千の酒と、千の店

利き酒師、ワインエキスパート、フードアナリスト等、様々な資格を持つ酒好き会社員が、全て自腹で訪れた東京~埼玉の
数千軒の中から、美味しいお酒の店を選んでご紹介。約380店を最寄駅で検索できる「記事の索引」や、お酒コラムもあり!

スウェーデンの歌姫、レベッカ・トーンクウィスト (07/3/10)

「いい居酒屋の条件7か条」(2月27日の記事参照)にも含まれているように、お酒を飲んでいる時のBGMというのは、けっこう重視してる。そこで今日は、飲んでいる時に聴きたい音楽の話。

音楽は広く浅く聴いているけど、最も好みなのはジャズを中心とした黒人音楽系。ソウル、ブルース、フュージョン、ブラック・コンテンポラリーなどが心地よい。
中でも、ジャズの女性ボーカル、ピアノ、サックスあたりはど真ん中だ。

ある時、自宅近くの店で食事していたら、めちゃくちゃ好みの女性ジャズ・ボーカル曲が流れて来た。思い当たる声ではなかったものの、この曲はぜひ欲しい。
そこで、店の人に聞いてみると、BGMは有線だと言う。すかさずチャンネルを聞いて、時間を確かめた。

USEN440では、流れた曲をすべてホームページで確認できる。チャンネルと、流れた時間が分かればいい。
その曲は、スウェーデンの女性ボーカリスト兼ソングライター、レベッカ・トーンクウィストの「エンジェル・アイズ」だった。

早速この曲のCDを探したが、これには少々手間どった。分かったのは、既に廃盤になっている彼女のファースト・アルバムに収録されているということ。
廃盤は残念だが、ここで諦めるわけにはいかない。
ネット・オークションのサイトで、このアルバムの購入希望を掲載してみたら、翌日には九州の人と交渉成立し、おかげで無事購入することができた。

レベッカ・トーンクウィストは、ブルーの瞳が印象的なスウェーデン女性。小学校時代はケニアに住んでいたとか。
十代で、カーリー・サイモンやキャロル・キング、ビートルズ、スティーリー・ダンなどを聴いて音楽に目覚め、やがてJAZZクラブで唄い始める。
93年にメジャーデビューを果たすと、ジャズ、ブルース、ソウルなどをミックスしたファースト・アルバム「ア・ナイト・ライク・ディス」は、いきなりスウェーデンのチャート4位を記録、ゴールド・ディスクを獲得してしまった。
そのアルバムの9曲目に収録されているのが、ジャズのスタンダード・ナンバー(オリジナルはフランク・シナトラ)の「エンジェル・アイズ」だ。

彼女の気だるいようなハスキー・ボイスは、お酒のBGMにピッタリ。
どちらかと言えば洋酒向きの雰囲気ではあるが、お酒を2倍おいしくしてくれる声なのだ!

幻の大人気ビール、サッポロ「赤星」 (07/3/9)

会社の先輩から聞いた話。
日本のビールを飲み尽くしているドイツ人の友達が、「これが一番うまい!」と唸ったビールがあると言う。
それが、サッポロラガービール、通称「赤星」だ。

普通のサッポロビールと違い、ラベルに描かれている星が赤いため、こう呼ばれている。販売は「大びん」「中びん」のみで、缶はない。
何を隠そう日本最長寿のビールで、生産開始はなんとサッポロビール創業の明治9年(1876年)と言うから、優に130年を超えている。(当時はサッポロビールではなく「開拓使麦酒醸造所」と称していた。)

北海道では今でも人気があると言うが、都内や関西では滅多にお目にかかれない幻のビールだけに、「目撃情報」を募集しているサイトもいくつか存在する。
流通量が少ないのは、99.9%が業務用ルートで販売されているため。昔からこのビールを扱っていた飲食店のためだけに製造されているようだ。
現在、このビールを生産しているのはサッポロビールの千葉工場だけらしい。

日経産業新聞によると、最盛期の1960~70年代には年に5千万ケース以上(1ケースは大瓶20本)販売していたが、80年代に「生ビール」ブームが勃発。1996年に最大のライバル「キリンラガービール」が生に切り替えてからは、国内唯一の熱処理ビールとなった。
しかし、1999年の時点で年間販売量は百万ケース弱にまで減少。これまで何度も生産中止が検討されたが、そのたびに契約飲食店から「生産をやめるなら他社に切り替える」と、存続を求める要請(脅迫?)が相次ぎ、なんとか生き延びてきたらしい。
販売量はこのところ前年比2割減のペースだが、ブランドマネージャーの立山正之営業部担当副部長は「採算ギリギリの50万ケースまでは続ける」と話していた。

ちなみに「ラガービール」とは、下面発酵酵母(発酵の終わりに酵母沈むタイプ)を使って低温で熟成させたビールの総称。ドラフト(生)ビールに対し、熱処理をしたビールが「ラガー」だと思っている人も多いようだが、厳密にはそれは間違い。確かにサッポロラガービールも熱処理を加えているが 、本来「ラガービール」とは、熱処理の有無を問わない。
なお、「ラガー」に対し、上面発酵酵母(発酵の終わりに酵母が浮かび上がるタイプ)を使ったビールは「エール」と言う。

熱処理ビールは、日ごとに熟成が進む生ビールと違い、時間的な味の変化が緩やかで、独特の風味があると言われる。サッポロラガービールも、ほのかな麦芽の風味とすっきりとした飲みやすさが人気のようだ。
なお、現在ほかの熱処理ビールとしては、2001年に復活した「キリンクラシックラガー」がある。

サッポロは、この「ラガービール」といい、「エーデルピルス(※)」といい、ビール通に評価の高い製品を世に送り出しながらも、いつしか姿を消してしまうというケースが目立ち、残念だ。
もし、幸運にも置いてある店を発見したら、ぜひ味わってみてほしい。

その後、サッポロは2008年9月10日と、2009年8月12日の2回、主要コンビニエンスストアでラガービールの缶を限定発売した。それが予想を大きく上回る売れ行きだったため、2009年9月9日から10月まで、全国すべての酒販店でも販売したが、現在は販売を終了している。

→サッポロラガービール
http://www.sapporobeer.jp/product/beer/lager/index.html

※エーデルピルス
ファインアロマホップを通常の3倍使用したビール。現在は業務用10リットル樽生のみで、店頭販売はない。
サッポロビール直営の「銀座ライオン」など、ごく限られた店で飲める。


ワンレベル上の居酒屋、大宮「基」 (07/3/8)

大宮駅周辺には飲食店がたくさんあって、紹介するのに迷うほどなのだが、逆に言うと突出した店がなかなかない気もする。
そんな中で最近気に入っているのが、大宮駅西口にある「基(もとし)」。

基_看板この店は、よく「Hot pepper」にも掲載されている。大宮駅西口からDOMとアルシェの間の道をまっすぐ歩き、道を渡ってそのまま進むと突き当りのビルだ。ビルの横の階段を降りた地下に入口がある。
これは余談なのだが、このスプリングアートビルは、上階にもなかなかいい店が揃っていて面白い。

引き戸を開けると、モダンな和風のインテリア。店内は入口から左右に分かれいて、いずれも掘りごたつ式の小上がりになっている。席の間を御簾で仕切れるようになっているところが、むしろ今風。
奥にはL字型のカウンターもあり、そこもけっこうオシャレっぽい。女性やカップルの客も目立つ。

この店は、和食ベースの居酒屋で、京風おでんが売り。
個人的にはあまりおでん好きじゃないんだが、この店では必ず注文する。ここのおでんは、京風のダシが上品で美味しいのだ!

夏には冷たいおでんも食べられる。トマトのおでんとかは「これがおでん?」という気もするが・・・昨夏に食べたとうもろこしのおでんは見事だった。
最初、とうもろこしを5~6cmくらいの長さでぶつ切りにしただけに見えたのだが、食べようとしたら芯が練り物にすり替えられていた。つまり、一度きれいに芯からはずしたコーンを、芯に見立てた練り物の表面にきれいにくっつけ、本物のとうもろこしのように拵えてあったのだ。
手の込んだ遊び心のある一品に、思わず感心してしまった。

基_店内おでん以外の肴もみんな水準以上の美味しさで、和食好きにはたまらない。
蕎麦屋でもなかなか見かけない十割そば(限定)も、箸が止まらない味だ。

焼酎や日本酒も、550円~900円程度でおいしい銘柄が揃えられている。
特に、現地・屋久島でもなかなか売ってない三岳があったのにはビックリ!

京風の味付けが好みの人で、もし普通の居酒屋より1クラス上の店に行きたい時には、この店にぜひ1度行ってみてほしい!

・おでんと魚菜 基(Hot pepperの紹介ページ)
http://www.hotpepper.jp/A_20100/strJ000015670.html

うまいビールあり!新橋「BIRE REISE'98」 (07/3/7)

ビールは、注ぎ方によって味が変わる。
だったら、日本一注ぐのがうまい人の店で飲むのが一番おいしいのでは?
そう思って行って来ました、新橋の「ビアライゼ'98」へ。

かつて、ビール通の間で伝説のビアホールと言われた、「灘コロンビア」という店が八重洲にあった。そこには、日本一のビール注ぎ名人・新井徳司さんがおり、「ビールの泡にマッチ棒が何本も立つ」という絶品ビールを出していた。夜ごとビール通が押しかける繁盛店だったが、新井さんは1993年に他界。
店で名人に師事すること17年、直伝の技を引き継いだ唯一の弟子が、「ビアライゼ'98」の松尾光平さんだ。

店は新橋駅・烏森口から西口通りを5分ほど歩いたはずれの方にある。(※2008年7月に移転。現在は、SL広場前にある「ヤマダ電機」左側の路地を入って100mちょっと歩いた右側にある。

にわか雨がパラつく平日の火曜日、午後7時半頃の入店だったが、店は満席。カウンターもテーブル席も、文字通り1脚の椅子も空いていない盛況ぶりだった。
入口のすぐ内側に小さなテーブルが置いてあるので、飲みながら待つこともできるのだが、ここはしばらくガマン。少し待ってカウンター席が空いたところで、「アサヒ樽生」(580円)を注文した。

ビールはあまり飲まないので(特にアサヒは)、的を得たコメントかどうか自信がないのだが・・・飲みやすい。ビックリするほど旨いという印象ではないが、ビールの苦味が全然気にならず、まろやかな風味で、スイスイと飲める感じ。泡も細かくてクリーミーだ。
続いて、バスペールエールやスタウトも飲んだ。味わいは異なるものの、いずれも同様の印象を持った。

「ビアライゼ'98」では、全てのビールを松尾さんが一人で注ぐ。「灘コロンビア」から引き継いだ、全国でも珍しい昭和24年型の旧式サーバーを使い、かち割り氷で冷やしている。
基本的には全てタンブラーでの提供だが、頼めばジョッキでも(超特大ジョッキでも)提供してくれる。
日本酒(白鷹)やワインもあるのだが、ここではビール以外飲む気にならなかった。

おつまみも、ビアホールとはしては驚くほど豊富。
名物はメンチカツで、パリッとした衣から肉汁が溢れ出すジューシーな一品。ポテトサラダやコロッケの美味さも有名だ。
心憎いほどビールがうまくなる料理が揃っているが、マグロの刺身、〆鯵、チャーハンなど、意外な料理もあり、懐の広さを見せてくれる。頼んだ料理はすべて美味しく、十分満足できた。

店はさほど広くはないし、格好をつけた店ではないが、廃材を使った温かみのある作りで、居心地は悪くない。カウンターや奥のテーブル3つはラフな組み木のため、卓上がデコボコしている。テーブルは4人用が7卓、6~7人用が1卓ある。
女性客もけっこう多く、カウンターで一人で飲んでいる人もいた。

水・木・金の週3日に限り、ランチもやっている。魚料理からメンチカツまで、15種類ほどあって750~950円くらい。おかずのボリュームは軽いのだが、大皿に盛られた6~7種類のお惣菜と、ご飯、味噌汁、お茶(冷/温)がおかわりし放題。(セルフサービス)ただし、昼はビールは飲めない。

閉店時間10時と少々早めなのが残念だが、ビール好きな人ならぜひ連れて来たい店だ。

→Yahoo!グルメ/BIER RISE'98
http://gourmet.yahoo.co.jp/0000660970/P913031/

店も斬新、味も斬新!立ち食い蕎麦「minatoya」 (07/3/6)

今日のご紹介は、立ち食い蕎麦の「港屋」。(お酒の店に非ず。)
場所は西新橋だが、虎ノ門と神谷町の間あたりといった方が近い。
愛宕下通りの「愛宕1丁目」交差点角にある、真っ黒い謎の建物がそれだ。
窓は横長で極端に狭く、店内はほとんど見えない。
多少見えたとしても、そこが立ち食い蕎麦屋と分かる人はまずいないだろう。

店は狭いが、天井は高い。
フロアには大きな黒い石のテーブルがあり、それを囲んで16人程の客が蕎麦をたぐる。コートなどはこのテーブルの下に置ける。
テーブルの表面には浅く水が張ってあり、中央に飾られた花が季節を感じさせる(今は紅梅)。
店のスタッフは若い男女が4~5人。
立ち食い蕎麦屋と言うより、ダイニングバーのような店内だ。

ここの蕎麦は、冷たいつけ蕎麦が基本。お品書きは季節によって多少変動するが、今は「もりそば」\600、「海苔そば」「胡麻そば」\700、「海苔&胡麻そば」\800、「冷たい肉そば」「温かい鶏そば」\850、の計6品。
「温かい鶏そば」はつゆだけが温かい。
普通の立ち食い蕎麦でおなじみの「きつね」「たぬき」「天ぷら」などは一切ない

蕎麦は、まずそのボリュームに驚く。
「もりそば」「海苔そば」は皿に盛られたそこそこの量だが、ほかは丼いっぱいに入れられた蕎麦に、たっぷりの胡麻、刻み海苔などの具がてんこ盛りにされている。
女性は一目見て食べ切れないと思うだろうが、実際に残す人はほとんどいない。

北海道産の最高級そば粉から作られた太めの蕎麦は、かなり腰が強い。
つゆは濃く、ダシが効いていて、驚いたことにラー油が入っている。
なんとも斬新な蕎麦だが、これがこの店独特の味になっていて、癖になるのだ。
はっきり言って、美味い!到底、立ち食い蕎麦レベルの味ではない。

テーブルの所々に、ネギ、天かす、生玉子、特製唐辛子、わさび、蕎麦湯(ポット)が置いてあり、これらは入れ放題。ボリュームがあるので、途中で味に変化をつけながら食べられるのは嬉しい。また、ラー油の有無を含め、蕎麦や具の量も注文時にリクエストすることが可能だ。(蕎麦の大盛りは+100円)

店はたいてい満員で、お昼前後の時間帯だと40人くらいの大行列ができている。できるだけ時間をずらして行くことをオススメしたい。店内が狭いこともあり、蕎麦の盆を持って移動する際は、ぶつからないよう注意しなければならない。

立ち食い蕎麦屋にも、こうした斬新な試みにチャレンジし、なおかつ成功しているということに感心させられる店だ。新橋恐るべし。

●港屋(Livedoor 東京グルメ)
http://tokyo.gourmet.livedoor.com/restaurant/info/13741.html

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