がユニークだ。

この店のメニューに掲載されている日本酒162銘柄。そのほとんどは、いつも常備されていると言うから大したものだ。(昨夜の品切れはわずか5銘柄!)日本酒は、味のタイプ別にページ分けされ、更にそれぞれのタイプごとに県別に表示されている。そのため、数が多い割には、大変選びやすくなっていると思う。
しかも、銘柄のセレクトが素晴らしい 「あって欲しいお酒」が見事に揃えられている。
値段も手頃。全てのお酒が「1合」または「半合」のいずれかの量を選べるのだが、1合でもほとんど千円以内、半合だと400円前後で飲めるのだ。(千円以上は、「醸し人九平次・別誂」を筆頭にごく一部。)

さすがにこれだけあると、店のスタッフ(バイト?)でも全てを把握しきれないようで、注文はメニューに振られたナンバーで告げるシステムだ。
なお、焼酎も20種類以上、梅酒も10種類が揃えられている。焼酎は宮崎、熊本、鹿児島、沖縄の銘柄があり、特に種子島の焼酎に力を入れている。

料理も、チェーンの居酒屋と勝負できるくらいの手頃な価格だ。定番メニューも創作メニューもあるのだが、味はどれも普通の居酒屋より確実にワンランク上。バラエティも豊かで、不満を感じさせない。焼物も、煮物も、茶蕎麦も、すべて価格以上の味と感じた。

おまけに、BGMはジャズ。水曜日には、なんと店でジャズ・ライブを催している。ミュージックチャージは涙モノの500円!ただし、「スペシャルライブ」の日は500円ではないので、店のホームページで確認するのがおすすめだ。ちなみに、次回のスペシャルライブは、5月16日の「スタンダードジャズ入門《ジャズが3倍楽しくなるライブ》」(ミュージックチャージ1,600円)。
日曜の昼間には、子供も同伴できる、ランチ付きのクラシックミニコンサートをたまに催すこともある。

宴会メニューは2,100円~4,200円で、飲み放題コースもあり。 「ぐるなび」や「Hot Papper」等にクーポンも掲載しているので、これを使えば更にお得だ。

店のスタッフも、忙しそうではあったが、好感の持てるサービスだった。
この沿線を通る日本酒好きなら、わざわざ途中下車してでも1度足を運んでみて絶対損はない

●旨い酒Dining チョウゲン坊
http://ameblo.jp/chogenbo/

手頃で美味しい欧風カレー、「カフェ☆ドゥ・ミル・ドゥ」 (07/4/27)

カレーは、インドカレーより欧風カレーが好みだ
だが、意外と欧風カレーの店は多くない。これまで行った中で気に入っているのは、前にも書いた神保町「ボンディ」(神保町以外にも8店舗ある)と半蔵門「プティ・フ・ア・ラ・カンパーニュ」だが、この2店は値段もそれぞれ1,350円と1,250円なので少々高い。
新橋なら「café☆2002(カフェ・ドゥ・ミル・ドゥ)」が手頃で美味しい欧風カレーを提供してくれる。
(現在は高円寺に移転!)


店はJリーグ東京ベルディのサポーターのご夫婦2人で切り盛りしている。(店には選手のサインやグッズがたくさん
店名に「カフェ」と付いているものの、ドリンクだけのオーダーはできないので、純然たるカレー専門店だ。

カレーのバリエーションは豊富。チキン、ビーフ、ポーク、野菜、シーフードなどをベースににし、それにチーズや茹で玉子を組み合わせる仕組み。価格は、具なしの「プレーン」700円から、最も高い「チーズシーフード」で1,000円。ほとんどのカレーは850円(チーズありで900円)だ。
カレーには、すべて「前菜」代わりのポテトが1個付く。この辺も、上記2店と同じ。
味では上記2店に一歩及ばないながら、メニューの豊富さでは完勝だ。
お店のオススメは後味さっぱりの「トマト」のカレーだとか。

更に、様々なトッピングが100円以内で用意されている。種類は、マヨネーズ、ゆでたまご、アーモンドスライス、追加チーズ、トマト、千切りキャベツ、おくら、れんこん、なす、キヌア、マカ粉末。
「キヌア」や「マカ粉末」は聞きなれない人も多いだろうが、これについては店のメニューの裏に詳しい紹介が載っている。いずれも自然の健康食品で、この2種類だけは150円になる。
薬味は福神漬けのみ。

カレーの辛さは5段階(甘口、中辛、辛口、大辛、特辛)あって、注文の際に指定する。辛いのが苦手な人でも、一番甘口のカレーなら、まず大丈夫なはずだ。
ルーはライスと別に供されるのではなく、ライスに半分かけられた形式で出される。
香味野菜と共に煮込まれたルーは、1から手作り。欧風カレーらしいコクがあって、値段以上の美味しさを感じる。チーズありの場合は、とろけるチーズが載せられていて、食べているとけっこう伸びる。肉は標準的。ライスは軽めのバターライスだが、油っこさはまったくない。
ミニサラダやドリンクをセットにすることもできる。ちなみに、欧風カレーなのでナンはない

メニューが豊富な上、季節のカレーも用意されているので、定期的に通っても飽きない。
なお、お持ち帰りやデリバリーも可能だ。

※GYPさん、移転情報ありがとうございます!
 「café☆2002(カフェ・ドゥ・ミル・ドゥ)」は2008年2月6日に高円寺に移転し、「ヴェルトワール」という店名になったそうです。

 http://ameblo.jp/curry-vertoile/

日本酒の学校、荻窪「いちべえ」 (07/4/26)

駒込の「頑固親父」なき後、日本酒業界の最新情報を常に広く押さえている親父と言えば、荻窪の「いちべえ」の桂馬定雄さんが挙げられる。

場所は、JR荻窪駅西口からタウンセブンの前を通り、白山通り商店街を左に曲がって100m程歩いた右側のビル3階にある。
店は、ちょっと広めの大衆居酒屋といった感じで、けっこう年季が入っている。残念ながら、オシャレな店とは言い難い。靴をぬいで下駄箱に預けて上がる形式なので、旅館の大広間にも似た雰囲気だ。

狭いカウンター(6人くらいか)もあるが、ほとんどは座敷に並べられた座卓で飲む。
店の壁には、様々な日本酒の銘柄が短いコメントと共に書かれた紙が所狭しと貼ってある。日本酒の銘柄は約200種類。手頃でおいしい銘柄から入手困難な希少酒まで揃っているのが嬉しい。特に、王禄(550円~)、磯自慢(600円~)、黒龍(700円~)、田酒(800円~)十四代(1,000円~)あたりは全種類を揃えているのがスゴい。もちろん、すべて大型冷蔵庫で保存されている。

お客さんが良いと言う銘柄を揃えていったら、ここまで集まってしまったそう。今でもお客さん推薦の銘柄はすぐに取り寄せる。逆に、一度置いた銘柄でも、味が落ちれば置かなくなるともいう。
桂馬さんは常に勉強を怠らないので、今年出来のいい銘柄や、最近力をつけてきた蔵など、業界の情報に詳しく、話を聞いているだけで面白い。
ちなみに、一番のお気に入りは磯自慢純米大吟醸「愛山」だとか。

本格焼酎も、森伊蔵、富乃宝山、村尾・・・など、座敷の床の間に多数並んでおり、こちらも120種以上あるらしい。
料理は標準的なレベルだと思うが、雰囲気が大衆的なために損をしているかもしれない。
一部だが、オリジナリティのある独自メニューも揃えている。

銘酒が多いだけに、ついつい高級酒を続けて飲んでしまうと勘定が高くなってしまうのが難点。とは言え、桂馬さんから業界情報を聞けると思えば、それでも元は取れると思っている。

蔵元やジャーナリストを招いてのきき酒会や、蔵見学といったイベントも毎月のように開催しており、詳細は店のホームページで確認できる。
日本酒通として知られる漫画家の高瀬斉さんが常連のため、高瀬さんを先生とした日本酒セミナーも開いているようだ。

他店では飲めない美酒を飲みたい時や、旬の美味しい銘柄を知りたい時に、まず行くべき店として候補に挙げたい。

●荻窪「いちべえ」
http://www.ichibe.com/top.html

●荻窪いちべえ「今宵の一杯」
http://www.yukan-fuji.com/archives/2006/09/post_6841.html

森伊蔵も十四代も480円!新橋の炭焼き「壽」 (07/4/24)

炭焼きと焼酎が売りの店だが、日本酒もいくつか置いてあり、焼き物も含めてほとんどのメニューが一律480円という分かりやすい店。それが新橋の「壽(じゅ)」だ。
烏森口店は1週間前(4月17日)にオープンしたばかりだが、すぐ近くに新橋店があり、ほかに三軒茶屋と仙台にも店がある。

烏森口店の場所は、新橋駅の烏森口から桜田公園を横切り、TSUTAYAの左の道を入って左側。間口は狭いが、店内は明るくてよく見える。
モノトーンの店は、狭いながらもちょっと小粋だ。前の路地には、店のロゴが映し出されている。
店内にはいくつも排煙ダクトが配置されているが、黒く塗られているせいか邪魔に感じない。BGMもジャズ系。

キャパは、カウンターに8人、その奥に3人ずつの別カウンターが2つと、14人程で一杯だ。
店内が一杯の時は、スタンディング用のミニカウンターも備えてある。

メニューはそれほど多くはないが、焼酎はさすがに品揃えがいい。ホームページに詳しい紹介が掲載されているが、三岳、森伊蔵、百年の孤独といったレア物も置いてあり、それらも含めて一律480円という価格設定は潔さを感じる。
十四代をはじめとする日本酒(3~4銘柄)や梅酒(同)も同額だが、日本酒は5勺程度と、量はさすがに加減されている。
カウンターの端にワインのボトルも3本並んでいたが、これはオープニング・パーティでのプレゼントとのことなので、ワインのメニューはない。

食べ物メニューも「特選もん」を除けば、同じく一律480円だ。「特選もん」とは、山形牛ステーキ(2,500円)、焼きもん盛り合わせ(1,500円)、特選チゲ鍋(2,000円)といったメニュー。
地鶏、ハツ、ハラミ、ホルモンといった「焼きもん」や、和牛レバ刺し、キムチ、トマト、からすみ、卵ごはんといった「一品もん」は、すべて480円。これは計算が楽だ。地鶏はおいしいことで知られる宮崎直送の綾地どり
メニューは日によって多少変動があるようで、昨晩は「極上からすみ」がなかったが、代わりにメニューにない「ハチノス刺」があった。(コチュジャンっぽいタレがよく合い、なかなか美味しかった。)

これらの「焼きもん」を、網を載せた七輪で焼きながらいただく。カウンターに七輪を載せて焼いている様子はいかにも美味しそうで、通りがかりの人を引き込みそうだ。

この店の一番面白い点は、実は店のスタッフとお客。こればっかりはタイミングにもよるので、実際に足を運んでいただくしかないのだが・・・店長の啓介さんをはじめ、魅力的でユニークな人が集まっており、初めての客でも人見知りさえしなければ、実に楽しく飲めるのだ。

■壽
http://ju-shohchu.jp/

安くてうまいイタリアン、宮原「オステリア BUCO」 (07/4/23)

オステリアは、イタリア居酒屋といった意味だ。ワインを中心としたお酒や食事が気軽に楽しめる店を、このように呼ぶ。
日本の食文化にすっかり定着した「イタ飯」だが、お酒を飲みながら様々な肴を楽しめるオステリアも増えてきたのは嬉しい限りだ。さいたまにもこの手の店が急増しているが、値段が高めだったり、メニューが物足りなかったり、サービスが今ひとつだったりで、いい店はなかなか少ない。

そんな中、抜群のコストパフォーマンスでお薦めなのが、宮原の「BUCO」。BUCOとはイタリア語で「穴」という意味だが、その名の通りワインセラーを模したような穴倉っぽいインテリアの店だ。
店は、宮原駅西口の駅前から「フォト日進堂」の角を左折して、すぐ左側。
店内は奥に長いレンガ造りで、左側がカウンター、右側と奥がテーブル席になっている。

若い男性スタッフ3人程が調理を、女性スタッフ3人程がドリンクやサービスを担当している。
メニューは鮮魚のカルパッチョやフォアグラのソテー等の前菜から、塩味・トマト味・和風のパスタ類に、ピッツァ、リゾット、魚料理・肉料理にデザート・・・と幅広い。ピッツァはミニサイズもあるので、1人でも注文できる。

魚は五島列島のものを使っており、季節の魚が常時数種類ずつ、様々な調理法で提供される。
肉料理はアーク豚が中心だが、鶏・牛・子羊、冬には鹿・ウサギなども加わる。
この多彩なメニューのおかげで、一年中通っていても飽きることがない。(自分は月に平均3~4回はここで飲んでいる。)
味は多少のバラつきはあるものの、総じて満足できる美味しさ。オステリアとしては料理の見た目も割とキレイだし、お酒も進む。
価格はどれも居酒屋レベルの安さなので、コストパフォーマンス的には文句なしだ。

飲み物がまた豊富で、イタリアワインが白・赤それぞれ常時8種類程度揃えてあるほか、オリジナルの果実酒や、日本酒、焼酎まで揃う。ワインがボトル千円台から飲めるのは嬉しい。
料理もお酒も、常に旬のメニューが加わるため、店内の黒板は要チェックだ。

これまでは、お皿を片付けるのが早過ぎるスタッフが1人いて閉口することもあったが、最近はちゃんと聞いてから片付けてくれるようになり、サービス的にも整ってきた。
個人的に唯一気になるのは、分煙されていないこと。オステリアという性格上やむを得ないが、隣席で煙草を喫われるとちょっと辛い・・・。

1人で夕食がてら立ち寄ってもいいし、友人や恋人との食事、グループでの飲み会にも使える。週末はそうした飲み会が入っていることも多く、7時前に満席になるのが普通。
店の向かいにある立体駐車場の2階No.1~6が店の駐車場にもなっているのだが、早い時間でないと満杯になる。

ちなみに、店のオーナーである須賀隆夫さんは、すぐ近くの人気居酒屋「一番鶏」も経営しており、宮原西口商工会と宮原駅西口地域まちづくり協議会の会長として、地域の奉仕活動や活性化にも尽力している。

●Yahoo!グルメ/オステリアブーコ
http://gourmet.yahoo.co.jp/0000304047/0001792052/ktop/

ランチ/11:30~14:00
ディナー/17:00~22:30(ラストオーダー22:00)
定休日/水曜

お店やお酒の好き嫌い (07/4/20)

このブログでは、個人的にお薦めと思える店やお酒を紹介しているが、当然そこには自分の好みが反映されている。
紹介する店は、すべて自分で飲みに行った店の中から、いいと思う店を選んでいるし、お酒もすべて自分の気に入っている酒だ。なるべく幅広く採り上げたいとは思っているが、どうしてもそこには嗜好が入る。

例えば食べ物にも好き嫌いはある。最も好きな食材は魚で、それも刺身が一番。当然、寿司は大好物だ。ほかには、蕎麦、カレー、パスタもかなり好き。
苦手なものは、「鶏肉」「烏賊・蛸」「モツ系」。従って、焼き鳥屋、モツ鍋屋、烏賊や蛸のうまい店があっても、ほぼ永遠に登場しないと思っていい。(焼き鳥屋は可能性ゼロではない。「特別おいしい鶏」は食べられるからだ。)

ほかは、ゲテモノを除いてたいてい食べられる。鯨は好きだし、子羊や鹿といったジビエ系もいい。ちょっと変わったものでも、ワニ程度なら抵抗なく食える。

内臓系でも、あんきもフォアグラは好物。これまで入った数千軒の中で、メニューに「あんきも」があった店では、ほぼ全て注文していると思う。何軒で食べたか分からないが・・・味で三本の指に入るのは、銀座「三献」、青山「元」(閉店)、勝どき「かねます」あたりだ。

酒の方では、一番よく飲むのが日本酒ワイン。それ以外も、バーボンをはじめとするウィスキー、ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ、リキュール、カクテルと、あまり好き嫌いはない。
ビールや焼酎はあまり飲まないが、それでもたまに口にする。
ポピュラーなジャンルでほとんど飲まない酒は、ブランデーくらいではないかと思う。別に嫌いというわけではなく、「老後の楽しみ」に取っておいてあるだけのことだが・・・。

東京には美味しい店がたくさんある。だが、美味しければどこでも紹介しようとは思っていない。
なるべく、雑誌や他のメディアであまり取り上げられていない店を優先的に紹介したいと思っている。
その理由は2つあって、有名な店を今更採り上げても面白くないというのが1つ、無名のいい店を応援したいというのが1つだ。

好みとしては、キャラクターのある店を気に入る性癖がある。酒も肴もおいしく、店もきれいで、値段も相応・・・特に欠点がない無難な店より、どこか1点秀でたところのある店、ユニークな特色ある店の方が面白い。

結局、店は人と似ているのかもしれない。特に欠点がないような人より、ほかは大したことがなくても1つだけずば抜けたものを持っている奴の方が、魅力的に見えるものだ。
自分はどっちのタイプかって?・・・そりゃ、ほかは大したことないけど、酒のおいしい店だけは、ずば抜けて・・・

料理ウマすぎ! 勝どきの立ち飲み屋「かねます」 (07/4/19)

欠点だらけの店なのだが、それでも紹介したいのが、勝どきの立ち飲み屋「かねます」だ。

写真の旧店舗は、再開発のため2007年7月2日で閉め、現在は2010年夏に完成した55階建ての「勝どきビュータワー」1階で営業している。場所は、晴海通り沿いの勝どき駅交差点の角だ。

勝どきという立地は少々不便だ。(自分の職場からは地下鉄で2駅だが。)
お酒の種類も少なすぎる。ビールがヱビスと、ヱビスの黒生、日本酒は「幻の瀧」純米吟醸(常温または燗)のみ、それに名物ハイボール。焼酎などは一切ない。
ヱビスの黒生はうまかったが、「幻の瀧」(常温)はもう少し冷やしてほしかった。

最大の問題は、料理の値段が高すぎること。飲み物はいずれも600円程だが、卯の花(500円)と生ゆば(800円)以外の料理14品が、すべて千円以上だ。
昨日の献立で言うと、牛煮こみ、茄子田楽、平貝焼が各1,200円、生ウニ牛巻き、アサリバター焼、煮魚(昨日はキンキ)が各1,800円で、それ以外 の8品が1,500円

献立はその日によって替わるため、店内の黒板に書かれているが、達筆すぎて読みにくい。
おまけに営業時間が午後4時~8時と極端に短いので、よほど仕事が早く終わる人でなければ、この店では飲めない。
立ち飲みとしてはキレイな店なので、女性でも入りやすいが、24人も入れば一杯という広さなので、入れないことも多い。

これだけ欠点があったら普通は二度と来ないのだが、それでも足を運ばせるのは、ひとえに料理の旨さに尽きる。
名物は、生ウニ牛巻きや、牛煮こみ。生ウニ牛巻きは、霜降りの生牛肉のスライスに、海苔とウニをくるんだもの。牛肉もウニも一目で高級品と分かる、贅沢な一品だ。
牛煮こみも、到底「煮こみ」の味ではない。橋の向こう(銀座)だったら、倍の値段でも文句は言えない
ほかにも、まぐろ、莫久来(ホヤとなまこの腸の塩辛)、あんきも・・・など、酒に合う肴が揃っている。

立ち飲みなのに、ヘタな割烹顔負けの料理が出てくるというので、その道では有名。
山本益博がジョエル・ロブションを連れて来たとか、世界一と評判の高い「エル・ブリ」のシェフ(3月26日の記事参照)フェラン・アドリアが立ち寄ったとか、噂話もケタはずれだ。

昨日は、あんきも、生ウニ牛巻き、牛煮こみを食べて満腹。お酒は日本酒2合と黒生1杯を飲んで、勘定は6,300円だった。最初は高い印象だった価格も、この旨さを知ってしまうとむしろ安い。2~3人で行けば、けっこう割安で楽しめそうだ。

すぐに満杯になってしまう人気店だが、穴場は水曜日。築地市場は、月2回程度水曜が休みになるのだが、何週目かは決まっていないので、総じてこの界隈は水曜に客足が遠のく。築地市場が開いている水曜日を狙うと、驚くほどあっさりと入れたりする。

■livedoorグルメ/かねます
http://tokyo.gourmet.livedoor.com/restaurant/info/21738.html

■ザ・築地市場(休開市日カレンダー掲載)
http://www.tsukiji-market.or.jp/

魅惑の香り!フランスのジン「エギュベル」 (07/4/17)

ジンと言えば、オランダ生まれでイギリス育ちのスピリッツだ。
17世紀の中頃、オランダのライデン大学のシルビウス教授が、利尿作用があると言われていたジュニパーベリー(ねずの実)をライ麦から作った蒸留酒に漬け、薬用酒として売り出した。これが、ジンの始まりといわれている。

ねず(杜松)というのはヒノキ科の樹木で、その実を乾燥させると、特有の甘くすえたような芳香が出るため、肉料理のスパイスとしても使われていた。

オランダのオレンジ公ウイリアムがイギリス国王に迎えられたのをきっかけに、ジンはイギリスへ伝わり、18世紀になるとロンドンで大流行した。
19世紀に連続式蒸留機が開発されると、これを使用した独自の製法が発達し、「ロンドン・ジン」や「ブリティッシュ・ジン」などと呼ばれるようになる。

単式蒸留機を使用して作られるオランダのジンは、重厚でコクがあるヘビータイプ。
これに対しロンドン・ジンは軽い風味で、カクテルのベースとしてピッタリなこともあり、たちまち本家を凌ぐ人気となった。
ビフィーター、ゴードン、タンカレー、プリマスなど、有名なジンはすべてイギリス産だ。

もちろん、イギリスやオランダ以外にも美味しいジンはある。
ドイツで造られる蒸留酒「シュタインヘイガー」は、独自の製法で人気だ。
味は、オランダ・ジンとロンドン・ジンの中間的な風味。

アメリカには、日本でも人気の高い「ボンベイ・サファイア」がある。
世界中でたった4機しか存在しないカータヘッド・スチル蒸留機を使って、何度も蒸留を繰り返し、極限にまで磨き上げられた原酒に10種類にも及ぶ植物の香りを付けて、独自の華やかな香りと味わいを創り出している。

もし、この「ボンベイ・サファイア」が好きという人がいたら、ぜひおすすめしたいのが、ちょっと珍しいフランスのジン「エギュベル」だ。
これは、プロバンス地方のトラピスト派エギュベル修道院で作られたもの。
ドライジンにありがちな刺激的な感じや、薬っぽい香りが無く、柑橘系やバラ系の甘い香りと風味を持っている。マイルドで女性的な味わいのジンだが、アルコール度数は40度ある。

ジンやウォッカは、冷凍庫でギンギンに冷やしておくとストレートでも飲みやすくなる。
エギュベルもストレートかロックが最高だが、ジントニックにしても絶品
価格は、700ml瓶が2千円前後だ。

フランスには、ほかに「シタデール」というジンもある。こちらもボンベイ・サファイア系だが、更にその上を行く19種類もの植物から香りをつけている。
飲みやすさで言うと、ボンベイ・サファイアに一歩譲る気がするが・・・。

余談だが、エギュベル社はジン以外にもさまざまなスピリッツやリキュールを作っており、ベルモットなども大変美味しい。
同社は2001年6月にISO9002の認証を取得していて、意外な先端企業でもある。

●Eyguebelle
http://www.eyguebelle.fr/jp/

新富町の海の家?貝焼き「祥音」 (07/4/16)

前回の「大政小政」も客を選ぶ店だが、今回はまったく別の意味で、更に客を選ぶ店だ。
まず、貝焼き専門店という時点で、かなり客層は絞られるはず。加えて、店が半端ではない程のチープさ。これは、店主が元々屋台出身のためか、海の家を模しているのかの、どちらかだと思う。

店は新富町の「祥音」。場所は、入船橋交差点から新大橋通りを八丁堀方面に進んで最初の信号を左折、すぐ右側だ。
ビル1階の前面にビニールシートが下がっており、その内側が店になっている。最初に訪れた時、店の入口がどこにも見つからずに戸惑った。店内で飲食している人がピニール越しに透けて見えるのだが、どう回り込んでも入口がない。自分でもアホかと思いつつ、店の前から電話して「入口どこですか?」と聞いたところ、「ビニールをめくって入って」とのこと。我ながら情けなかった。

店内は、ほとんど工事中のビルの中としか思えない。思わず「こんな場所で宴会してたら、工事の人に怒られるんじゃ・・・」という気になってくる。テーブルは板を渡しただけ、椅子も木箱やゴミ箱。天井はダクトがむき出しだし、壁は落書きで一杯だ。
おまけに、料理は、スーパーのパックに使われている白い皿で出てくる。お酒は使い捨ての透明コップなので、強く握るとつぶれてしまう。

このチープさを洒落で楽しめる人には、面白いお店。もちろん、貝が嫌いでないことは大前提だが。
メニューらしきものはないので、最初はコースメニューがいい。2000円で9品のコースが標準だ。ほかに1000円で5品のコースと、3000円のコースもある。
すべておまかせだが、自分が出されたのは、鳥貝、中国産蛤、ムール貝、白貝、熊本産蛤、マテ貝、さざえ、帆立貝、蛤の醤油焼といった感じだった。蛤が3回出てくるが、これは食べ比べということ。中国産と国産の違いを味わえる。

飲み物はオール500円。ビールは「ヱビス」と「ヱビスの黒」があり、ハーフ&ハーフもできる。
日本酒はすべて純米で、酔鯨、浦霞、越の影虎、天狗舞があった。500円でこの銘柄なら、使い捨てのコップでも許せるかもしれない。
焼酎は、黒伊佐錦、おはら、鬼殺し、里の曙あたり。スミノフのウォッカやワイン(ボトル2千円)もある。

店内こそチープだが、貝焼きはうまいことで評判。個人的には刺身も食べたいところだが、残念ながら焼き専門というのが基本だ。
旬の時には、牡蠣亀の手といった逸品も登場する。
実は貝だけでなく、裏メニュー的に野菜や魚もある。しかし、あるかどうかも含めて、これはタイミング次第。常連になると、事前にお願いしたりして、限定メニューを提供してもらえることもあり、この店は常連になってからが真骨頂という気がする。

この雰囲気は、やっぱり海の家。浜で夜までわいわい盛り上がっているような気分で楽しみたい。
ちなみに、ちょっと変わった店名は、店主・鈴木聡さんのお子さんの名前だそうだ。

●貝焼 祥音
http://newrich.fc2web.com/

こだわりの絶品日本酒が堪能できる、東中野「大政小政」 (07/4/14)

銘酒居酒屋はたくさんあるが、店主のこだわりの強さでここに匹敵する店はまずない。東中野の銘酒居酒屋「大政小政」がそれだ。

店は東中野駅の東口改札から左側の階段を降り、振り返ると見える「くじらのおなか」の手前、「ムーンロード(駅前飲食店会)」の路地を入った突き当たり。見た目はごく普通の居酒屋だ。
店内は、カウンターに8席、テーブルは4人用と8人用の2つ、座敷は24人まで入れる。

常時約80種類ほどの日本酒が揃っているのだが、全てが店主こだわりの美酒で埋め尽くされている。日本酒が苦手な人や嫌いな人でも、この店に来れば「自分が今まで日本酒だと思っていた代物は何だったんだ」と思うのではないだろうか。

特に「十四代」の全ラインナップが揃えてある店というのは、見たことがない。しかも、5年・6年と店で寝かせた古酒まで取り揃えている。
仮に「十四代」をいろいろ飲んでみたい場合には、「山田錦」→「龍の落とし子」→「八反錦」→「八反錦おりがらみ」といった順番で飲むといい、といったアドバイスをしてくれる。

と言うか、こうした順番で飲まないと店主の森泰伸さんが黙っていない。
森さんは、お酒を飲む順番や料理との相性にこだわりを持っているので、素直にアドバイスを求めた方がいい。そうしないと「それはお勧めできない。こっちの方がいいよ」と言われてしまう。自分のこだわりに自信があるのはいいのだが、それ以外の飲み方を認めないのは欠点。「どうしてもこっちが飲みたい」と言えば、渋々出してはくれるが・・・。
生半可な日本酒通は木っ端微塵にされる

十四代だけでも十分凄すぎるのだが、ほかにも納得の銘柄がキラ星の如くメニューに並ぶ。
飛露喜、磯自慢、風の森、臥龍梅、田酒、来福、鶴齢、宗玄、天の戸、七田、秀鳳、雁木、星自慢、開運、三重錦、黒松翁、美和桜、悦凱陣、亀泉、鍋島、南、山吹極、亀・・・。
日本酒以外に、本格焼酎(芋・米・麦)や泡盛、エーデルピルス樽生ビール(市販なし)やベルギービールもある。
内容を考えれば価格も良心的で、700円~900円くらいが多い。ただ、「絶品」モノは当然高く、十四代のハイクラスだと5勺で1,600円とかになるので、いい物ばかり頼んでいると勘定は馬鹿にならない。

料理もまた素晴らしい。名物は、目の前で作ってくれる汲み上げ豆腐と、手打ち蕎麦、鯛めし。少なくともこのうちの1つか2つは食べてみることを是非おすすめする。森さんいわく「ほかで食えなくなるよ」とのことだが、あながちオーバーとも言い切れない。鯛めしは土鍋一杯あるので、何人かで分けるといい。これのみ調理に1時間かかるので、食べたいなら早めに注文しておく必要がある。

宴会コースは3,500円からで、飲み放題プランもある。(90分の場合で1,500円)
毎回、1つの蔵の酒を集中的に飲み比べる「大政小政会」も開催している。次回は5月19日で、お酒は「七田」が6種類、会費は7千円だ。

まさに頑固親父の店だが、店主のおすすめに従って飲むことに抵抗さえなければ、最高の美酒と肴を心ゆくまで味わえる。

●銘酒居酒屋 大政小政
http://homepage2.nifty.com/oomasakomasa/

酒と肴が美味しい蕎麦屋、新宿「彩蕎庵 吉遊」 (04/4/13)

蕎麦屋で一献というのは、いかにも大人の酒の楽しみ方だ。
だが、ゆっくりお酒を楽しめる蕎麦屋が少ないのも事実。「藪」や「砂場」といった老舗は別格として、最近の蕎麦屋でその手の店はけっこう貴重だ。

新宿の「彩蕎庵 吉遊」は、そんな貴重な店の1つ。場所は新宿通りをはさんで伊勢丹の向かいにあるビルの地下。繁華街のど真ん中だけに、逆にこうした落ち着いた店は意外性がある。

和風モダンな店内は、清潔感と上品さが漂う。
中央に10人掛けの大きなテーブルがあり、その左右に4人掛けのテーブルがいくつか並んでいる。BGMは軽いジャズで、このあたりも今風だ。デートに使ってもおかしくない。

この店の売りは「酒と肴と手打ちそば」。料理長の増子義晃さんは、元々茶懐石や高級会席の出身のため、手造り塩辛(500円)や板わさ(600円)といった酒の肴から、 鮑の肝の味噌漬け(600円)、 唐墨と鮑肝の味噌漬け盛合せ(1,000円)、各種天婦羅(500円~)といった一品まで、充実した料理を提供してくれる。

日本酒は、高清水の燗酒などが1合500円~と、意外にお手頃。純米酒(新政、一ノ蔵、浦霞、越乃誉、三十六人衆、出羽桜)が700円、特別純米や純米吟醸が800円か900円。十四代も置いてあるが、これは限定品で1,200円と高い。取りあえず、置いてあるだけ評価しよう。ほとんどが純米という点も偉い。
焼酎は、オリジナルが500円で、他はほぼ700円だ。芋・麦、蕎麦と、けっこう銘柄もあって本格派。
ビールはヱビスとスーパードライがある。(どちらも小300円、中500円。ならヱビスでしょ!)
このくらい揃っていると、蕎麦屋といってもかなりゆっくり楽しめる。

当然だが、蕎麦も美味い。蕎麦は石臼で自家製粉し、毎朝打っている。また、珍しい焼畑栽培・手刈り天日乾燥の蕎麦があったり、つゆに福島・栃木の天然水を使っていたりと、素材にはかなりこだわっているようだ。米や野菜有機無農薬、海鮮素材は産地直送、卵は有精卵、天麩羅は大島の椿油・・・といった具合。
11月には店を休んで、全員で蕎麦の収穫に出かけるというから、かなりのものだ。
これで「もりそば」600円からいただけるのは嬉しい。

かつてはコースメニューが2千5百円からと大変お得だったのだが、現在は5千円、7千円、1万円にグレードアップされた。その分、内容も充実しているのだが、敷居が高くなってしまったのは残念。

おいしい蕎麦と、和食店レベルの料理、きれいな店内、加えて高いコスト・パフォーマンス。
ということで、フリーで入れないわけではないが、確実に入りたいなら予約がおすすめ。

■新宿「吉遊」
http://www.kichi-you.com/

和風の劇場空間、東銀座「花蝶」 (07/4/12)

昨日の「Cali Cari」の近くに、和風の劇場空間ダイニングもある。
演出家の宮本亜門がプロデュースして、老舗料亭花蝶」をリニューアルしたレストランだ。

場所は新橋演舞場の斜向かいと言っていいほどの、すぐ近く。そのため、芝居見物のついでに寄った感じの女性客がとても多い。男性客は、女性のお供がほとんど。

門構えこそ控え目だが、それでも高級感は漂っていて、敷居は高い。
エントランスから三和土(たたき)に足を踏み入れると、すぐ店の女性が出迎えてくれる。

店は1階がバーラウンジと個室、茶室。地下1階がメインダイニングとセカンドダイニング、それに座敷個室となっている。
造りは料亭なので、大小さまざまな部屋に分かれているところが、独特で面白い。

やはり見所はメインダイニングの「ゆり」の間。
海外でも活躍する若手日本画家福井江太郎による駝鳥の水墨画が襖いっぱいに描かれていて、目を奪われる。
地下1階とは言え、広くて照明も明るく、坪庭から自然光が少しだけ差し込んでいて、閉塞感はない。

ランチは3,670円、5,770円、8,000円の3コース。8,000円のコースは予約制となる。
ディナーは6,500円、8,000円、12,000円、15,000円の4コース。ディナーの場合、これにサービス料10%が加算される。
個室利用料は広さによって様々だが、2人用で2,000円、10~30人で15,000円と、結構なお値段だ。

料理は、フレンチと和食の融合路線。前菜におひたしもマリネも出るし、お造りの後にポークシチューが続くといった具合だ。
味はこの値段としては普通レベル。メニューは意外とオーソドックスなので、インテリア並の斬新さを期待していると的外れになるかも。
今日は3,670円のランチをいただいたが、けっこう品数があってボリューム的には十分だった。

お酒はワインがメインで、ボトル6千円~2万円くらいが中心。ロバート・モンダヴィからシャトームートンロートシルト(これは'91年で5万円)までがリストアップされていた。グラスで飲めるものも10種類ほどある。
ビールはキリンが各種揃っている。日本酒は有名地酒(八海山、一ノ蔵、玉の光など)が10種類くらい。焼酎は逆にマニアックな銘柄(草笛、天盃、山乃守、加計呂麻など)が15種類くらい並んでいる。価格はほとんど千円以内。この雰囲気にしては手頃だ。

店の演出は面白いし、成功しているかもしれないが、重箱の隅をつつくなら、リッチさの裏にチープさがチラついている点が惜しい。ランチだったので食材は仕方がないとしても、床材やテーブル&椅子はおそらく高い物ではないと思う。(テーブルクロス等で隠されているが・・・)店のスタッフの年齢・性別がかなりバラバラなのも、ちょっと気になった。

なお、入口の三和土から右手に入ると、カウンターバーがあり、こちらだけの利用も可能だ。ただし、バーテンがいるのは火~金に限られる。

雰囲気と価格からして、ここもデート向けの店だろう。
料亭のレトロな雰囲気と、アーティスティックな空間を楽しみたい人におすすめ。

●ぐるなび/花蝶
http://r.gnavi.co.jp/g158625/

カリー屋と思えぬインテリア!築地「Cali Cari」 (07/4/11)

以前、築地市場内のカリー店「中栄」を紹介したが、そのすぐ近くに全く違うタイプのカレー店がある。
オーガニック・インド料理の店「カリカリ」だ。

場所は、新橋演舞場横の采女橋を築地市場方面に渡って、最初の信号を左折した右側。アクアビルの地下1階にある。例によって、ここも隠れ家に近い立地ではある。

サフランを思わせる柔らかな赤色の階段を地下1階へ降りると、予想外の空間が広がっていて驚かされる。階段の下はいきなり店内で、地下2階から6mの吹き抜けになっているのだ。しかも、そこにシャンデリア風の巨大なキャンドルランプが下がっている。危うくゴスロリの店と勘違いしてしまいそうだ。

地下1階は、ロフト風の空間で、靴を脱いで入る。細長い座卓が4卓あり、貸切パーティなどにピッタリなスペースだ。事実、4名~30名までのパーティに対応するらしい。(ただし、地下1階だけなら16人くらいまでがちょうど良さそう。)
更に地下2階への階段を降りると、テーブル席のフロア。壁は階段同様の柔らかな赤色だ。
例のキャンドルランプは、どの席に座っても否応なしに目に入る。

この店の「本格カリー」は、福岡産直の自家製有機野菜を使用しているということだ。シェフはインド人だが、それほどエスニックらしさは強くない。辛味も極端ではないし、器に美濃焼を使っているせいもあるかもしれない。

ランチは1,100円のAセットと、1,300円のBセットの2種類。Aセットは、4種類から選べるカリーと、ナンまたはサフランライス、サラダ、ラッシー(ヨーグルトドリンク)がつく。
Bセットはこれにタンドールチキンがつき、ラッシーがマンゴーデザートに替わるので、かなりお得だ。
食べ放題・飲み放題のバイキングランチ(1,300円)もある。

夜は、カリーのほかに前菜やチーズ、シシカバブといった料理が加わり、もちろんお酒も飲める。カリーの値段は1,360円~1,580円まで。さすがにビーフやポークはなく、鶏や野菜、海鮮などのラインナップとなる。ワインはボトル2千円くらいからあるらしい。
水曜前後には、なんとチャージ無料でクラシックのライブも実施している。(スケジュールはWEBで要確認)

今日はほうれん草とポテトのカリーを食べたが、大きいポテトがホクホクしていて悪くない味だった。インド風と和風が適度にミックスされているのがいいのかもしれない。
ただ、夜の値段を払うなら、正直なところ、神保町の「ボンディ」か、半蔵門の「プティ・フ・ア・ラ・カンパーニュ」の方が、欧風カレー好きな自分には嬉しい。

それにしても、このインテリアは、失礼ながらカリー屋にしておくのはもったいない。
いや、逆にだからこそ面白いのか・・・?
いずれにせよ、ここも誰かを連れて来たくなる店であることは間違いない。

●インディアダイニング「Cali Cari」オーガニック
http://www.calicari.com/

現代版セロニアス・モンク「The Essential Thelonious Monk」 (07/4/9)

2003年12月16日火曜日。その日は、新宿ゴールデン街にあるJAZZバー「ボルチモア」で飲んでいた。
ここも非常に小さな店だが、けっこう好みのCDが揃っている。

3~4杯飲んだあたりで、耳慣れたピアノのメロディが流れてきた。
「おっ、『ラウンド・ミッドナイト』か。いいねぇ・・・誰の演奏?」
「セロニアス・モンク」
「えっ?嘘
「ホントだよ。」
差し出されたCDは、「The Essential Thelonious Monk」。
セロニアス・モンクがソニーミュージックと契約していた1962~1968年のベスト盤だ。

自分が信じられなかったのは、その音があまりにキレイだったからだ。
これまで聴いていたモンクの演奏と言えば雑音混じりのモノラルの音というのが当然で、またそれが独特の味わいにもなっていた。
ところが流れてきたのは、まるで先月録音したかのような、クリアなステレオ・サウンドだったのだ。
聞けば、最新のデジタル技術を駆使して、40年前の音源を限りなくリアルに再現したCDとのことだった。
「ラウンド・ミッドナイト」や「ブルー・モンク」、「ストレート・ノー・チェイサー」が、まるで目の前で演奏されているかのような立体的なサウンドで聴けるのは、感動的としか言いようがない。

「知らなかった!・・・こんなCDいつ出たの?」
「まだ出てない。発売日は明日
これだからこの店は侮れない。
翌朝、さっそくCDショップに駆け込んだのは言うまでもない。

お酒のBGMとしては、あまりに似合いすぎるほどの1枚だ。
思わず「ストレート・ノー・チェイサー」などと注文してしまい、酔いはますます加速する・・・。

●The Essential Thelonious Monk
ソニーミュージックエンタテインメント
SICP5071

捨てられかけた原酒が日本一の美酒に!「イチローズ・モルト」 (07/4/7)

肥土伊知郎(あくと・いちろう)さんの実家は、埼玉県羽生市の「東亜酒造」という老舗酒造会社だった。
日本酒だけでなく地ウイスキーも手掛ける酒造メーカーで、国内では珍しく自社で銅製ポットスチルを持ち、スコットランドの伝統的な手法でシングルモルト・ウイスキーを造っていた。
しかし、主力だった日本酒部門の業績が悪化し、2004年5月に東亜酒造は他メーカーへ売却される。
そのメーカーはウイスキーを扱っていなかったため、熟成中の原酒は危うく廃棄されるところだったという。

伊知郎さんは、その原酒を引き取って、郡山の「笹の川酒造」に一時預かってもらう交渉をまとめる。
そして勤務していたサントリーを退社し、奥さんと2人で(有)ベンチャーウイスキーを設立。預けていた原酒のボトリングを開始し、2005年4月9日、「Ichiro’s Malt」と名付けて世に送り出した。

イチローズ・モルトを代表するラインナップが、トランプのカードをラベルのデザインにしたカード・シリーズ。原酒をホグスヘッド樽に貯蔵した後、最後の数ヶ月間だけ別の種類の樽に移し替えることで、原酒に複雑さと深みを与えたウイスキーだ。

これまでに発売されたのは、スペードのエース、10、キング、ハートのエース、9、クイーン、ダイヤの3、キング、そしてクラブの2とジャックの10種類。
いずれも加水、濾過、着色なしのシングルモルトで、価格は1本4,600~18,200円。短いもので6年、長いものだと22年熟成されている。

写真の「ツー・オブ・クラブ」は、カード・シリーズの中では2番目に熟成が短い7年物で、価格は5,985円(700ml)。ただし、製造された318本は既に完売しているので、モルトウイスキーの充実したBARで探すしかない。(300本以上販売されたのは2種類のみで、スペードのエースなどは122本しかない。)
2番目の樽として国産ミズナラが使われており、まろやかな甘みと渋みのバランスが素晴らしい。できればストレートで味わってほしいが、アルコールが56%とかなり強いので、少し水を加えてもいい。

今年度の「ワールド・ウイスキー・アワード」ジャパニーズ・シングルモルト12年以下の部で、この「ツー・オブ・クラブ」は1位を受賞した。サントリーとニッカ以外で1位を受賞したメーカーはほかにない。今月18日には、日本代表として世界大会に出品される。

●MALT DREAM(肥土伊知郎さんのサイト)
http://homepage3.nifty.com/venture-whisky/index.html

●ワールドウィスキーアワード日本部門結果発表
http://www.whisk-e.co.jp/news/2007022301.html

外は料亭、中は大衆居酒屋!六本木「松ちゃん」 (07/4/6)

一週間前に「東京ミッドタウン」がオープンして、またまた注目を集めている六本木。
コンランレストランが「Botanica」を日本初出店するわ、名門中の名門ホテル「ザ・リッツ・カールトン東京」が開業するわで、六本木も一層ハイソな香りが強くなってきた。
そんな成金的高級志向が鼻に付くという方へ、ちょっと面白い居酒屋をご紹介。

松ちゃん場所はミッドタウン向かいの路地裏、知っている人以外まず足を踏み入れないような裏道にある。
外堀通りを六本木交差点から乃木坂方面に向かい、ミッドタウン手前の信号を左折して最初の路地を右折、味噌汁で有名な「志る角」の角を右に入るとある。道とは思えないほどの狭い路地なので、ここもまた隠れ家と言えそうだ。

見かけはまるで料亭のように高級感が漂っているので、何も知らせずに誰かを連れてくると、驚かせることができて面白い。
門をくぐって奥に回り込むと、店の入口がある。引き戸を開けて入ると、2度ビックリ。店内は「生ビール¥100(4月一杯)」といった文字が躍る格安の大衆居酒屋なのだ。

この「松ちゃん」は“すし居酒屋”を名乗っていて、にぎりを格安でつまめる(110円~370円)。もちろん、通常の肴も豊富で、焼き鳥1串が140円か160円、その他の肴も刺身・牛鍋等を除けば320円~690円までで食べられる。

日本酒は残念ながらあまり揃っていない。三田村(650円)と、一の蔵松竹梅(530円)くらいしかないので、自分のような地酒好きには少々物足りない。
生ビールの通常価格は290円、焼酎は320円、カクテルは480円。ワインはグラスが420円で、ボトルが1,890円といったところ。「いいちこ」のボトル・キープは2,100円だ。

店内の広さは中程度で、テーブル席のほか、奥に座敷もある。
生ビールの100円サービスは期間限定となっているが、なぜか大抵いつ来てもやっているのが嬉しい。

この安さは、六本木のド真ん中としてはかなり貴重なので、店内はいつも盛況。
外と中の落差がすごいという点で、昨日ご紹介した「茶茶花」の逆パターンと言える。
周辺の高級志向を笑い飛ばすネタとしても使えそうな店だ。

●Yahoo!グルメ/すし居酒屋 松ちゃん
http://gourmet.yahoo.co.jp/0000682824/0002591952/ktop/

外はオンボロ、中は超オシャレ!新宿「茶茶 花」 (07/4/5)

都内はちょうど桜が満開。今年の桜は気候に翻弄されたが、結果的には入学式や入社式が絵になるいいタイミングで花を咲かせてくれた。
そんな季節にちなんで、今日は新宿の「茶茶 花」という店をご紹介。

開店した当時、よく女性雑誌などに取り上げられたが、今でも人気の高い和風ダイニングだ。
場所は、昨日ご紹介した「深夜+1」のすぐ近く。「四季の道」という遊歩道沿いにある。

四季の道には、ふつう靖国通りの新宿区役所前の信号から入っていくが、この店に行くなら、逆の風林会館側から入っていくと面白い。(遠回りするのでキャバクラ通りを抜けることになるが・・・)四季の道は酔っ払いも多いので、歩く距離が短い点でも、逆からの方がおすすめだ。

この店がユニークなのは、昭和初期のボロアパートだった建物を、中だけ劇的に改装したところ。入口はキレイになっているが、風林会館側から四季の道に入っていくと、ボロアパートの外観をまず見ることができる。それから入口を入れば、想像を絶するギャップに声を上げてしまうこと間違いなし。

入口は「花」と書かれた小さな灯篭が目印。店内は超オシャレ
まずエントランスで、靴を脱いでから上がり、予約のある・なしを告げよう。
1階は掘りごたつ式のテーブル席だが、隣との間隔が近かったり、壁際の天井が低かったりする点が少々気になる。グループ客がいると結構騒がしいし、喫煙も自由なので、タバコが苦手な人は特に避けた方がいい
2階は個室中心なので、かなり落ち着ける。大勢だったら、ロケーション的に離れが最高。そのあたりは予約の際に相談するのがベストだろう。

料理は京風おばんざいで、メニューは日替わり。季節ものを中心に考えられた献立が並ぶ。値段は居酒屋と比べれば高めだが、味もまずまずだ。1品525円~840円あたりが多く、お造りの盛り合わせは1人前1,575円と少々高い。

京風だけあって、日本酒の品揃えもそれなりに充実している。有名どころを中心に、珍しい銘柄もちらほら混じっていて、美味しいものが揃えられている。値段は735円より。

はっきり言って、雰囲気的にも価格的にもデート向けの店だ。新宿によく行く女性でも、四季の道を知らない人は多いので、隠れ家的な面白さもある。初めての女性を連れてくれば、外観とのギャップを抜きにしても、必ず気に入ってくれるはずだ。
平日でも午後7時でほぼ満席になるので、訪れる際は予約をした方がいい。

■ジェリーフィッシュドット株式会社/茶茶 花
http://www.jellyfish.bz/shop/tokyo/chacha-hana/chacha-hana.html

酒と夢だけの酒場「深夜+1」 (07/4/4)

今日は4月4日で、「オカマの日」・・・といったことを昔はよく冗談で言ったものだが、最近は「トランジェンターの日」と称するらしい。
「男と女」に二分しきれない性の多様性について、社会的に広く理解を深める日として、1999年に制定されたとか。時代が変わったなぁ・・・。

そういえば十代の頃、新宿でオカマに襲われそうになったことがあった。危ういところで難を逃れたのだが、その当時はほとんど新宿か渋谷で飲んでいたから、そんなアクシデントにもよく遭遇していた。

当時、とくに気に入っていた店が新宿ゴールデン街にあった。気に入っていたと言うより、生まれて初めて「酒場」たるものを教えてもらった、道場のような存在の店だ。
日本中(世界中?)のハードボイルド小説好きな男たちは、その店のことを聖地とも呼んでいる。店は、「深夜+1」。

超個性派の俳優・コメディアンにして、ハードボイルド小説の「おススメ屋」として有名な、日本冒険小説協会会長・内藤陳さんの店だ。
この店で飲んだ内外の作家は数知れず、馳星周などは一時ここでバイトしていた。
自分も昔、この店で議論していた相手が実は半村良さんだと、後で知らされたことがある。

店名は、ギャビン・ライアルのハードボイルド小説「深夜+1」から取っている。
そのため、店のドアには今、ライアルのインタビューが載った、新聞の切り抜きが貼り付けてある。これは最近、「映画がなければ生きていけない」の著者、十河進さんが、30年も大事に取っておいた新聞広告を陳さんにプレゼントしたものだ。

店は、冗談のように狭い。カウンターに6人くらい、奥の狭いテーブルに2人といったところが限界だろう。
古い店だし、店内も雑然としているので、ゴールデン街初心者にはちょっとキツい店ではある。

酒は、ウィスキーやスピリッツ類が中心。ほとんどの客は、それらのボトルを預けて飲んでいる。
この店では、ボトル・キープする際に、好きなキャラクター名をつけることができる。有名なキャラクター名は、ほとんど古い常連に取られてしまっているので、ネーミングにはかなり苦労するはずだ。ちなみに陳さん自身のボトルには、「フィリップ・マーロウ」と「ハーヴェイ・ロヴェル」と書いてあるようだ。

基本的に、ツマミなどというヤワなものは置いていない。日によってナッツやキスチョコ程度は置いてあったりするが、保障はできない。
陳さんは、いつも「ここで食べるのは、夢だけさ」と、のたまっていた。
そんな台詞ばかり吐いていて、ちゃんとカッコいいオヤジなど、そうはいない。
この店の客にとって、何よりのツマミは陳さんとの会話だ。
陳さんは、たいてい午後9時半頃から店に顔を出す。

昔は、陳さんが酒飲みの風上にも置けないような奴を店から叩き出す光景を毎日のように拝めたが、最近はさすがに減ったようだ。
実は自分も昔、酔った勢いで、その場にいない友人のボトルを勝手に飲もうとして、叩き出されたことがある。

最近は若い店主が増えてすっかり様変わりしたゴールデン街だが、店はいまだに健在
新宿で終電を逃すと、ついつい足が向いてしまうのだが・・・陳さんに「まだそんな呑み方しかできねェのか!?」とドヤされそうで、なかなか扉を開ける勇気が出ない。

こんな飲み屋が、1軒くらいあってもいい。

●深夜+1
http://www.aisa.ne.jp/jafa/shinya+1.html

黒いウォッカ「BLAVOD」 (07/4/3)

ウォッカは、その無色透明で癖のない味質から、カクテルのベースによく使われる酒だ。
ロシアの国民酒として有名だが、実際ロシアでは12世紀から飲まれているそうで、西欧最古の蒸留酒とも言われている。(発祥については、11世紀にポーランドで生まれたという説もある。)長い間、ロシア国外ではまったく知られていない秘酒だったが、1917年のロシア革命以降、ようやく他国でもその存在を知られるようになった。

主にライ麦やトウモロコシなどの穀物を原料とし、それらを糖化・発酵させてから連続式蒸留機で蒸留して造る。最後に白樺の炭でろ過するのが特徴で、これによって色は透明になり、味も癖のないものになる。アルコール度数は40~60度と結構強い。

無味無臭が本来のウォッカだが、中には草や果物、香味料などを加えて、味や香りをつけたフレーバード・ウォッカと呼ばれるものもある。
ズブロッカ草が入ったズブロッカ、レモンを使ったリモナヤ、ペッパー類を使ったペルツォフカなどが代表だが、最近になって珍しい1品がこれに加わった。
真っ黒い色のウォッカ、ブラボドだ。

無色が特徴のウォッカを真っ黒にするという発想は、大胆でユニーク。
1996年に、ロンドンのマーク・ドーマンという人が造った製品らしい。
この色は、ミャンマー産のブラック・カテチューという椰子の木からとれる樹脂を漬け込んで着色されている。ブラック・カテチューは、沖縄にも街路樹として植えられているとか。胃薬や清涼剤としても利用される薬草のようだ。

色は真っ黒だが、味わいはマイルドでスムーズ。ストレートでも十分飲めるが、強いようならジンジャエールなどの炭酸系で割ると美味しい。
微かにズブロッカにも似たハーブっぽい香りや甘味も感じるので、ズブロッカが好みという人なら相性は良さそう。逆にそれが苦手という人には合わないかもしれない。

このウォッカの色は、様々な飲料で割ってみると更に面白くなる。
例えば、よく冷やした水で割ると、真っ黒だったのがなぜか深いグリーンに変化する。
ロックで飲んでいても、氷が溶けるにつれて下の方から徐々にグリーンがかってくるのだ。
色のきれいな果実系飲料で割ってみると、色も味も変化して楽しめるので、ウォッカベースのカクテルをこれで作ってみると面白いかも。(味は自己責任でね!)

■Blavod Black Vodka
http://www.blavod.com/

型破りな天才ヴァイオリニスト、ナイジェル・ケネディ (07/4/2)

著名ヴァイオリニストと言うと、普通は誰を思い浮かべるだろうか。
日本人のヴァイオリニストは多いので、外国人ヴァイオリニストの名前が出てくることは少ない気がする。
だが、100万人に1人の天才と評され、クラシックのアルバムとして史上最高の売上げ記録を持つ“超個性派”ヴァイオリニストの名前を、知っておいて損はない。
それが、ナイジェル・ケネディだ。

1956年12月28日、英国サセックス州ブライトン生まれ。
年齢的には、セックス・ピストルズのメンバーらと同年代になる。
それが無関係ではないのかもしれないが、デビュー以来30年、その型破りな演奏スタイルによって「パンク・パガニーニ」とも呼ばれた。

普通、ヴァイオリニストのステージ衣装は燕尾服が常識だが、彼は平服や古着、パンク・ファッションでステージに立つ。
演奏スタイルも自由奔放。ジャズ・セッションのように他のミュージシャンと競い合ったり、ヴァイオリンを垂直に立てて演奏してみせたり、ステージを下りて客席を歩き回りながら演奏したり。
アンコールでは、ジミ・ヘンドリックスの曲も飛び出す。
曲の合間の喋りも、ジョークたっぷりでユニーク。
実に自由で楽しそうな「ギグ」なのだ。(彼は自分のライブ演奏を「ギグ」と呼ぶ。)
そんな自由奔放な演奏を、幅広い音楽性と、深い解釈、圧倒的なテクニックが支えている。

彼の代表作と言えば、1989年にレコーディングしたヴィヴァルディの『四季』だ。このアルバムは、発売と同時に英国クラシック・チャートで1位を獲得し、その後半年間にわたって上位にランクインし続けた。
それどころか、ポップ・チャートでも6位を記録し、クラシックの枠を超えた彼の人気を知らしめたのだ。
『四季』は200万枚以上を売り上げ、クラシック作品の史上最高セールス記録としてギネスブックにも掲載された。

彼はポップスやジャズのミュージシャンとも積極的に共演し、ケイト・ブッシュ、ポール・マッカートニーのアルバムにも参加している。
昨年は、ジャズ・アルバム『ブルーノート・セッションズ』を発表し、ロン・カーター、ジャック・デジョネットらとも共演している。(彼が作曲した曲も含まれている。)
最近はジプシー音楽にも傾倒しているようだ。

50歳にして「円熟味」を増すどころか、ますます新たなスタイルにチャレンジし続けているナイジェル・ケネディ。
ロックより過激で、ジャズより自由なヴァイオリニストに、乾杯!

■Nigel Kennedy公式HP
http://www.nigelkennedy.com/

■Listen Japan(ナイジェル・ケネディのDLページ)
http://listen.jp/store/artist_68362.htm

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